経産省機密保持契約書  時系列に配慮

 経済産業省のウェブサイトには様々な契約の参考書式が掲載されており、企業法務関係者には大変ありがたいことである。

 その中に、【業務提携の検討における秘密保持契約書の例】というのがあり、そこに、こんな記載がある。

以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。
① 開示を受けたときに既に保有していた情報
② 開示を受けた後、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③ 開示を受けた後、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
④ 開示を受けたときに既に公知であった情報
⑤ 開示を受けた後、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報


 ざっと読んで、若干のストレスを感じる。もう一度、見てほしい。

以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。
① 開示を受けたときに既に保有していた情報
② 開示を受けた、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③ 開示を受けた、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
④ 開示を受けたときに既に公知であった情報
⑤ 開示を受けた、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報


 ①④と、②③⑤は、別の時点のことを指している。上から順に読み進めると、時間が前に行ったり後に行ったりして、非常にストレスを感じる。特別の事情のない限り、時系列に沿って過去から順に未来のことへと書くべきだ。

以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。
① 開示を受けたときに既に保有していた情報
② 開示を受けたときに既に公知であった情報
③ 開示を受けた、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
④ 開示を受けた、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
⑤ 開示を受けた、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報

(順番の入れ替えに伴い、番号も振り直している)

 ところで、経産省の契約書の記載例の順番にも、全く合理性がない、と言うわけでもない。

以下の情報は秘密情報の対象外とするものとする。
① 開示を受けたときに既に保有していた情報
② 開示を受けた、秘密保持義務を負うことなく第三者から正当に入手した情報
③ 開示を受けた、相手方から開示を受けた情報に関係なく独自に取得し、又は創出した情報
④ 開示を受けたときに既に公知であった情報
⑤ 開示を受けた、自己の責めに帰し得ない事由により公知となった情報


 つまり、情報の公知性の問題を最後に④⑤として、まとめ、公知性に関わらないものを前半に配置し、それぞれの中では、時間順になっているのである。

 秘密保持義務が解除される実質的な理由という点では、公知性の問題と、それ以外の問題とでは異なるのであり、その限りにおいては、合理性がある、ということである。

 もう少し説明すると、公知すなわち誰もが知っている場合は、そもそも、特定当事者に秘密保持義務を課しても無意味であるから、義務が解除されるのに対して、それ以外の場合は、何らかの特別な理由で被開示者が取得した事実については、被開示者の利益を優先させるために義務を解除する、ということである。

 そうは言っても、やはり、単純な時間の順番の方が分かりやすいように思う。

マスク製造装置に関する「おことわり」

 コロナウイルスの感染拡大に伴い、マスクが品薄状態になっている【マスクよ、どこに 週1億枚のフル生産でも品薄が続く 2020.2.28 朝日】。当然のことながら、マスク製造装置も品薄になっている。

 そのため、装置を扱う会社には問い合わせが殺到しているようで、装置を輸入している【山口産業株式会社のウェブサイトのトップページ】は、こうなっている。

山口産業-1

 中央の赤色部分を拡大すると、こうなっている。

山口産業-2

 これなら、マスク製造装置を求めて、この会社のウェブサイトを訪れた人には、状況が一目で分かる。

 情報発信は、こうすべきだ、というお手本のような分かりやすい告知方法だ。

 他方、コロナウイルスに関する情報を求めてアクセスが殺到していると思われる【厚生労働省のトップページ】は、こうなっている。
https://web.archive.org/web/20200229154059/https://www.mhlw.go.jp/index.html
 
厚労省-1

 赤文字部分を拡大すると、こうなる。

厚労省-2

 コロナウイルスに関する日本語情報は、1行目、英語、中国語が2,3行目となっており、その下が、ハンセン病、優生保護法に関する情報となっている。

 ハンセン病、優生保護法に関する情報が重要なのは理解できるものの、大多数の国民の関心事はコロナウイルスであり、厚労省のウェブサイトを訪れる人の圧倒的多数はコロナウイルスに関する情報を求めて訪れるものと考えられる。

 そうであれば、なによりも、その情報に一目でたどり着けるような表示にすべきである。

 改善案は、こうだ。
 
 
厚労省-4


 これなら、一目で分かる。

成立された働き方改革法案

 【あらゆる労務領域をカバーする人事労務システム JBpress】という宣伝記事の冒頭に、こんな記述があった。

 2018年6月29日に成立された、働き方改革法案。2019年4月1日をもって、ついに改正法が適用開始されはじめました。


 意味をとれないことはないのだが、日本語として、おかしい。

 ● 成立された → 成立した

    法律が自ら成立したのではなく、国会が法律を成立「させた」ことから、受け身の「された」がいいと考えたのだろう。
    だが、「成立する」は自動詞であり、これを「成立された」と受け身にはできない。
    受け身にするなら、「成立させた」を受け身にして「成立させられた」とすべきである。
    もちろん、そんな回りくどい表現をすべきではなく、単に、「成立した」とすれば足りる。

 ● 働き方改革法 → 働き方改革法

   「法案」は審議、議決の対象であり、可決された時点で「法(律)」となる。

   水を熱すると湯になるが、「水が沸いた」とは言わずに「湯が沸いた」と言うのと同じだ。

法案成立-2


 ● 適用開始され始めました → 適用開始となりました

   「開始」と「始め」で意味が重複している。

   思いが強いと、つい、このような重複表現をしがちなので、要注意だ。

   私も、自分の書いた文章を読み返して「明らかに○○であることは明白である」といった表現に気づいて、慌てて、訂正をすることが結構ある。気をつけているつもりでも、このブログ記事の中に、同様の重複表現が残っているかも知れない。



 

「適切な相談」とは ???

 コロナウイルスの感染対策に関する昨日の厚労大臣の記者会見で、国民へのお願いの一つとして、次のようなことが述べられていた【厚労省 大臣記者会見概要 2月25日(火)】。
 

感染の不安から適切な相談を行わずに医療機関を受診することがないようにしていただきたい。

(動画の、1:45 当たりから上記の発言を聴くことができる)

 不安におびえて国民が医療機関に殺到すると、医療機関がパンクしてしまうため、「適切な相談」という関門を設けようということのようだ。

 だが、「適切な相談」って何だろう。

 まさか、夫婦で「昨日から熱があるんだけど、コロナウイルスかな」「その可能性はあるよね」「じゃあ、病院に行った方がいいかな」「そうね」と、こんな会話が「適切な相談」だとは思えない。

 家族以外の友人に相談するのも、「適切な相談」ではないだろう。

 相談先は素人ではなく、専門家でなければならないだろう。

 では、その専門家とは、保健所、薬剤師、誰なのか。受診を考えている先の病院に相談せよ、ということか。

 具体的な「相談先」が指示されなければ、「適切な相談」などしようがない。

----- 追記 2020.2.28 -------------------------------------------------------------------
 
 記者会見の全容は、【厚労省 大臣記者会見概要 2月25日(火)】で見ることができるが、すぐに文字データとして発表されるものと思っていた。

 ところが、現時点でも、「会見議事録は準備中」となっている。 

厚労相会見議事録

 4時間の会見であり、テープ起こしには、実際の時間の3~6倍かかると言われていることからすると、最大で24時間でテープ起こしは完了するはずである。

 急を要する様々な感染症対策のため、テープ起こしなどには省内の職員の手が割けないのであれば、外注すれば足りるのであり、3日前の会見の議事録が「準備中」というのは、理解しがたいことである。



グラフの進化

 約1年前、【やはり、グラフが一番 後日談】に、次のようなグラフを掲載した。

 
出願

 今、改めて見返してみると、何となくさみしい感じがする。

 そこで、改訂版を作成してみた。

出願者数・改訂版-2


 どこが変わったか。

 ● グラフの中に、数値を記載した。

 ● 年号が和暦だけだったのに西暦を加えた。

 ● 縦軸に(人)と単位を記載した。

 ● 各折れ線が何を意味するかを、グラフ領域の折れ線の側に書き込んだ。

 違いが分かるよう、並べてみた。

出願 出願者数・改訂版-2 


 こういった「進化」をとげたのは、読者の皆さんのコメントや「わがままな要望」のお陰である。

 コメントやDMでの、率直な、ご意見、要望等を、お待ちしています。

★管理人へのメールは、ここをクリック★

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 出願者数だけでなく、受験者数についても、グラフを改訂した。

受験者数・改訂版-2


----- 追記 2020.2.27 -------------------------------------------------------------------

 Schulze BLOG の【令和2年司法試験予備試験 出願者数(速報値)15,318人(昨年同時期+824人、5.7%増)、過去最高を更新】に基づき、今年の出願者を含めたグラフを作成した。

 
出願者数-2020


 昨年の試験は、出願の時点では平成、受験の時点では令和だが、同一の試験について平成と令和が混在するのは混乱のもとだと考え、H31 ではなく R1 にした。

「クライテリア」ってなんだ?

 コロナウイルスの感染拡大に伴い、どこのテレビ番組を見ても感染症対策の専門家が登場して解説をしている。

 今朝のテレビで専門家が「クライテリア」という言葉を発していた。

 一瞬なんだ?と思ったのだが、文脈から考えて「判断基準」のことのような気がしたのだが、念のため調べてみると、そのとおりだった。

 専門家は専門家であるがゆえに、日常的に専門用語に接し、それを使い回しているわけで、テレビで一般国民に向けて情報発信する場合も、その習性が抜けきれず、このような専門用語を使ってしまうのだろう。

 専門家が一般人に馴染みのない専門用語を振り回した場合、気の利いた司会者なら、それを分かりやすい言葉に言いかえたり、専門家に、その意味を尋ねたり、ということがあるのだが、今回の「クライテリア」については、そういうことがなかったため、自分で調べざるを得なかったのである。

 専門用語に限らず、前提となる事実関係についても、他人が自分と同じ知識をもっていると考えるのは危険であり、常に、情報の受け手のことを考えて、用語はかみ砕いて説明し、多少くどい感じがしても前提事実については改めて説明する、という姿勢が必要である。

 その場合、抽象的に「世間一般の人」と考えても中々難しいので、具体的な人を想定するのがいいだろう。
 
 私の場合は、高校に入ったころの10代の自分、あるいは、40代の姪、70代の昔の飲み仲間などを想定して、彼らに分かるかどうか、ということを考えるようにしている。

 同世代の仕事仲間を3人想定しても、意味がない。上記の3人のように、年齢も、育った場所も、職業も、家族関係も、まったく共通点のない3人というのがポイントである。

----- 追記 2019.2.28 -------------------------------------------------------------------

 今朝もコロナウイルスに関するテレビを見ていて、スタジオで次のようなやりとりがあった。

  専門家 レスピレーターを使用して・・・
  司会者 レスピレーターって、何ですか?
  専門家 あっ、ごめんなさい。呼吸器です。
  司会者 呼吸器なんですね。

 専門家も、専門用語を使わないように気をつけていても、ふと、使ってしまうことがあるわけで、そんなときこそ、司会者の適切な対応が求められる。



24時間営業をやめた店舗の半数が大都市圏に集中

 近所のコンビニの「アルバイト募集中」の貼り紙が色褪せている。

 24時間営業の店は人手の確保に大変なようだ。

 今朝の新聞で、【脱24時間コンビニ400店超 人手不足の都市郊外に集中 チャートは語る 2020.2.23 日経】と言う記事を読んだ。

 記事には、24時間営業をやめた店舗が大都市圏に集中していることを示すデータとして、次のようなグラフが掲載されていた。

 
脱24時間営業

 これを見れば、確かに、24時間営業をやめた店舗の半数が大都市圏に集中していることが分かる。

 だが、そもそも、コンビニ自体が、大都市圏に集中しているのだから、24時間営業をやめた店舗が大都市圏に集中するのは当たり前のことである。

 コンビニ自体の大都市圏への集中度よりも、24時間営業をやめた店舗の大都市圏への集中度が特別に高いのであれば、特筆すべきことであるが、コンビニ自体の集中度を示さなければ、記事としての意味はない。

 何らかの主張に数値が根拠として示されている場合、その数値だけでは主張を裏付けられない、といった論理飛躍は、このブログでも度々取り上げてきた。

 今回の記事とともに、そのような記事を一覧できるようにしたので、【こちら】を、ご覧いただきたい。

GAFAM 創業者

代表的なIT企業五社、GAFAMの創業者の一覧表を作成した。

 出生から現在(故人については死亡時)までを |||||| で表現した( | 一つが1年に相当する)。
 創業の年を、| で表現した。
 
MGAFA

 「時間」は目に見えるものではないが、こうして視覚化することによって、前後関係、時間の大小を、現実的なものとして理解することができるし、記憶にも残る。

 なお、GAFAMの「M」であるマイクロソフトは、現在でも巨大なIT企業であることは間違いないが、個人情報の集積、活用という点で他の四社に遅れを取るようになっていることから、現在では、GAFAというのが一般的になっているようである【Wikipedia】。


女流棋士の昇段 成績と実績の違い

 先日、【引退棋士・フリークラス棋士の昇段規定  決めるのは誰だ?】という記事で、【将棋連盟の昇段規定】のことを書いた。

 昇段規定には、「七段昇段後公式戦190勝」といった形式的な基準のほかに、「抜群の成績」といった判断の分かれる基準もあることを紹介したが、「棋士」だけでなく「女流棋士」の昇段規定にも、同様の「判断の分かれる」基準があった。

【1】 引退棋士・フリークラス棋士については、年数などを加味して昇段することがある。
【2】 抜群の成績を挙げた場合は、理事会にて審議の上、昇段を決定することがある。
【3】 女流六段以上 抜群の成績と実績を理事会で審議の上決定することがある。


 「成績」と「実績」は、どう違うのか、分からない。

 女流棋士は勝負の結果だけでなく、男性の棋士に比べて普及活動などでの活躍が期待されており、それを「成績」とは区別して「実績」と呼んでいるのかも知れない。

 そういうことなら、「対局成績」と「普及実績」と端的に表現すればいい。

 あと、各規定の後半部分に注目してほしい。

【2】 抜群の成績を挙げた場合は、理事会にて審議の上、昇段を決定することがある。
【3】 女流六段以上 抜群の成績と実績を理事会で審議の上決定することがある。


 一方は「理事会にて」他方は「理事会で」と異なった表現となっている。

 また、「審議の上、昇段を決定」と「審議の上決定」と、一方は、「昇段」とあるが他方はない。

 なお、「審議の上」の後に読点「、」を付ける方がよいのは、ずっと以前の記事【検察官A出席の上審理し、次のとおり判決する。】でも触れたとおりである。

 なお、補足するが、「棋士」は男女誰でもなれるが、実際には、女性で「棋士」になった者はいない。「棋士」とは別に「女流棋士」という制度も存在するが、これは、当然、女性に限るもので、人数は、「棋士」の3分の1程度である。

 現在、西山朋香女流三段が、女性初の「棋士」になれるか否か、注目されている【過去の例では14勝4敗はほぼ昇級ライン 西山朋佳三段(24)は2連勝して初の「女性棋士」となれるか? 2020.2.18 松本博文】。

乗員と乗客

 豪華客船内での乗員、乗客へのコロナウイルスの感染が話題になっているが、テレビのコメンテーターが「乗員、乗客」と言うときに、「員、」と、「員」「客」だけを、ひときわ強く発音していた。

 「乗員」と「乗客」では、「乗」の部分が共通で印象が強いため、「員」と「客」を普通に発音したのでは混同されかねないという配慮が働いたのだろう。これはこれで、「分かりやすく」するための配慮として評価したい。

 だが、どうせなら、「乗務員、利用客」「クルー、ゲスト」のように、発音の共通部分が全くないような言葉を用いれば、混同はありえなくなるだろう。

共通部分・乗-2

 一昨日の【被疑者と被害者 「疑」と「害】でも、「ほし」「がいしゃ」という全く違った言葉が警察の現場では使われているようだが、これも、混同を回避する機能をもっている。

共通部分・被者

 さらに、このブログを始めるきっかけとなった【フランチャイザーのフランチャイジーに対する債権を担保するために、フランチャイジーからフランチャイザーに対して・・・】でとりあげた、「フランチャイザー、フランチャイジー」も「本部、加盟店」とすることによって絶対に混同することはなくなる。
共通部分・フランチャイ

 
 【市ヶ谷キャンパスと市ヶ谷田町キャンパス】で取り上げた市ヶ谷にある二つのキャンパスも同様の問題を孕んでいる。

 ただ、解決手段としては、上記3例のように共通部分のない全く違った言葉を用いるのではなく、ほとんど共通していながら、「1」「2」という数字を用いることによって、明確に区別することができる。

共通部分・市ヶ谷キャンパス

 「1」「2」のような数字ではなく、「本村」「田町」といった固有名詞で区別しようとすると、「市ヶ谷キャンパス」と一体となってしまい、識別機能、記憶への定着力は弱くなってしまう。

 

飛沫感染、空気感染

 コロナウイルスの感染が拡がる中で、「飛沫感染」「空気感染」といった言葉を聞くことも多い。

 両者の違いはなんとなく分かっているような積もりだったのだが、確たる自信はなかった。

 ネットで調べてみると、【飛沫(ひまつ)感染と空気感染の違いって何だろう?】という記事に図解されていた。

 
飛沫感染


 一目瞭然で、とても分かりやすい。

 分かりにくい文章にストレスを感じて書き始めた、このブログである【I am not a lowyer.】が、幸か不幸か素材に困ることはあまりないのだが、、こんなふうな分かりやすい解説を見ると、本当に嬉しくなる。執筆者に会ったら、頭をなでてあげたくなりそうだ。

被疑者と被害者 「疑」と「害」

 刑事ドラマでは、犯行現場で刑事が犯人や被害者に扮して犯行状況を再現する場面が出てくることがある。

 例えば、テレビ朝日の【ケイジとケンジ】には、こんな場面がある。

 
犯行再現-1


 それぞれ、「被疑者」「被害者」と書かれたゼッケンのようなものを付けているのだが、文字がはっきりとは見えない。

 傷害事件の再現であれば両者が取っ組み合ったりするのであるから、「被」とか「者」の文字しか見えず、どっちがどっちか分からなくなる場合もあるだろう。

 そもそも、「被疑者」「被害者」は先頭の「被」と末尾の「者」は共通であり、両者を区別する機能は、真ん中の「疑」と「害」の1文字だけである。

 そうであれば、ただ、単に「疑」「害」と大書すればいい。あるいは、「疑疑疑」「害害害」としてもいいだろう。

 
犯行再現-2


 文字で区別するだけなら、ここまでが限界だが、例えば、被疑者被害者と色で識別すれば、分からなくなることはありえない。

 柔道では、だいぶ前から一方は白、他方は青の柔道着を着用することによって、観客も審判も識別することが容易になっている。

 
柔道


 伝統を枉げてカラー柔道着を導入することには議論があったようだが、青と白で識別することに落ち着いたようである。【Wikipedia カラー柔道着】。


引退棋士・フリークラス棋士の昇段規定  決めるのは誰だ?

 2年前、藤井聡太四段が僅か4か月のうちに五段、六段、七段と昇段して話題になった【藤井聡太六段、史上最年少で七段昇段 船江六段を下す 2018.5.18 asahi.com】。

 具体的な昇段年月日と昇段理由は、【Wikipedia】 によれば、以下のとおりである。

2016年10月1日 - 四段(プロ入り)
2018年2月1日 - 五段(順位戦C級1組昇級)
2018年2月17日 - 六段(五段昇段後全棋士参加棋戦優勝 - 第11回朝日杯将棋オープン戦)
2018年5月18日 - 七段(竜王ランキング戦連続昇級)


  【将棋連盟の昇段規定】には、例えば、「七段昇段後公式戦190勝」で八段に昇段するといった昇段の基準が定められており、それに該当すれば、自動的に昇段する。

 他方で、形式的な基準では律しきれない場合があることを想定して、規定には、こんな柔軟な定めもある。

【1】 引退棋士・フリークラス棋士については、年数などを加味して昇段することがある。
【2】 抜群の成績を挙げた場合は、理事会にて審議の上、昇段を決定することがある。


 昇段の基準は「年数など」あるいは「抜群の成績」と、人によって解釈の分かれる余地のある「基準」となっているので、その時点での「誰か」の具体的な判断が必要となってくる。

 そこで、規定を見返してみると、【2】は、「理事会にて審議の上、昇段を決定」と書かれているが、【1】は誰が決定するのか書かれていない。

 明らかに規定の不備である。

 おそらく、規定【1】が先に作られ、後日、規定【2】が作られる際に、より精緻な上記の規定になったのだろう。その時点で、同時に規定【1】も見直せばかったのだが、そこまでは気が回らなかったということだろう。




棋王戦  渡本 vs 辺田 

 【新鋭・本田奎五段(22)タイトル戦初勝利 棋王戦五番勝負第2局で渡辺明棋王(35)を降す】という記事に、次のような表があった。

 
棋王戦


 左上から右へ読んで行き、「第45期(2019年度)  渡  本」とあるのを見て、一瞬、何だ?と思った。

 改めて見直すと、「渡」の次は、右隣の「本」ではなく、真下の「辺」だ、ということが分かった。

 似たようなことだが、ときどき、こんな表札を見るかけることがある。

 
表札


 これでは、「中野、田村」なのか「中田」、野村」なのか、分からない。

----- 追記 20202.17 -------------------------------------------------------------------

 以前こんな看板を見かけたのを思い出した。

 
幼児-2

 これなら、縦に読んでも横に読んでも「幼児、児童」である。

 ただ、「幼児、児童」が飛び出すことがあるから注意せよ、ということなのか、保育園や学童保育の送迎バスの停車場所を指すのか、どういう趣旨なのかは分からない。





藤井聡太、七段チョコレート

 昨日もらったゴディバのチョコレートは、あっという間に食べてしまった。

 二段重ねのチョコレートだったら今日もチョコレートを食べられたのに・・・、などと考えていたときに、こんな記事を目にした。

羽生善治七冠達成、藤井聡太七段チョコレート300個 将棋界におけるバレンタインデーの記録


 思わず、藤井聡太君ともなれば、熱狂的なファンから七段のチョコレートをプレゼントされるのか、羨ましいな、と思ったのだが、全くの誤解だった。七段は、チョコレートを修飾しているのではなく、藤井聡太君の肩書きだ。

 普通に読めば誤解することはないような記載でも、読み手の精神状態によっては、こんなふうに誤読してしまうこともある。そんな誤読の余地をなくすには、こうするほかはない。
 

羽生善治七冠達成、藤井聡太七段、チョコレート300個 将棋界におけるバレンタインデーの記録




抗生物質出しときましたから

 医者に行って、「抗生物質、出しときましたから」と言われることがある。

 何も分からないまま、「はぁ」と返事をする。

 なんとなく、「普通の薬」よりも強力そうな感じがするのだが、実際は、どうなのだろう。

 【Wikipedia】によると、「微生物が産生し、ほかの微生物の発育を阻害する物質」とされている。

 医者が「抗生物質」という言葉を使う場合、「微生物が産生した」ということを患者に伝えたいわけではないだろう。

 あと、薬のコマーシャルで、耳にするのが「生薬配合」である。

 なんとなく、「生」の文字から、自然のままのもので、体に馴染む、副作用も少ないもののような感じがする。

 【Wikipedia】によれば、「天然に存在する薬効を持つ産物から有効成分を精製することなく体質の改善を目的として用いる薬の総称」ということである。

 「タウリン1000ミリグラム」にせよ、「コンドロイチン配合」にせよ、医薬関係には、なんとなく、雰囲気で「いいもの」のように感じさせる言葉で溢れている。

 医療関係ではないが、上記2例と同様に、分かったようで分からない言葉として、「白身魚のフライ」というのも、よく目にする。

 これは、「いいもの」に感じさせる効果はなさそうだ。

 むしろ、鯛とかヒラメなどであれば、ちゃんと名前を出すのに、それを出さないということは、あまり「高級」とはされていない魚、あるいは、日本人に馴染みのない魚であることが普通である。

 試しに店員さんに「白身魚って、何の魚ですか?」と聞いてみるとよい。ちゃんと答えられることは稀だろう。

 今日は特に取り上げる素材がなかったので、日頃から何となく思っていることを、何となく書き綴った。

 このように、分かったような分からないような言葉が広く使われているわけだが、詳細で正確な情報を伝えることを目的としていない場面では、そんな言葉で十分なのだろう。

 医者も、一々、患者から「抗生物質ってなんですか」「他の薬とどう違うんですか。私にとって、その違いは意味があるんですか」などと質問攻めにされたら困るだろう。何となく、分かった振りをして、「はぁ」と答えるのが大人の対応というものだろう。

自殺死亡率  単位は不可欠

 先日の【自殺者の推移  伝えたいことは明示する】では、以下のグラフを掲載し、男女の色分けが誤解を招くと言うことを指摘した。
 
自殺者-厚労省-4

 改めて、このグラフを見て、より根本的な問題があることに気づいた。

 日本の自殺死亡率「18.5」である。

 単位がない。

 多くの場合、「率」の単位は「パーセント」だが、ここで「パーセント」はありえない。

 「パーセント」以外によく用いられる割合は、「10万人当たり○人」という表現である。

 自殺死亡率の場合も、そうであれば、1.2億人 × 18.5人 ÷ 10万人 ≓ 2万人 ということで理解できる。





京大生協の営業時間  当面必要な情報と、その他の情報

 京大生協の食堂の営業時間をネットで検索すると、【現在の営業状況】という頁が出てくる。

京大生協-0815

 ご覧のように、現時点での営業状況と、開店前なら何時に開店するかが出ている。

 これは結構なのだが、できれば、閉店時間も表示しておいた方がいいだろう。

 数時間経つとこうなっている。

 
京大生協-1325

 現に開店している店舗については、閉店時間も表示されている。

京大生協-1514

 営業を終了した店舗が出てくるが、翌日の利用のことも考えれば、翌日の開店時間の表示があった方がいいだろう。

 なお、当日の営業状況だけでなく、長期的な営業状況を調べたければ、次のようになっている。

京大生協-1514-上


 とりあえず利用者が多いと思われる「現在の営業状況」だけを表示し、長期的な営業状況を知りたい人は、一手間かける、という仕組みは理にかなっている。

 最初から全情報を掲載する、というのは、結構なことのようだが、その反面、多くの人が必要とする当日の情報を捜すのに時間がかかることもある。


高速度撮影、善意の第三者

 テレビで、スローモーションの映像が出るとき、「高速度撮影」という説明が流れることがあるが、未だに馴染めない。

 1秒間に24コマで普通に撮影したものを10倍の時間をかけて再生しても、スローモーションにはなるものの、画像は、1秒間に2.4コマであり、動きがぎこちなくなってしまう。

 ところが、通常の10倍の高速で240コマ撮影し、それを10倍時間をかけて再生すれば、画質を落とすことなく、スローモーション映像になる。

 そういうわけで、「高速度撮影」というのは間違いないのだが、見る側の感覚としては、「低速度再生」と言ってくれた方が実感として理解できる。

 同じように実感として馴染めない言葉に「善意の第三者」というのがある。

 法律用語で、ただ単に、ある事実を「知らない」ということを「善意」と言っているのだが、「善意」と言われると、道徳的に善良といった意味が想起されてしまう。

 おそらく、ドイツかフランスの法律用語を日本に導入するに際して、当時の学者の誰かが、「善意」と訳してしまったために、この用語が定着してしまったのだろう。

 感覚的には、「不知の第三者」と言ってくれた方がしっくり来るのだが、今さら、どうしようもないのかもしれない。

自殺者の推移  伝えたいことは明示する

 昨日の【自殺者数の推移  注目すべき箇所を明示する】で、次のような改善案を示した。

自殺者-厚労省-5

 けれども、これだけでは、誰もが分かる、とは言いがたい。

 そこで、ストレートに、こうしてみた。

自殺者-厚労省-3

 これなら、嫌でも伝わる。

 人に何かを伝えたいのに、「そこまで書かなくても」とか「そのまま書いているだけで工夫がない」「洗練されていない」といった感情に囚われて、結局、「分かりにくく」なることがある。このことは、これまでも、【「分かりにくさ」の原因は、これだ】【お洒落すぎる!】等で書いてきた。

 「伝える」ことが目的である以上、他の点は目をつぶるしかない。

----- 追記 2020.2.12 -------------------------------------------------------------------
 
 グラフを何度も見ているうちに、何となく引っかかるところがあった。

 もう気づいている人もいるかもしれないが、折れ線の色である。

 男女別のグラフなのだから、青赤で色分けするのが最も自然に受け入れられる。ことさら、オレンジを男、青緑を女とする理由は全くない。たぶん、「無頓着」に色分けしたのだろう。

 その後に気づいたのだが、同じサイトの下の方に、国別に自殺率のグラフがあった。

 
自殺者-厚労省-4

 何と、男はピンク、女は水色だ。

 ここまで来ると、「無頓着」どころか、積極的に誤解させようとしているように思えてくる。



自殺者数の推移  注目すべき箇所を明示する

 先日の【自殺者3万人、交通事故死者1万5000人  過去の記憶に引きずられない】で、【厚労省のサイト】に掲載された自殺者の統計を掲載した。

自殺者・厚労省

 折れ線グラフの中に数カ所、数値が記載されている。

 右端は、直近の2018年の数値だということが分かるが、他の数値は、どういう意味があるのか、すぐには分からない。

 しばらく眺めているうちに、過去最高値を記録した2003年と、3万人を突破する前後の1997年、1998年の数値が記載されていることが分かった。

 そういうことなら、最初から、そのことが読み取りやすくなるように、注意を喚起しておけばよい。 

自殺者-厚労省-5



ノーベル賞と他の賞との関連性

 マンモスの牙やオオツノジカの角が無駄に大きくなり過ぎるなど、一定の方向への進化が実際には不便なほどにまで進む現象を【定向進化】とよぶ。

 本ブログも、【フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞  分子だけでは分からない】という記事を書いたことがきっかけで、ノーベル賞と他の国際的な賞との関連性に興味を持って、【ガードナー国際賞  ノーベル賞との関連性】を書いて、さらに、今回の記事ということで、「分かりやすさの追究」というブログ本来の目的から離れて、「ノーベル賞と他の国際賞との関係」という方向への定化進化が進んでいるように見えるかもしれない。

 とりあえず、これまで取り上げたフンボルト賞、ガードナー国際賞に加えて、ウルフ賞、ラスカー賞について調べた結果を掲載する。

(赤の矢印の始点が国際賞の受賞年、終点がノーベル賞の受賞年)

ノーベル賞-ウルフ賞

ノーベル賞-ラスカー賞


 個別にノーベル賞との関連を示しただけでは全体像は見えてこない。そこで、一覧表を作ってみた。

ノーベル賞-他の賞との関連


 こうすると、最初に取り上げたフンボルト賞よりも、他の三賞の方が遙かにノーベル賞との関連性が高いことが一目瞭然であり、中でも、ウルフ賞が一番、関連性が高いことが分かる。

ガードナー国際賞  ノーベル賞との関連性

 先日、【フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞  分子だけでは分からない】という記事を書いたが、フンボルト賞よりも遙かにノーベル賞と関連性のある賞に、【ガードナー国際賞】というのがある。

 ノーベル賞との関係を分かりやすく表にすると、こうなっている。
 
ガードナー国際賞
(赤の矢印の始点がガードナー国際賞の受賞年、終点がノーベル賞の受賞年)

 過去の受賞者9人のうち、4人がノーベル生理学医学賞を受賞している。フンボルト賞受賞者21人のうち、ノーベル賞を授賞したのが小柴氏ひとりなのと比べると、「輩出率」は約10倍である。

 ちなみに、日本人のノーベル生理学医学賞受賞者でガードナー国際賞を受賞していないのは、本庶佑氏ひとりだけである。

コロナウイルス感染者  国名の順番

 コロナウイルスの感染が拡がっているが、厚労省の【新型コロナウイルス感染症の現在の状況と厚生労働省の対応について(令和2年2月6日版)】に、こんな表がある。

コロナウイルス感染-1

 中国、香港、マカオ、台湾と並んでいるのを見て、最大の感染源と周辺地域となっているので、その下は、韓国、日本など東アジア諸国が並んでいるものと思って下を見ていくと、タイ、韓国、米国、ベトナムとなっていて、地域分類という「仮定」は間違いだった。

 そこで、感染者数で並んでいるのかと思い、数字を見ていくと、そうでもない。

 あれこれ考えたのだが、国、地域の順番に規則性を見いだすことはできない。

 そこで、感染者数の多い順位に並べ替え、データバーで、数の大小が直感的に分かるようにした(中国だけは、感染者数が突出しているので、   部分の面積が実際の割合より、はるかに小さくしている)。

コロナウイルス感染-2


 データバーのお陰で、中国以外に死者の出たのが、香港、フィリピンの2地域だけだと言うことが一目で分かる。

令和2年司法試験出願者の属性  昨年との比較

 Schulze BLOG の【属性別 司法試験出願者数の推移(令和2年司法試験出願者速報値反映版)】に今年の司法試験の受験予定者の属性に関する数値が載っていたので、グラフにした。

司法試験受験-2020-男女-3


司法試験-2020-受験科目-3


司法試験受験-2020-試験地-3


 昨年の数値についても【司法試験受験予定者の属性に関するグラフ】に掲載しているが、単に今年のグラフと見比べるだけでは変化を読み取るのは面倒なので、昨年からの増減についても記載した。


先月の営業時間

 午前中に、とある大学の近くで用事があったので、昼食は大学内の食堂でとろうと思い、ネットで営業時間を調べてみた。

 
食堂-1


 なんと、5日までは休みとなっている。

 入試のシーズンなので休みなのか? そう思って諦めかけたのだが、画面をスクロールしていくと、今度は、こんなのが出てきた。

食堂-2

 どういうことかと、もう一度、一番上まで遡って表示すると、そこには、「1月の営業時間」と記載されていた。もちろん、下の方には、「2月の営業時間」と記載されている。

 2月に入ってから、1月の営業時間を調べようという人がいるのだろうか。

 例えば一月前に起きた殺人事件で容疑者が犯行時刻に大学の食堂で食事をしていたと主張した場合の「アリバイ崩し」をしようという刑事なら、前の月の営業時間の情報が不可欠だが、普通の人には不要である。

 ほとんどの人は、その日の営業時間を知りたくて、ウェブサイトで確認するのであり、その場合、最初に目に飛びこんできた表に目をやり、そこに今月の営業時間が書かれていると信じて疑わないはずである。

 過去の情報を掲載するのは、やめた方がいい。誤解を招くだけである。

----- 追記 2020.2.6 -------------------------------------------------------------------

 上記の食堂にメールでお知らせしたところ、すぐに訂正された【同志社大学生活協同組合】。 


female male  固定観念に囚われない

 昨日の【フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞  分子だけでは分からない】に続いて、フンボルト賞の話題だが、【フンボルト財団のサイト】に、ドイツ国内の大学、研究機関別のフンボルト賞受賞者の数の一覧表が掲載されているが、その一部がこうなっている。

 
フンボルト財団

 一目で気がつくのが、"female" "male"の順番だ。

 日本なら、男女の順番が普通だが、そのような固定観念に囚われない、という強い意志が感じられる。

 「分かりやすさ」という点では、男女の色分けと同様、微妙な問題ではある。これに関連した記事も何度か書いてきた。

  【解説図(徘徊事故 最高裁判決)を比較する
  【色分けに注意
  【司法試験出願者の属性  情報伝達における二つの重要な視点
 






 

フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞  分母と分子、どちらも必要

 【東京大学 国際高等研究所 カブリ数物連携宇宙研究機構】のホームページに、次のような記載がある。
 

IPMU主任研究員でカリフォルニア工科大学の大栗博司教授が、場の量子論と超弦理論の数理的手法の開発の業績により2009年フンボルト賞受賞者に選ばれました
本賞は、「ドイツのノーベル財団」とも称されるアレキサンダー・フォン・フンボルト財団が、自然科学から人文科学、芸術に至る幅広い研究分野のそれぞれにおいて、基本的な発見もしくは新しい理論によって後世に残る重要な業績を挙げ、今後も学問の最先端で活躍すると期待される国際的に著名な研究者に対して授与しています。同財団の最も栄誉ある賞であり、フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞していますノーベル物理学賞受賞者の小柴昌俊氏も同賞受賞者です


 これを見ると、すぐにでもノーベル賞を受賞してもおかしくないように思えるのだが、この記事が出でてから、もう10年なる。

 念のため、日本人でフンボルト賞を受賞した人が何人いるのかを調べてみたのだが、全部で21人であり、その中でノーベル賞を受賞したのは小柴氏ひとりだけだった【Wikipedia】。 

 「フンボルト賞受賞者の40名がノーベル賞を受賞しています」といっても、フンボルト賞の受賞者が、100名なのか、1000名なのかによって、ノーベル賞受賞の期待感は大きく異なる。

 このように、数値は多くの場合、単独では意味がなく、比較して初めて実質的な意味を持ってくる。だから、数値を示す場合は、それだけで本当に意味のある数値なのかを常に吟味しなければならない。

----- 追記 2020.2.5 -------------------------------------------------------------------

 【日本フンボルト協会】によれば、フンボルト賞受賞者でノーベル賞を授賞したのは、48人ということである。

 前記の東京大学の記載は、2009年時点で、40人ということであるから、概ね、毎年、フンボルト賞受賞者の中からノーベル賞受賞者が出ていることになる。

----- 追記 2020.2.10 -------------------------------------------------------------------

 「日本人でフンボルト賞を受賞した人・・・、全部で21人」と書いたが、これは、ノーベル賞の対象分野にない数学賞の受賞者2人除いた数字である。

 これに関連して【ノーベル賞と他の賞との関連性】を書いた。

----- 追記 2020.3.9 -------------------------------------------------------------------

 タイトルの後半部分を変更した。

 【旧】 分子だけでは分からない
 【新】 分母と分子、どちらも必要

 「分子」という単語は、原子・分子の分子と分母・分子の分子の二つの意味があるので、「分子」単独で出てきた場合は、どちらの意味かは分かりにくい。

コロナウイルスの分離に成功  99.9%に、どんな意味があるのか

 中国で猛威を振るっているコロナウイルスだが、【新型コロナウイルス分離成功 感染研、治療薬など活用へ】という記事がある。

感染研によると、患者から採取した組織を培養し観察したところ、細胞に侵入して増殖した大量のコロナウイルスを発見したという。遺伝子配列は中国が公開している新型コロナウイルスの遺伝子型と99・9%一致した。


 分離したウイルスを利用してワクチンが開発された場合、そのワクチンは、0.1%だけは遺伝子型が異なる中国で公開されているコロナウイルスにも効くのか、不明である。

 99.9%という数字の印象からは、「ほとんど同じ」なのだから、多分「効く」のだろう、と言う気がするのだが、ちゃんとした説明がほしいところである。

 例えば、コンピュータのプログラムの場合、何十万字の文字列のうち、1文字でも別の文字に変わってしまえば、それだけで、プログラムとして機能しない場合がある。99.9%どころか、99.999%一致していても、駄目なのだ。

 逆に、小説などの場合は、1000文字に1文字くらいの誤字があっても、小説として、それなりに理解し、楽しむことは可能である(頻繁に誤字に気づいてしまうと、ストレスを感じるのは事実だが、一応、読むことは可能である)。

 99.9%という数字の意味は、このように、分野により異なるのであるから、単に数字を示すだけでは、何の意味もないだろう。

 【マグネシウムは、41ミリグラム】にも書いたとおりである。


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