情報の科学と技術  中途半端な分かりやすさ

 このブログを書くようになってから、ネットで、このブログと同趣旨の記事がないか、意識的に注意している。

 これはと思えるような記事に巡り会うことは滅多にないのだが、そんな記事に出会ったときは、嬉しく思うこともあれば、「ちょっと負けたな」と思うこともある。

 そんな記事の中で、私が脱帽するしかない、最高の記事は、以前にも紹介した【伝わるデザイン - 研究発表のユニバーサルデザイン - 】である。

 そのサイトの運営者は、本業は生物系の研究者なのだが、その研究の傍ら「伝わるデザイン」を徹底して探求し、その結果を公にしているのである。

 今日、「情報の科学と技術」という、まさに情報伝達の技術を専門にしていると思われるサイトを見つけ、「伝わるデザイン」に匹敵することが書かれているかも知れないと思い、期待が膨らんだ。

 そのサイトに【情報の科学と技術65巻11号 情報をわかりやすくするデザイン: 情報デザインは「何であって」「何でない」のか】という記事があり、表をグラフにすることによって、全体的な傾向が直感的に把握できることを、例を挙げて解説していた。

果物-1

果物-2

 このブログでも再三にわたって述べてきたことであり、異論はない。

 だが、ここに掲げられた表もグラフも、問題がある。

 最初は、表の方だ。

果物-1

 左端に、1、2・・という数字、上端に、A、B・・というアルファベットの記載がある。

 おそらく、表計算ソフトのエクセルで作った表を画像として取り込む際に表の周囲も一緒に取り込んだため、無用な行番号、列番号まで入っているのだろう。

 けれども、行番号などの情報は、本筋とは全く無関係な「雑音」に過ぎない。「雑音」があると、脳の情報処理能力の一部を「雑音」に割かなければならず、その分、本質的なものの理解の妨げになる。

 次に、グラフの方だ。

果物-2

 どの折れ線が、どの果物に対応しているのか、線の幅、濃さ、マーカーの形を照らし合わせて、漸く理解することができる。

 直感的に理解できるようにするには、こうすればよい。

果物-3


 2つの図(表とグラフ)には「分かりやすさ」の点で問題があるのだが、いずれも、「情報の分かりやすさ」に無頓着な一般人が適当に作成した図ではない。

 それどころか、冒頭で述べたように「情報の科学と技術」という専門誌に、「情報デザイン学者」【Wikipedia】と言われる人が、「複雑な情報を整理し,わかりやすく編集して伝える」技術の一例として説明する際に用いた図である。

 記事の中には、こんな記述もあった。
 

「情報をわかりやすくする」ためのデザインは生活や社会のあらゆる場面で求められている。よって,情報デザインが対象とする状況も生活のありとあらゆる場面に広がっている。そのため情報デザインはアカデミズムの側からでなく,日常生活の効率化・機能化を目指す実践や実学を通して発展してきた。それだけ実践的な知としての完成度も高いということができるかもしれない。


 確かに、そのとおりだろう。

 上記2つの表は、「アカデミズム」のレベルが、実践や実学のレベルに追いついていないことを端的に証明するものとなっており、図らずも、「アカデミズム」に身を置く筆者の主張の説得力を高めているのである。

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