6階の第1待合室で・・・ 絶対指定と相対指定と

 先日、とある裁判所の調停に行った際、5階だったか6階だったかにある受付で、こう言われた。
 

6階の第1待合室で、お待ち下さい。


 今いる階が6階のような気もしたのだが、わざわざ「6階の」というのだから、ここは6階ではなく5階かも知れないと思った。念のため、エレベーターホールまで戻って、自分が何階にいるのか確認したところ、6階にいることがわかった。「なんだ、ここが6階じゃないか、だったら、『この階の第1待合室』と言ってくれたよかったのに」と思った。

 外部から初めて、その裁判所に来て、玄関ロビーの案内を見てエレベータで上層階に上がって受付をした人は、一々自分が何階にいるかなど意識はしていない。なんとなく、5、6階、あるいは、10階くらい、といった、ぼんやりとした認識しかないのが普通だろう。

 そんな人に案内をするのだから、「5階」とか「6階」といった数字で階を指示するのではなく、次のように言ったほうが遙かに分かりやすい。

この階の第1待合室
一つ上の階の第1待合室
一つ下の階の第1待合室


 応対した職員にしてみれば、自分のいる階が6階であることは、あまりにも明白なことだから、「6階」といえば、「この階」ということは分かって当然、ということだったのだろう。だから、「この階」ではなく、「6階」という表現になったのだろう。
 
 他方、電話で問い合わせをしたときに、「この階」などと答えられたら、質問をした側は戸惑ってしまう。その場合は、「6階」と答えるのが正しい答え方である。

 これまでも、何度も言って来たことではあるが、相手の知識、関心がどのようなものかを考えれば、自ずと、「分かりやすい」表現ができるはずなのである。裏を返せば、「分かりにくい」表現しかできない人は、相手の立場に思いが至らないということなのである。

 上記のような相対指定(「この階」「一つ上の階」)と絶対指定(「5階」「6階」)の使い分けは、場所の場合に限らず、日時の場合にも必要となってくる。

 たとえば、今日が「3月9日(月曜)」だとして、打ち合わせの期日を約束するとしよう。10日に打ち合わせするのであれば、「10日」とは言わないで、「明日」と相対指定をするのが普通である。「10日」などと言われると、明日よりも、もっと先の日のように錯覚しかねない。逆に、3月20日を指定するするのに、「11日後」と言われると、これも戸惑ってしまう。

 さらに、注意が必要なのは、メールで日時を決める時の場合だ。自分は、「10日」のつもりで「明日」とメールに書いても、相手は、「10日」にメールを見るかも知れず、そうすると、「明日」というのは、「11日」と受け取られてしまいかねない。

 そのようなことにないよう、メールでは、「明日・10日(火曜)」のように、念を入れるのが望ましいと言えるだろう。

 【まとめ】
 以上をまとめると、「起点」ないし「基点」について、両者に共通認識があり、かつ、目的の場所、日時が、起点からあまり離れていない場合は、「相対指定」、そうでない場合は、「絶対指定」がいいと言うことになる。

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■相対指定、絶対指定という用語■

 表計算ソフトのエクセルでは、「相対参照」「絶対参照」という用語が使われている【相対参照と絶対参照の違い】が、これと似たようなものである。ただ、エクセルの場合とは微妙に異なるので、あえて、「相対指定」「絶対指定」という、エクセルで使われているのとは異なる用語を用いた。

 「エクセルの場合とは微妙に異なる」と書いたものの、実は、結構、異なる。
 
 というのは、エクセルの場合、「相対参照」といっても、見かけ上は、初期設定では、「絶対参照」のように見える表現形式をとっているため、非常に分かりにくいからである。

 ネット上で分かりやすい解説を探したのだが、見つからず、上記の【相対参照と絶対参照の違い】が比較的分かりやすいものであったが、これでも、「分かりやすい」とは言えない。

 
 マイクロソフト自体が、「分かりにくい」仕様にしているのが原因なのだが、それを言っても仕方がないので、近いうちに、私が何とか工夫して、「分かりやすい」「エクセルの相対参照と絶対参照」の解説を書こうと思う。
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