気を緩めると誤解を招く

 先日の棋戦で藤井聡太七段が増田康宏六段に勝ったのだが、その記事の一節だ【藤井聡太七段、予選から破竹の6連勝 増田康宏六段との“天才対決”にも快勝/AbemaTVトーナメント決勝T1回戦】。

若手棋戦・新人王戦を2016、2017年と連覇し、一時は藤井七段より前に5人目の中学生棋士になるのではとも言われた、増田六段を圧倒した。



 将棋界に疎い人なら、誤解をしそうな箇所が三箇所もある。

 【1】 「若手棋戦」と「新人王戦」の二つの棋戦を連覇したのか

 実際は、「若手棋戦」という棋戦は存在しない。「若手棋戦」というのは、「新人王戦」の修飾語として用いられているに過ぎない。そうであれば、「若手棋戦である新人王戦」とするのがよい。これなら誤解の余地はない。

 記号の「・」(なかぐろ)は、便利な記号なのだが、このような曖昧さがあるので、使うときは要注意だ。

  若手棋戦・新人王戦
    → (修飾) 若手棋戦である新人王戦 
    → (並列) 若手棋戦と新人王戦 
  

 【2】 新人王戦を連覇したのは藤井七段か増田六段か

 冒頭の文章の構造を分かりやすくすると、次のようになる。

    ○○を連覇し、
    ○○と言われた、
    増田六段を
    圧倒した。

 文末の「圧倒した」の主語が藤井七段であることは明白である。けれども、○○を「連覇し」たのは、藤井七段のようにも読めるし、増田六段のようにも読める。

 実際は、○○を連覇したのは増田六段である。

 「では、どう書けばいいのか」という点については、次の【3】の問題とも絡むので、後述する。

 
 【3】 ○○を連覇したから○○と言われたのか

 ○○を連覇したのが増田六段だとすると、連覇したが故に○○と言われたようにも読める。

 増田六段は2013年にプロ入りが叶わぬままに中学を卒業したのだから、「5人目の中学生棋士になるのでは」と言われたのは、当然、それよりも前のことである。

 従って、2016,2017年の棋戦連覇が、「5人目の中学生棋士になるのでは」と言われた原因ではありえない。

 できごとを、時間の流れと逆に書くから、誤解を招きかねないのである。

 以上に述べたことを踏まえて以下のように書けば、誤解の余地はない。

一時は藤井七段より前に5人目の中学生棋士になるのではとも言われ、若手棋戦である新人王戦を2016、2017年と連覇した、増田六段を圧倒した。



 -- 【追記 2018.8.4】 ----------------------------------------------------------------------

増田・藤井


 
 
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 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

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