あざいお市マラソン

 つい先ほど、フェイスブックで見た投稿だが、友人が、「あざいお市マラソン」にやって来て、これからスタートする、とのことだった。

 私は、「あざいお」の部分を見て、ベトナムの民族衣装「アオザイ」と読んでしまい、ベトナムには、そんな名前の都市があるのか、それにしても、そんな遠くまで走りに行くのかと驚いてしまった。

 よくよく読んで行くと、「あざいお市」というのは、信長に滅ぼされた淺井(「あざい」であって、「あさい」ではない」)長政の妻・お市の方のことで、淺井氏の居城のあった長浜市が、お市の方を偲んで、マラソン大会を企画したということだった。

 誤解したのは、私の思い込みによるものだが、「あざいお市」でなく、「浅井お市」となっていたら、決して誤解することはなかったはずだ。

 つまり、誤解の原因は、次の2点だ。

①「浅井」を、ことさら平仮名で書いたために、次に来る「お」と一体となって、「あざいお」となってしまったこと

 

②「あざいお」という4文字をみた瞬間、4つの文字を、一文字ずつ読むのではなく、この4文字からなる言葉の中で自分の知っている言葉を探して、これに合致する、「アオザイ」と結びつけてしまったこと

  
 ①の一体化を避けるには、「あざい」を漢字にするほかに、「あざい お市」のように、意味の切れ目にスペースを入れる方法もある【スペースの効用】。

 ただ、この方法だと、「あざい お市マラソン」となり、「お市」が、「あざい」と離れて、「マラソン」と一体化してしまう。意味の上では、(「あざい」+「お市」)+「マラソン」なのだから、適切な表記とは言えない【スペースの弊害】。

 次に、②の点だが、次の英文を読んでほしい。  

I understnad waht you thnik.


 ちゃんと読めただろうか。中学校レベルの単語しか使っていないはずなので、読めないはずはない、と思われるが、3か所、スペルミス(というより、意図的に文字を入れ替えているのだが)がある。

 では、少し長くなるが、次の英文はどうだろう。

Aoccdrnig to a rscheearch at Cmabrigde Uinervtisy, it deosn't mttaer in waht oredr the ltteers in a wrod are, the olny iprmoetnt tihng is taht the frist and lsat ltteer be at the rghit pclae. The rset can be a toatl mses and you can sitll raed it wouthit porbelm. Tihs is bcuseae the huamn mnid deos not raed ervey lteter by istlef, but the wrod as a wlohe. 【】            【Cognition and Brain Sciences Unit

 
 上記の文章は、元々は、各単語の先頭と最後の文字さえ正しければ、間の文字の順番を入れ替えても読むのに支障はないという、ケンブリッジ大学での「研究」に載っていたものである。「研究」と言ったのは、そういった「研究」がケンブリッジ大学で実際になされていたわけではなく、そういう噂がネット上で流布していたに過ぎないからである。

 ただ、その後、実際にケンブリッジ大学に席を置く研究者が、その噂の出所を追跡するとともに、この「研究」の内容を検証しており、上記の文章は、その検証サイトからの引用である(結局、元の「研究」の孫引きになる。)。

 噂になった「研究」では、「人は先頭の文字と最後の文字しか見ていない」ということだったが、上記の検証の結果、それは否定されている。

 具体的には、こういうことだそうだ。
  ・先頭の文字と最後の文字を固定していても、単語の長さによっては、解読困難なものもある。
  ・文字列としては正しくても大文字と小文字が混在すると読む速度が遅くなるように、人は、単語の形を見て判断している。

 以前のブログ【薇薔、蝠蝙、拶挨】で書いたように、日本語、英語に限らず、人は、文字を一文字ずつ読んでいるのではなく、一塊の文字の雰囲気と、文脈から、文章を理解しているということである。


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 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

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