米に発がん性物質!  こけおどし注意報

 小学館の「NEWSポストセブン」に、【茶碗1杯の白米で7.7秒寿命が縮む? 「コメ」に潜む健康リスク】という記事があり、見出しに釣られて読んでみた。

実はコメには、比較的多くの「無機ヒ素」が含まれている
 無機ヒ素とは毒性の高い物質で、短期間で大量に体内に入ると、下痢や嘔吐、発熱などを発症し、症状が激しい場合は死に至ることもある。1998年に起きた和歌山カレー事件で使われた毒物も無機ヒ素だ。米国環境保護庁は、微量でも長期にわたって摂取すると、皮膚がんや肺がん、膀胱がんなどを発症する「発がん性物質」と認めている。 


 米には「発がん性物質」である無機ヒ素が「比較的多く」含まれているというのである。これは、大変だ。

では、そのコメを毎日2合ずつ食べ続けるとどんな影響が出るのか

 福井県立大学教授の岡敏弘さん(現・京都大学教授)によると、茶碗1杯あたり白米で7.7秒、玄米で9.9秒寿命が縮むという。ただし、この計算はコメのメリットを無視して、リスクのみを評価したものであることには注意したい。

 コメは食べすぎれば肥満の原因にもなるので、ほどほどにすべきだ。


  白米ご飯を茶碗1杯で、7.7秒、寿命が縮まるという。

 1食で2杯食べたとすると、1日で6杯となる。

 すると、1年では、 7.7秒 ✕ 6 ✕ 365 = 1万6863秒 寿命が縮まることになる。
 
 つまり、1年間で、 1万6863 ÷(3600 ✕ 24)≓ 0.2 日寿命が縮まる、ということであり、人生80年とすると、0.2 ✕ 80 =16 であり、16日寿命が縮まるということである。80年で僅か16日なら、ほとんど、無視できる程のリスクだろう。

 逆に、この「リスク」を避けるためには、白米の摂取をやめて他の食物を摂取しなければならないのだが、確実にそれができるのか、できたとして、他の食品の摂取による発がんリスクその他のリスクはどうなのか、と考えると、リスクと言うべきではないだろう。

 冒頭の記事の見出しの【茶碗1杯の白米で7.7秒寿命が縮む? 「コメ」に潜む健康リスク】に決して嘘はないのだが、「こけおどし」のように感じられる。

 こういうことを積み重ねていれば、そのうち、センセーショナルな見出しをつけても、「どうせ、ポストセブンだから・・・」と、見向きもされなくなっていくのだろう。

 

京都府内の新聞の発行部数

 京都市内の新聞発行部数を調べていたところ、【 株式会社 北大阪日経オリコミ】というサイトに次のような表があった。

新聞発行部数-0
 
 問題点は、いくつかある。

 ・ 表題の「全域の各新聞の発行部数」、各新聞の名前が2回登場する。 
 ・ 合計欄に「全域」とあるが、各新聞の部数も「全域」であることに変わりない。

 より、分かりやすい表にしてみた。

新聞発行部数-2

 
 ・ 縦が各新聞、横が地域、という二次元の表にした。
 ・ 元の表にはない京都市外の項目を追加した。
 ・ データバー(各領域内に記載する棒グラフ)を用いた。

 その結果、次のようなことが、すぐに読み取れるようになった。

 ・ 京都新聞のシェアが圧倒的で50%に迫り、京都市内に限れば50%を越えていること
 ・ 京都、日経は京都市内が優勢で、朝日、読売は市内外ほぼ同じで、毎日、産経は市外が大半であること
 ・ 産経は京都市内では、実質ゼロといえること
 
 こういったことを最初の表から読み取るには、視線を何度も上下せざるを得ない。



予測を裏切らない

 一昨日の【長谷川君は中学3年から会計事務所に勤めて・・・】に続いて、文章を読みながら私が考えたことを追体験して頂こう。

生まれた直後は100%母乳や粉ミルクからの栄養に依存している赤ちゃんですが、一般的に生後5カ月〜6カ月頃の離乳食開始時で80%〜90%、3回食に移行する9カ月〜11カ月頃でも30%〜40%と、成長に伴い徐々に


 なるほど、母乳への依存度が、100% → 80~90% → 30~40%と、徐々に減っていくんだな・・・

生まれた直後は100%母乳や粉ミルクからの栄養に依存している赤ちゃんですが、一般的に生後5カ月〜6カ月頃の離乳食開始時で80%〜90%、3回食に移行する9カ月〜11カ月頃でも30%〜40%と、成長に伴い徐々に離乳食から摂る栄養分が増えているといわれています。


 「増えている」? 減っていくはずじゃなかったのか?

 そうか、「増えている」のは「母乳や粉ミルク」からの栄養ではなく、「離乳食」から摂る栄養分か、それなら理解できるけど、紛らわしい表現だ。

 減少している数字の記載部分と、「増えている」の部分で、対応する主語が違うのだから当然なのだが、数字に引きずられて、「減っている」という言葉を予想して読み進めるから、以上のような戸惑いが生じるのである。

 わずかな「戸惑い」ではあるが、これをなくすには、こうすればいい。

生まれた直後は100%母乳や粉ミルクからの栄養に依存している赤ちゃんですが、一般的に生後5カ月〜6カ月頃の離乳食開始時で80%〜90%、3回食に移行する9カ月〜11カ月頃でも30%〜40%と、成長に伴い徐々に減少し、その反面、離乳食から摂る栄養分が増えているといわれています。


 期待どおり、「減少」という言葉を入れて、次に、「その反面」として「増えている」に繋げていけば、「戸惑い」は生じない。

 なお、冒頭の文章は、【0歳の赤ちゃんが牛乳を飲んではいけない理由とは?】にあった。

 赤ちゃんとは全く無縁の生活をしている私が、こんな記事に興味を持った理由は、こうだ。

 テレビで、震災時に支援物資として粉ミルク缶が送られてきても、粉ミルクを溶く水がないため、せっかくの支援が無駄になるケースがあったが、液体ミルクが認可されたので、これからは、そのようなこともなるだろう、という話をしていた。

 そのとき、ふと、「赤ちゃんに牛乳を飲ませてはいけないのか?」という疑問を抱き、ネットで調べたら、冒頭の記事に辿り着いたというわけだ。

 液体ミルク認可の経緯は、【やっと解禁された「液体ミルク」。 なぜ官僚は、この認可基準作りを10年間もサボり続けてきたのか?】に詳しく載っている。











診療時間

 先日見かけた医院の看板だ。

診療時間-1

 土曜日の午前中は診療をしていることを理解するまでに、数秒かかる。

 こうすれば、一瞬で分かる。

診療時間-2+


 この問題は、以前の【医院の診療時間は、こう書く】でも取り上げた。
 
「 分かりやすさ」のポイントは、以下のとおり、「たった、これだけ」である。

 ・ 横に曜日・縦に時間帯 の二次元の表にする。
 ・ 平日は黒、土曜は青、日/祝は赤にする。
 ・ 診療の有無は、文字だけでなく、背景色も変える。
 ・ 診療の有無は、「○×」でなく、「○休」で示す。

 「たった、これだけ」の努力で、劇的に分かりやすくなるのに、未だに冒頭のような案内があるのは、「分かりやすさ」について全く無頓着な人がいかに多いか、ということであり、まだまだ「布教活動」が必要だ、との思いを新たにした次第である。




長谷川君は中学3年から会計事務所に勤めて・・・

 今日は趣を変えて、岐阜新聞の【史上最年少16歳で公認会計士合格 岐阜市の長谷川君 2010年11月16日】という記事を私が読んだときに考えたことを追体験していただこう。

長谷川君は中学3年から会計事務所に勤めて


 中学3年から会計事務所に勤めるというのは、どういうことなんだろう?父親か親戚の会計事務所を手伝っていたのか?

 こんな疑問を抱きながら、次を読む。

長谷川君は中学3年から会計事務所に勤めていた父親


 なんだ、会計事務所に勤めていたのは父親か。でも、じゃあ、「中学3年から」というのは、父親が中学3年から会計事務所に勤めていたということなのか?

 新たな疑問を抱きながら、次を読む。

長谷川君は中学3年から会計事務所に勤めていた父親の勧めで簿記の勉強を始めた。


 なんだ、「中学3年から」というのは、「勉強を始めた」時期のことなのか。
 
 では、途中で上記のような疑問を抱かせないような文にするには、どうすればいいだろう。 

長谷川君は、中学3年から会計事務所に勤めていた父親の勧めで簿記の勉強を始めた。


 長谷川君が会計事務所に勤めていた、という誤解を防止するには、「長谷川君は」のあとに読点「、」を入れればよい。そうすれば、「長谷川君は」に対応する述語は、「勤めていた」ではなく、もっと後ろにあることが分かる。

 けれども、こんなふうに「長谷川君は」に対応する述語が後ろにあることを予測しつつ読み進めるのは、結構なストレスになる。

 また、これでも、「中学3年から」というのは、父親が会計事務所に勤め始めた時期を指すようにも読める。

 では、こうすれば、どうだろう。
 

会計事務所に勤めていた父親の勧めで長谷川君は中学3年から簿記の勉強を始めた。


 誤読の余地はなくった。

 けれども、主語がなかなか出てこないのは、落ち着きが悪い。

 誤読の余地をなくし、かつ、落ち着きの悪さも解消するには、こうするしかない。
 

長谷川君は中学3年から簿記の勉強を始めた。というのも、会計事務所に勤めていた父親の勧めがあったからだ。


 元の文を二つの単文に分ければ、このように、自ずと分かりやすくなる。

 ★ 主語述語に関連した記事は、こちら

割合の比較の落とし穴

 割合を比較する際に冒しやすい論理の飛躍について、いくつか記事を書いてきた。

  【オーケストラは理系のサークル活動?
  【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性
  【老舗企業は小規模企業? 全体を見なければ意味がない
  【割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死

 それぞれで図解をするなどしてきたのだが、どれも、原理的には同じ問題である。そのことが分かるような図を書いてみた。

 ぱっと見ただけでは理解しにくいかもしれないが、文章で補足説明をしたところで、結構、長い文章にり、論理を追っていくのも大変だと思う。

 それよりも、図を見て、じっくり考えて頂いた方がいいだろう。

割合比較-1


割合比較-2


 上記の4つの記事のうち「オーケストラは理系のサークル活動?」については、上記の図で取り上げなかったが、他の3つと全く同じように考えることができる。

  

沖縄戦戦没者数

 沖縄出身の友人との間で太平洋戦争末期の沖縄戦の死者の数が話題になったので、ネットで調べたところ、【沖縄戦の記憶・分館 沖縄戦戦没者数】というサイトに、こんな表があった。

沖縄戦-1


 改善案は、こうだ。

沖縄戦-2+


・ 元の表の右端の列には、4箇所に人数が記載さているが、左右の位置がばらばらだ。
  その結果、「沖縄県出身将兵」の方が「戦闘参加者」より多いのかと勘違いしかねない。
  この点は、【数字の桁は縦に揃える】でも述べている。
沖縄戦-1-1

・ 元の表では、「人」という文字があちこちに登場するが、非常に見にくい。
  「日本軍」の下に「人」とあり、「日本軍人」と読めるが、その読み方は間違いである。
  改善案では、「人」であることは分かりきったことなので、省略した。
沖縄戦-1-2


・ データバーで直感的に人数を実感できるようにした。


 上記のサイトでは、県民戦没者数の算出方法について、以下の図で説明している(ただし、掲載しているのは沖縄県による計算であり、このサイトの作成者は、不正確であると述べている)。

沖縄戦-3


 改善案はこれだ。

沖縄戦-4


・ 元の表では、計算式と、各項目の①②③・・・の数字が離れていて分かりにくい。
  改善案では、計算式を右端の列に下き、各項目の①②③・・・は、その左隣の列に記載した。 

・ 元の表では、数字の左右の位置が、ばらばらである。
沖縄戦-3-1








単身世帯の年齢別割合  厚労省のグラフを添削する

 昨日の記事【割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死】で、「65歳以上の単身者と65歳未満の単身者の数は、概ね、1:3である」と書いたが、それは、【厚労省 単身世帯の年齢別割合と年齢階級・性別にみた原因別単身世帯数】という資料の中の以下のグラフに基づくものだ。

単身世帯-1


 このグラフは、各年齢区分を色分けするだけでなく、斜線などを用いて、色の識別能力の低い人でも分かるように配慮されているのだが、まだまだ工夫の余地がある。

単身世帯-2


・ 色分けを年齢のイメージ沿ったものにした。
  この点については、【司法試験合格者の年齢別構成  法務省のグラフを添削する】に詳しく書いた。
  元のグラフは、どのように考えて色の選択をしたのかが、全く見えてこない。

  色遣いは好みの問題もあるので、私の選択が絶対とは言わないが、様々な色を選択する以上、無頓着ではだめで、できる限り対象のイメージに合った色を選択すべきである。

・ 凡例をグラフ内に記載した。
  こうすれば、凡例と帯グラフとの間を視線を行ったり来たりさせなくても理解できる。

・ モノクロ印刷でも分かるように、各区分を色分けするだけでなく、斜線、縦線、横線を用いた。
  モノクロだと、こうなる。

単身世帯-3


割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、高齢者が家を借りるのが困難になっているという話を取り上げていた。

 家主の多くが高齢者の孤独死を懸念するのが原因の一つだという。

 これに対して、番組では、以下のグラフを示して、孤独死は高齢者に限った問題ではないと述べていた。

孤独死-1

 だが、これで、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することができるのだろうか?

 次の図で考えてみよう。

孤独死-3


 冒頭の円グラフは、下の図の灰色で囲った部分だけを取り上げてグラフにしているのだが、孤独死をした単身者の数のみを取り上げても、全体は見えてこない。

 高齢の単身者のうち孤独死した者の割合と、高齢でない単身者のうち孤独死した者の割合とを比較して、それが同じだと言うのでなければ、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することは不可能である。

 実際は、65歳以上の単身者と65歳未満の単身者の数は、概ね、1:3である【厚労省 単身世帯の年齢別割合と年齢階級・性別にみた原因別単身世帯数】から、孤独死した者の数が同じなら、高齢者は、高齢でない者に比して、孤独死の可能性が約3倍あるということになる。

 そうすると、「高齢者の孤独死」に対する家主の懸念は、一応の事実の根拠に基づくものだということになる。
 
 高齢者の賃貸住宅への入居が困難であるという問題は、そういった事実を前提にした上で、解決の道を探るほかはない。 

 ここで指摘したのと同じ問題は、以前の記事【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性】でも、取り上げた。 
 



右回り、左回り → 時計回り、反時計回り

 Japan Knowledge というサイトで、【日本語どうでしょう 「右回り」と「左回り」】という記事を読んだのだが、気になる点が、いくつかあった。

 第179回で「右開き」「左開き」について書いたが、「右回り」「左回り」もどちらの方向に回転するのか迷う人が多いことばかもしれない。


 「多いことばかもしれない」のところで、私は、「多いことばかもしれない」と読んでしまった。

 1文字ずつ読んで意味をとっていけば、「ことば」まで読んだところで「言葉」と認識するわけで、「ば」と「か」を繋げて読むことはないはずだ。

 けれども、文章を読むときは、数文字先まで視野に入れながら読むのが普通であり、視界に入った文字の連続の中から意味の通る塊を抽出して文章を理解しているのだ。その結果、上述のように、「ばか」と読んでしまったのだ。

 「多い言葉かもしれない」と漢字になっていれば、こんな先読みによる誤解は起こりようがない。

 次に引っかかったのが、次の一文だ。

 「右回り」は、アナログ時計の針と同じ方向に回る回り方であり、「左回り」はアナログ時計と反対方向に回る回り方である。


 引っかかったのは「アナログ時計の針」の部分だ。

 ここは、単に「時計の針」で十分だ。

 ここでも「先読み」の結果、「アナログ」を目にするのと同時に「針」も目に入る。

 「針」とくれば、「アナログ時計」に決まっている。それを、ことさら「アナログ時計」と書かれると、一瞬、「単なる時計の針」ではなく、「アナログ時計の」針に限定しているような錯覚にとらわれるのである。

 もちろん、デジタル時計には針はないのだから、ここで、「アナログ」と書いたところで、何も限定する機能はない。

 そうであれば、無駄な記載であり、単に「時計の針」と書けば足りる。

 無駄な記載と言えば、「日本弁護士連合会所属の弁護士」というのもある。

 日本の弁護士は全員が日本弁護士連合会所属なのであり、ことさら、「日本弁護士連合会所属」といえば、かえって、偽弁護士ではないかと、疑われかねない。

 次の素材は、これだ。

日時計は、固定した指針に太陽の光が当たってできる影の位置によって時刻を知るものだが、太陽は東から西に移動するので、できる影は西側から東側への移動、つまり「右回り」の移動となる。


 ひっかかるのは、「西側から東側への移動、つまり『右回り』の移動となる」のところだ。

 「西側から東側への移動」であれば、北側を通れば「右回り」、南側を通れば「左回り」になる。

 筆者の頭の中では、影は「北側を通る」というのは当然の前提であり、そんなことは書くまでもないと思ったのかも知れない。

 けれども、読者は、そうではない。

 そんなことは分かりきったことだ、という反論もあるかも知れないが、ここでは、わざわざ、日時計の影が西側から東側に移動することを説明しているのである。そのような説明が必要な人が読者なのである。「北側を通る」ということも言わなければ、ちゃんと理解してもらえないだろう。

 これと似た話だが、「京都の大文字の火送り」について、とある掲示板に次のような記載があった。

最初に「大」の文字に点火され、その後、西回りに、「妙法」「舟形」「左大文字」「鳥居形」と点火されて行く


 【KYOTOdesign】というサイトに分かりやすい図が載っている。

大文字

 大文字は、京都の中心の京都御苑から見て、ほぼ真東の「大」に点火され、次に、ほぼ真北の「妙法」、その後、順に、西の「舟形」「左大文字」と来て、最後に、ほぼ真西の「鳥居形」で終わる。

 最初に東西南北の、どこから点火されるのかも知らない人は、単に「西回り」と言われたら、北→西→南、あるいは、南→西→北、という点火順を思い浮かべるのではないだろうか。

 少しだけ知識があって、最初は東の「大」から始まることを知っている人は、「西回り」といわれても、戸惑うばかりである。東→北→西、なのか、東→南→西なのか、「西回り」という説明は何も語っていない。「北回り」あるいは「南回り」であって、はじめて、意味のある情報となるのである。

 何の知識もない人、ある程度の知識のある人を含めて、的確に伝えるには、「右回り」「左回り」という表現を用いるしかない。

 けれども、「右回り」「左回り」は取り違えている人が多いようなので、その心配のない「時計回り」「反時計回り」という表現の方がいいだろう。
 
----- 追記 2019.8.22 -------------------------------------------------------------------
 
 上の方に、こう書いた。

「針」とくれば、「アナログ時計」に決まっている。


 確かに、物心ついたときには、時計と言えばアナログ時計しかなかった時代の人間にとっては、そうだが、たとえば、藤井聡太君のように、デジタル機器に溢れた21世紀生まれの人にとっては、決して、「決まっている」とは言えないだろう。

 もちろん、彼らにしても、「時計の針」と来れば、アナログ時計であることは分からないはずではないのだが、いきなり、「時計の針」というのを見た場合、「時計」を目にした途端にデジタル時計を頭に描いていると、次の「針」を見て、一瞬の戸惑いを覚えることだろう。

 そう考えると、予め、「アナログ時計の」という説明を加えておいた方が、親切かも知れない。

 そういう意味で、「アナログ時計の針」というのも無駄な記載と決めつけるわけにはいかないだろう。

大阪大学 指定国立大学法人構想  色の減算

 大阪大学のホームページの 【指定国立大学法人制度の概要】に、次のような総天然色の説明図が載っている。

阪大-総天然色

 一目見ただけで、頭がクラクラしてきて、とても、中身を読もうという気にならない。これと比べると、以前の記事【実務に理解の深い教員の養成は急務なのだが・・・  過剰演出は不要】で取り上げた図が、おとなしく見えてしまう。
 
 ともかく、このままでは、とても読むことができないので、以前に紹介した【Color Blindness Simulator】というサイトを利用して、色数を減らしてみた。

阪大-青欠如

 黄色、緑、紫が消え、赤と青緑だけとなって、随分と落ち着いて見ることができるようになった。

 けれども、まだ、不必要に色を使っているように見える。思い切って、モノクロにしてみた。

阪大-モノクロ

 これでもいいのだが、若干、さみしく感じる。必要最小限、色を使ってみるなら、こんな感じだろう。  

阪大-赤


 比較のため、四つを並べてみた。

阪大-総天然色  阪大-青欠如
 
阪大-モノクロ  阪大-赤


 やたらと多彩な色遣いをするのではなく、基本はモノクロで、特に注目してもらいたいところだけに色を使うのが効果的である。
 
 映画でも「シンドラーのリスト」で、モノクロの背景の中に登場する赤い服を着た女の子の映像は、高く評価されているが【「シンドラーのリスト」評価と感想&赤い服の少女の意味も解説】、私も未だに、その場面は記憶に残っている。
 
赤い服の女の子

 この映像は【YouTube】で見ることができる。



夏休みのある学校の先生は、いいな

 小学校に入って最初の夏休みの頃のことだが、こんなふうに考えていた。
 

学校の先生は生徒と一緒に夏休みをとれて、いい仕事だな、会社勤めのお父さんは夏休みなんてないのに、先生はいいな


 学校の先生の仕事のうち、ふだん子どもの目に見えるのは、授業だけであり、たまに職員室に行っても、のんびり休憩しているようにしか見えなかった。

 けれども、成長するに連れて、学校の先生の仕事が楽なものでないことが分かってくる。

 授業の準備、テストの採点、遠足、修学旅行などの行事の準備、研修、教育委員会への報告、保護者からの要望・苦情への対応・・・、決して普通のサラリーマンより楽だなどとは言えないだろう。


 話は変わって、遺産分割の争いでは、自分は、あれだけ親の面倒を見てきたのに、他の兄弟姉妹は、親のことは放ったらかしだったのにも関わらず、同じだけの取り分を主張するのは許せない、といった話をよく聞く。

 けれども、誰でも、自分が親にしてきたことは、当然のことながら、100パーセント知っているが、他の兄弟姉妹が親にしてきたことなど、断片的にしか知りようがないはずである。自分の知らないことは存在しないものと決めつけて議論を進めるのは、大きな誤りである。


 さて、ここからが本題だが、先日、テレビで議員年金の話題を取り上げていたのだが、そのときに、こんな画面が出てきた(羽鳥慎一モーニングショーで『地方議員』が話題に!)。

 
地方議員

 議会の日数が年に42.7日、つまり、週に1日もないのに、報酬は月額21万円というのを目にすれば、何といい仕事なのだろうと思ってしまう。
 
 けれども、議員の仕事は、議会に出席するだけではないはずだ。

 本気で仕事をしようとすれば、議会での質問、議案の提出のための調査、研究に、いくら時間があっても足りないだろう。フルタイムで仕事をすることを考えれば、月額21万円というのは、とても割の合わない仕事だろう。

 番組としては、議員は仕事の割に高額な報酬もらっており、その上、議員年金なんてけしからん、という方向に持って行こうとしたのだろうが、こんな浅薄な議論をしているようでは、そのうち、夏休みのある学校の先生には年金はいらないと言い出すかも知れない。

 要するに、とりあえず自分の目につくものが全てだと思うのは、とんでもない間違いだということである。

 マスコミの悲惨な現状については、これまでも何度も記事にしてきた。
 
 【マグネシウムは、41ミリグラム
 【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性
 【「売れた物の半数以上が24時間以内に」
 【何が起きても納得できる人
 【1m×1m×2cmは、何リットル?
 【100万平方キロメートルの巨大な実験都市
 【司法試験予備試験問題の6割をAIが的中  本当に凄いことなのか

 とはいえ、マスコミの現状が酷いからといって、新聞やテレビを「マスゴミ」と呼んで馬鹿にして出所不明なネット情報に振り回されていたら、もっと酷いことになってしまう。マスコミの情報を批判的に受け入れながら、問題点を指摘し、叱咤激励するほかはない。

 たまたま、記事で取り上げたのは、NHKの番組が多いが、相対的には、NHKが一番、有益な情報を提供してくれており、私にとって視聴時間が一番長いテレビ局がNHKであり、色々考えさせられることが多いが故に、問題点が目についたからであり、よりよい放送局になってほしいからである。

 今日の「サザエさん」で、ワカメが学校の友達にカツオがサザエさんや両親に叱られてばかりいるという話をしたところ、友達から、それだけ皆に愛されているということだと言われる場面があったが、NHKの番組が素材として頻繁に登場するのも、同じようなものである。

 だから、私の記事を読んで、「NHKをぶっ壊せ」などというのは、大きな間違いである。

 最後に、また、学校の先生の話に戻るが、中学教師の授業時間の平均は週に18時間だが、勤務時間は56時間だそうである【日本の教員の勤務時間は世界一! 授業より事務仕事や課外活動で忙しいのは本末転倒では?】。

市役所のホームページ

 【奈良県香芝市】のホームページを見て気づいたことが、いくつかあった。

香芝市・言語

 日本語の読めない人のために、英語、韓国語、中国語の頁が用意されているのだが、日本語が読めなければ言語を選択できないのだから、実際に外国語の頁に辿り着ける人はいないだろう。

 それはともかく、英語のボタンを押すと、実際に英語版の頁が出てくるのだが、その一部は、こうなっている。

香芝市・英語

 英語の頁のはずなのに、見出し部分は「人口・世帯数」と日本語のままである。

 内容を見て奇異に感じるのは、「Male」と「Women」である。「Male」と来れば「Female」だし、「Women」と来れば「Men」である。日本語で例えば、「男性」と「女」が並んでいれば、誰でも奇異に感じるだろう。

 さらに、男女の人口の位置が左右にずれていて、数字を比較しにくい。数字を並べるときは、右端を揃えるのが鉄則である。

 ここで日本語の頁に戻ろうと思ったのだが、言語の選択をする「ドロップダウンリスト」には、「日本護」の記載がない。

 仕方なく、ブラウザの「戻る」機能を使ったのだが、一瞬、日本語の頁が表示されるが、すぐに英語の頁に戻ってしまう。こんな経験は初めてである。

 地方自治体のサイトなどでは頻繁に見かけるのだが、このサイトも、小さな文字が読みにくい人達のために、文字を大きくするための機能が用意されている。
 
香芝市・文字

 ここでは拡大して載せたが、「文字サイズ」「標準」「拡大」の文字は、いずれも、ホームページ本文の文字の3分の2程度の大きさである。これで、ほんとうに「拡大」文字を読みたい人に気づいてもらえるのだろうか。

 外国語頁の案内、拡大文字の案内の問題点については、以前の記事【情報は、届かなければ意味がない  図解】に詳しく書いている。

あと、サイドメニューに以下の項目があるのだが、これも、よく見ると理解しがたい。

香芝市・広報

  日本語の下に「KashibaMonthly Information」とあるだけでなく、さらに、「Kashiba Information Mensual」とある。

 調べてみると、「Mensual」 というのはフランス語で「月刊」という意味だった。外国語は、英、中、韓しか選択肢がなかったのに、どうして、ここだけ、フランス語が記載されているのか不思議である。作成者が、なんとなく、「おしゃれな感じ」を入れたくて、フランス語で表現したのだろうか。

 さらに、問題は、ここをクリックすると、実際の「広報かしば」の頁に移るのだが、そこには、日本語版しかないのである。このサイトに来たイギリス人やフランス人は、「期待だけさせておいて何なんだ」と思うだろう。

 ここまで、問題点ばかり指摘したが、評価すべきところもある。

香芝市・絵文字+

 ホームページを見る人の関心に沿って内容を分類し、それを、分かりやすい絵文字(ピクトグラム)で表現している。

 市役所の部局毎の分類だと、自分の知りたい情報が、どこの部局の問題なのか分からない一般市民は戸惑うことになるが、上記のような分類と表示であれば、誰でも、すぐに目的の情報に辿り着くことができるだろう。他の市町村も見習ってほしいものである。

 ただ、惜しむらくは、私の経験上、もっとも関心の高いと思われる、住民票や転入、転出の手続に関する分類が、この絵文字には載っていない。

 なお、【不思議な市庁舎】も読んでいいただければ幸いである。





不思議な市庁舎

 ある市役所の【フロア案内図】の一部である。

庁舎-1


 地下階が一番上で、以下、1階、2階・・と、6階までの図が並んでいる。

 実在の物を図示する場合、実在の物の位置関係と図面上の位置関係を一致させないと、図面を見て実在の物を頭の中に描くことが困難になる。このことは、これまでも何度も書いてきた。

 【施設の説明は、こうする
 【前列右から・・・
 【市ヶ谷キャンパス・・・

 問題点は、これだけではない。青の○赤の○緑の○を付けたところを、よく見てほしい。

庁舎-2++

 エレベーターも階段も、普通は垂直な空間内に設置されるものである。

 だから、各階の図面を重ねて、階段同士、エレベーター同士を、同時に重ね合わせられるはずである。

 ところが、1階は、屋内階段、エレベーター、屋外階段が、ほぼ横一線(- - - - -)に並んでいるのに対して、地下階は、そうなっていない。その結果、階段同士、エレベーター同士を同時に重ね合わせることは不可能である。

 傾斜地の建物などで斜行エレベーターというものがあるが、これでは、斜行どころか、ねじれエレベーターである。

 また、そもそも、屋内階段と屋外階段の距離が地下階と1階とで異なっているし、屋内階段の幅も地下階と1階とで異なっており、各図面の縮尺もばらばらのようだ。

 一体どうすれば、こんな平面図が描けるのだろうか。まるで、【Y澤不動産】の物件案内のようである。

 更に言えば、エレベーターとトイレも紛らわしい。エレベーターの方は、↓↑がついているのだが、エレベーターもトイレも、同じ色で同じような形状の人が二人並んでいる。

 よく見ると、トイレの方は、人の形状が微妙に異なり男女を表現しているようにも見えるのだが、ぱっと見ただけでは分からない。ここは、青と赤の色を付けることにより直感的にトイレだと分かるようにすべきである。

 さらに細かい話だが、1階第1会議室というのがあるのに1階第2会議室が存在しないのも不思議である。もともとは二つ会議室があったのだが模様替えによって一つだけになり名前だけ元のままに使われているのかも知れない。

 



精華と業火

 京都アニメーション放火事件から、ひと月になろうとしているが、文春オンラインの【京アニ放火殺人事件 なぜ「原画サーバー」は奇跡的に焼失を免れたのか?】と言う記事の中に気になる表現があった。

サーバーは製作スタッフたちの手作業や情熱の精華である原画や絵コンテなどのデータを保存していたものと見られる。


 一瞬、「成果」の間違いではないかと思った。

 ただ、改めて考えてみると、京アニの作品が世界的にも高く評価されていること、また、「精華」という言葉も存在し、「物事の真価となる、最もすぐれているところ」(大辞林)を意味することからすると、ここは「精華」で間違いないような気もする。

 私が疑問を持ったのは、「成果」は毎日といってもいいくらいに日常的に目にする言葉であるのに対して、「精華」は、年に一度、見かけるかどうか、といった見慣れない言葉だったからだろう。

 だが、それだけが理由ではない。

 「精華」は、「京都工芸の精華」「フランス絵画の精華」といった用例【グーグルでの「の精華」の検索結果】に見られるように、一定の範囲の物の中で、とりわけ優れているものを指して使われる言葉である。

 そこで、元の文を見返してみると、「手作業や情熱の精華」となっており、「物」ではない。

 仮に、「手作業や情熱により作り出された物の精華」と言葉を補って理解すると、今度は、「手作業や情熱により作り出された物」の全てではなく、その中のとりわけ優れたものだけを指すことになり、これも不適切だろう。

 ここでは、やはり、「成果」がふさわしい。

 どうしても、「精華」という言葉を使いたければ、次のように表現すべきだろう。
 

京都アニメーションの作品は日本のアニメーションの精華ともいうべきものであるが、サーバーは製作スタッフたちの手作業や情熱の成果である原画や絵コンテなどのデータを保存していたものと見られる。



 次に気になったのが、以下の表現だ。

青葉容疑者がぶちまけたガソリンに引火した火の玉は、現場に最も早く到着した57歳の指揮隊長をして「経験したことがない」と絶句させたほどの業火となって3階建て約690平方メートルをほぼ全焼した。


 「業火」も、あまり見かけない言葉だが、【大辞林 第三版】によれば、以下のように解説されている。

ごうか【業火】
① 罪人を焼く地獄の火。
② 悪業が身を害することを火にたとえていう語。
③ はげしい火災。


 著者が①や②の意味で使ったのであれば、東日本大震災のときの石原慎太郎の天罰発言【日経 2011.3.15 石原都知事、「天罰」発言を撤回し謝罪 】と同様、とんでもない話である。

 では、著者が③の意味で使ったのだとすれば、どうだろうか。

 読者の誰もが、そう受け取るとは限らないし、遺族や被害者の心情を考えれば、ここで紛らわしい言葉を使うべきではないだろう。

 また、実際に③の意味で使った後に、①や②の意味で受け取った人々から批判されて、「ここでは③の意味で使ったのだ」と反論しても、「ご飯論法」【15歳で司法試験に合格した中学生  ご飯論法、2パターン】と受け取られてしまうだろう。

 多義的な言葉を使う場合、他人を傷つけるような意味がないのかを慎重に検討しなければならない、と言うことである。


 さらに、次の表現も気になった。

さらに室内の位置も重要だと伊藤氏は続ける。


 文脈からすると、「室内にあったサーバーの位置」という意味なのだが、「室内の位置」では、言葉足らずである。

宅急便の送り状

 宅急便の送り状だ。

送付状-1


 別に分かりにくい訳ではないのだが、 どことなく違和感を感じないだろうか。

送付状-2

 印をつけたように、「お届け先」欄と「ご依頼主」欄で、いくつかの違いがある。

 「郵便番号」の「Postcode」の下の記載の有無

 「電話TEL」の下の「ハイフンなし」の記載の有無

 電話番号欄の括弧の記載の有無

 郵便番号欄、電話番号欄の数字の記載方法の有無

 郵便番号欄、電話番号欄の最後の記号「◀」の有無

 住所欄の行数

 仮に私が送り状のデザインを任されたら、最初に「お届け先」を作成して、それをコピーして必要最小限の変更を加えて「ご依頼主」を作成するはずだ。

 そうするのが楽だし、間違いがない。

 「お届け先」「ご依頼主」で、異なる様式にする必要はあるのか。

 荷物を確実に届けるという「送り状」の目的からすると、「お届け先」は必須であるが、「ご依頼主」は必須ではないかもしれない。

 けれども、「ご依頼主」の記載も、以下のとおり重要な機能を持っている。
  ・ 受取人が、送り主が誰かを確認する。 
  ・ 受取人が、送り主に御礼の電話をしたり、御礼の書面を送る。
  ・ 荷物が何らかの事情で届けられなかった場合の返送先となる。

 「お届け先」欄、「ご依頼主」欄の機能の差を前提にしても、記載欄の様式に、これだけの差を設ける合理性はないように思う。


女児と内縁の夫  親族の登場順序に注意

 Wikipedia の【東住吉事件】についての説明である。

東住吉事件(ひがしすみよしじけん)とは、1995年7月22日に大阪府大阪市東住吉区で発生した事故及び冤罪事件。民家で火災が発生し、女児が死亡した。内縁の夫と女児の母親の犯行として無期懲役刑が確定した。その後、無罪を訴えていたが、再審の結果、2016年8月10日に大阪地裁で無罪判決が出た。検察は控訴権を放棄し、即日確定した。


 問題は、登場人物の関係である。

・・・民家で火災が発生し、女児が死亡した。内縁の夫女児の母親の犯行として無期懲役刑が確定した。・・・


 「内縁の夫」という以上、「誰か」の内縁の夫であるはずだが、その「誰か」は、「内縁の夫」の前ではなく、その後に登場する。

 従って、「内縁の夫」の記載を目にした読者は、その「誰か」を求めて戸惑うことになる。

 「内縁の夫」の前に登場するのは「女児」だけだが、「女児」に「内縁の夫」がいるはずもない。そこで、読者は、「女児」と「内縁の夫」を繋ぐ中継点として相応しい人物は誰かを思い浮かべ、それが「女児の母親」であろうと考え、「女児の母親の内縁の夫」と理解するのである。

 もちろん、理屈の上では、「女児の祖母」の「内縁の夫」の可能性もあるし、「女児の姉」の「内縁の夫」、「女児の叔母」の「内縁の夫」の可能性もあるのだが、「女児」に最も近い一親等の女性である「母」だろうと考えるのが現実的である。

内縁の夫


 この程度の意味の補完作業は、さして難しいことではないし、「内縁の夫」を目にするのと殆ど同時に、直後に記載されている「女児の母親」が目に入ってくるのだから、読者に対する負担と言っても、微々たるものである。

 しかし、僅かなストレスでも読者に強いることなく読み進められるように、以下のように表現すべきである。

・・・民家で火災が発生し、女児が死亡した。母親内縁の夫の犯行として無期懲役刑が確定した。・・・


 単に「母親」、「内縁の夫」としか書かなかったが、「女児」のあとに「母親」と来れば「女児の母親」であることは明らかだし、「母親」の後に「内縁の夫」が来れば「母親の内縁の夫」であることは分かりきったことである。

 ここで、「女児の母親」とか「母親の内縁の夫」と書くのは、くどすぎる。

 本日のまとめは、以下のとおりである。

 親族関係を表す、夫、妻、子、父、母などの言葉は、みな「誰か」の夫、妻、子、父、母ということなのだから、その「誰か」が事前に登場していないと、読者に、その欠落を補完させることになるので、常に、「誰か」に当たる人物が既に登場している否かに注意を払わなければいけない、ということである。

 そして、人物の登場する順番に気を付けさえすれば、「誰」の夫、妻、子、父、母であるかは、多くの場合、明示する必要はないし、明示しない方が読みやすい、ということである。




はずれ馬券は経費か?  続編

 一昨日の【はずれ馬券は経費か?】で、カシオ計算機が運営するサイトの記事【計算コラム (79) はずれ馬券は経費か?】に掲載されていた説明図について、改善案を示した。

馬券-1 馬券-2+

 その後、素材を提供していただいたカシオ計算機にメールをしたところ、早速、返信が来て「不具合を修正」したとのことだったので、サイトを確認したところ、説明図が様変わりしていた【計算コラム (79) はずれ馬券は経費か? 2019.8.7~】。比較のため、私の改善案と並べてみる。

馬券-3       馬券-2+


 私が作成した「改善案」よりも、こちらの方が分かりやすい。理由は、以下の点だ。

● 矢印がない

 私の改善案は、「当たり馬券購入費」「はずれ馬券購入費」の文字が表の外にあっため、金額との対応を矢印で示さざるを得なかった。

 ところが、今回の図は、これらの文字が表の中の金額のすぐ上に記載されているため、矢印を辿る必要はなく、すぐに理解することができる。

● 主張が接着

 私の改善案は、国税側の主張と男性側の主張の間に、双方に共通の払戻金が記載されているが、今回の図は、国側の主張と男性側の主張が接着しているので、「はずれ馬券購入費」を経費に含めるか否かが主張の違いであることが、より際立っている。

 上記のとおり、私の改善案と比べても、ずっと分かりやすくなっているのだが、全く問題がないわけでもない。

● 「億」と「億円」

 一時所得、雑所得の数字の後ろは「億」となっているが、購入費の数字の後ろは「億円」となっている。使い分けする理由などないのだから、どちらかに統一すべきである。

● 表題の位置

 表題の「はずれ馬券をめぐる双方の主張」が、その下にある表と比べて、僅かではあるが右にずれている。

● 課税所得の説明

 一時所得の場合は、その2分の1に課税されるため、課税所得は14.4億円になるのだが、税法の規定を知らない読者は、一時所得の金額と課税所得が異なることに疑問を持つ可能性がある。

 結構、細かいことを指摘したと思われる方もいるかも知れないが、そんな方は、ぜひ、【司法試験の受験資格別出願者数の推移】の最後の7行を読んでほしい。

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 先ほど、【計算コラム (79) はずれ馬券は経費か? 2019.8.7~】を確認したところ、金額の後ろの記載は「億」に統一され、表題の位置も直されていた。

馬券-4


----- 追記 2019.8.8 ------------------------------------------------------------------- 

 私の「改善案」より分かりやすい理由について、重要なことを書き落としていた。

● 共通なものは、一箇所にだけ

 それは、経費として差し引くことについて争いのない「当たり馬券購入費」が1箇所にしか出てこない点である。

 私の「改善案」では、2箇所に記載されているが、共通なものを、ことさら2箇所に記載する意味はない。

 これまでも、【レターパック】などで、そういうことを書いてきたにも関わらず、つい、今回のような図を書いてしまったのだ。まだまだ、「修行が足りない」と言われてもしかたない。



 


はずれ馬券は経費か?

 競馬の馬券の払戻金には、所得税が課税される。この場合、当たり馬券の購入費だけでなく、はずれ馬券の購入費も経費として控除されるか否かが争われた裁判がある。

 国税当局の主張と馬券を購入した男性の主張を図解したもの【計算コラム (79) はずれ馬券は経費か?】があったのだが、分かりにくいので、改善案を作ってみた。

馬券-1 馬券-2+


● 左右非対称

 元の図は、国税側と男性側とで対称になっていない。

 「比較」をする場合、共通部分は可能な限り共通にし、異なる部分だけ異なった表現にするのが、主張の違いを際立たせる効果があり、分かりやすい。

● 争いのあるものが目立たない

 「はずれ」馬券購入費が経費に含まれるか否かが、争点である。

 それなのに、元の図は、「当たり」馬券購入費を赤字で記載しており、何が争点かが分かりにくくなっている。

● 「収入」と「所得」の混同

 所得=収入-経費 だが、元の図は、これを混同している。

● 国税側の主張する所得金額

 元の図では、国税側の主張する所得金額が記載されていない。

----- 追記 2019.8.7 -------------------------------------------------------------------

 【はずれ馬券は経費か?  続編】を書いた。

司法試験 受験予定者の受験回数の推移 続編

 先日の【司法試験 受験予定者の受験回数の推移】の追記欄に、次のようなグラフがある。

受験予定者数・受験回数・実数


 先日の記事では、「ある年に初めて試験を受けた者が、合格することにより、年ごとに減っていく様子が、よく分かる。」と書いたのだが、より「分かりやすく」できないかと考え、次のように、表のなかに、バーチャートを入れてみた。

受験予定者数・受験回数別・表・訂正


 2015年の1回目、2016年の2回目、2017年の3回目、2018年の4回目、2019年の5回目は、背景を灰色にしている。その結果、2015年に初めて受験した人が、毎年、減っていくようすを、左上から右下にかけて目で追って行きやすくなっている。

 背景の灰色は、試行錯誤の上、3年ごとにした。

 初めは、2年ごとにしたのだが、白と灰色の市松模様になってしまい、視線を左上から右下に誘導する効果はなくなってしまった。

 そこで、4年ごとにすると、白のままの部分を右下に目で追って行くのが若干、困難なった。

 3年ごとであれば、灰色のすぐ上、あるいは、灰色のすぐ下を目で追って行けばいいので、分かりやすい。

 なお、表の左上の年度の「2008」が、なぜか、「2,008」となっていたので、正しいものに差し替えた。

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