分かりにくさが第一

 本日は、いつもとは真逆に、「分かりにくさが第一」のためのテクニック集である。

【1】 文字を小さく 文字を小さく


 手元に生命保険の約款があるのだが、なんと400頁を超える圧巻である。常日頃、問題をかかえた当事者に契約をちゃんと読んだのかを尋ねている弁護士や裁判官でも、この約款の全部を読んだ上で契約をする者など皆無だろう。

 とはいえ、中には気になる部分もあるので、全く読まないわけでもない。

 ぱらぱら頁をめくっていると、小さな数字が並んだ表がある。表の題名は、「疾病入院特約の解約返戻金額例表」というものなのだが、文字の大きさが4ポイント程度で、普通には読めない大きさなのだ。まるで、「どうせ読まないんだから、これでいいだろう」と言われているようである。

【2】 文字の色を薄く 文字の色を薄く


 相談者から、商品や役務をクレジットで購入したときの契約書を見せてもらう機会がある。

 商品内容や支払金額などの契約の核心部分は署名捺印欄とともに書面の表に印刷されているが、契約条項の全文は、裏面にある。

 ところが、この契約条項は、文字の大きさは小さいとは言え8ポイント程度あるので、さほど問題ではないのだが、文字の色が、明るい黄緑色や淡い青色などで、とにかく読みにくいのである。

 しかたなく、コピーをして、文字を黒にしようと考えても、普通にコピーしたのでは、薄すぎて読みとれない。そこで、コピー機の設定を濃くすると、紙自体が薄いため、今度は表の文字までが重なってコピーされてしまい、とても読めたものではない。

 上記【1】【2】は、このブログの趣旨からすると、とんでもない手法なのだが、以下に述べる目的からすると、極めて合理的な手法と言える。

① 契約に際して、細部に目を通して、細々とした質問をして営業マンを困らせたりしないようにする。
② 契約締結の前に消費者に不利な条項を発見して契約を躊躇したりしないようにする。
③ あとで問題が起きたとき、消費者から相談を受けた弁護士が契約内容を把握するのを困難にする。


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  保険業法施行規則や割賦販売法施行規則 などでは、一定の書面について「●ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない」といった条項がある。ただ、生命保険契約の約款については規制はなく、また、文字の色や濃さについての具体的な定めは、極く限られた重要事項について「赤」で記載することを求めている外には、存在しないようである【2016.2.13追記】。
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 弁護士として、どうすれば、効率よく、的確に、情報を取得・提供できるか、ということを常に考えています。

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 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

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