上告理由書の工夫  演出はほどほどに

 裁判所の「判決書」を、ご覧になったことはあるだろうか。

 グラフや図があるわけでもないし、見出しがゴシックになっているわけでもない。カラーが使われているわけでもないし、段落と段落の間に空白の行があるわけでもない。同じ大きさ、同じ書体の黒い文字が延々と連なっており、どの頁を見ても、同じように見えてしまう。

 他方、弁護士が裁判所に出す書面は、見出しをゴシックにしたり、重要部分にアンダーラインを引いたり、読みやすく、かつ、印象に残るように、様々な工夫を凝らしているものがある。

 そんな中、一票の価値の平等を訴える訴訟の上告理由書【選挙無効請求上告事件 上告理由書】を見たのだが、こうなっていた。

 
上告理由-1


 「正当性」の文字が、若干、大きすぎるような気もしたが、いかにして裁判官に訴えるか、様々な工夫を凝らしていることが窺えた。このあと、どんな工夫を凝らしているのか興味を持って読み進めて行くこと、こんなふうになっていた。

上告理由-2

 文字や背景に色をつけるのは、効果的ではあるが、全頁、こんな調子で色を使われると、読む方も疲れてくるし、全体の印象も、「なにか、ごちゃごちゃ色を使っていたな」という程度の印象しか残らず、逆効果ではないだろうか。

 さらに、こんな頁もあった。

上告理由-3

 強調部分にアンダーラインを引いているのだが、よく見ると、一頁の文章のすべてにアンダーラインが引かれている。

 これでは、強調の意味はない。

 幼稚園のときに見た紙芝居「アリババと40人の盗賊」の一シーンを想い出した。 
 

どろぼうはポケットからチョークを出して、カシムの家の戸に白い目じるしをつけました。そして大元気で、森の仲間のところへ帰って行きました。
 それからまもなく、モルジアナは、このへんな目じるしを見つけました。
 これはきっと、だんなさまに悪いことをしようとする者がつけたしるしにちがいない、とモルジアナは思いました。それで、チョークを取って来て、町じゅうのどの家の戸にも、みんな同じようなしるしをつけて歩きました
 さて、どろぼうたちは、町へ行った仲間から、あの切りきざんだ人間の家がわかったということを聞いて、大へんよろこびました。そしてその晩、戸に白い目じるしのついている家をさして、かたきうちに出かけました。けれども、町までおしかけて来た時、どの家の戸にも同じ目じるしがついているので、どれが目ざす家だか、かいもく知れませんでした

青空文庫 アリ・ババと四十人のどろぼう

 何をするにしても、ほどほどが大事、ということである。

 【実務に理解の深い教員の養成は急務なのだが・・・  過剰演出は不要
 【不要な情報はカットする



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 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

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