順位戦の予測 分かりやすさの基本は、「文章より表、一次元より二次元、無駄は省略」

 将棋界では、明日、3月1日(金)、トップ棋士によるA級順位戦の最終局が行われ、昨年に引き続き名人への挑戦権をかけて、豊島二冠(棋聖・王位)が久保九段と対戦する。

 最終局の行方を予測する記事の中に、次のような表が掲載されていた【佐藤天彦名人への挑戦者決まるか――A級順位戦最終日展望】。

豊島・久保-1

 (実際は、この下に、あと7局の結果が延々と記載されているのだが、省略した)

 この表を見ても、豊島二冠が過去の久保九段との対戦で優位にあるのか否かは、すぐに分からない。一つずつ見て、豊島の後ろの「○」を数えなければ、何も見えてこない。

 そこで、分かりやすく二次元の表にしたのが、これだ。

豊島・久保-2

 これなら、直近十局の対戦は、互角であること、先手後手の手番による勝敗も特別に偏っている訳ではないこと、この一年近くは対局が全くないこと、等が、一瞬にして見て取れる。

 これまでも、何度も述べきたことだが、以下の三つは、「分かりやすさ」の基本である。

  ● 文章より
  ● 一次元の表より、二次元の表
  ● 無駄な記載は省略 (豊島の勝敗と久保の勝敗は裏表の関係なので、一方を書けば足りる)

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 改めて、この記事を読み直してみて、冒頭の表現が気になった。

昨年に引き続き名人への挑戦権をかけて、豊島二冠(棋聖・王位)が久保九段と対戦する。

 
 昨年、豊島は、勝てば挑戦権獲得という対局で敗れ、空前の6人の棋士によるプレーオフとなり、その緒戦で久保に勝ったのだが、4局目で羽生竜王に敗れ、名人への挑戦はならなかった。 

 ところが、上記の表現だと、下記の疑問が湧いてくる。

  ・ 豊島は、昨年は挑戦権を獲得したのか

 分かりにくさの原因は、「引き続き」が何を修飾しているか曖昧なことであるが、現時点で、うまく説明できない。改めて、追記の形で説明する予定だが、読者の方が鮮やかに説明してくれるとありがたい。

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 表についても、見直した。
 
豊島・久保-3

 これなら、手番による勝敗の違いも一目瞭然である。

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「三浦さんの好きな維新の松井さん」 誰が誰を好きなのか?

 松井大阪府知事が米山元新潟県知事を名誉毀損を理由に損害賠償請求をしていた事件の控訴理由書の一節である【米山隆一の10年先のために】。

 「因みにこの『高校』は大阪府立高校であり,その責任者は三浦さんの好きな維新の松井さんであり,異論を出したものを叩きつぶし党への恭順を誓わせてその従順さに満足するという眼前の光景と随分似ていて,それが伝染している様にも見えるのですが,その辺全部スルー若しくはOKというのが興味深いです。」 


 「三浦さんの好きな維新の松井さん」とあるが、誰が誰を好きなのか、これだけでは分からない。

   誰が  誰を
   三浦 → 維新
   三浦 → 松井
   維新 → 三浦
   松井 → 三浦

 4通りの解釈が可能になった原因は、以下のとおりである。
 
 ● 「の」が多義的なこと(対象を示すか、主体を示すか)
      ・対象
        カレーの好きな日本人  
      ・主体 
        日本人の好きなカレー  

     「の」が多義的であることについては、以前に詳しく書いた。
       【「長男の父親の不倫相手」は、男か、女か

 ● 修飾語は、直後の名詞を修飾するとは限らないこと

 ところで、この事件は、一審の地裁では、550万の請求に対して、33万の賠償が命じられたのに対して、二審の高裁では、損害賠償の支払い義務はないと言う内容の和解が成立したものである。

 上記の控訴理由書に引用された地裁判決には、「分かりやすさ」の点でも、論理の展開の点でも問題が山ほどある。他方、控訴理由書の方も必ずしも分かりやすいとは言えない。

 いわば、このブログの素材がぎっしりあるのだが、ブログで取り上げるにしても、分かりやすく説明するのは結構、大変そうである。いつか、余裕のあるときに、取り上げることとする。



色彩テスト 得点 ゼロ 直感に馴染む数字を使う

 色彩テストをやってみた【エックスライト社のカラーIQ(色彩感覚)テスト】。
 
色彩テスト-1

 青紫~赤紫のパネルがランダムに並んでいるが、パネルを動かして、左端の青紫から右端の赤紫まで順に少しずつ赤みを増して行く行く「グラデーション」にする、というものだ。他にも、黄緑~黄土色など、何種類か並んでおり、同じように、きれいなグラデーションを作れるかが試される。

 このブログでも色彩については何度も書いているように、色彩感覚については、そこそこの自信はあった。ところが、採点をすると、こうだった。

色彩テスト-3

 私の自信は全く根拠のないものだったのかと愕然としたのだが、スコアの下の説明文を読んで納得した。

色彩テスト-5

 なんと、パーフェクトである。

 ちなみに、いたずらで、適当にやってみたら、こうなった。

色彩テスト-4

 スコア106と言うことだから、もっと出鱈目に並べたら、200くらいになるのかも知れない。

 いずれにせよ、色彩感覚が優れている方が、スコアが低いというのは、直感に反するものである。

 やはり、パーフエクトなら、100点、全然ダメなら、0点、とするのが直感に馴染む。

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 パーフェクトなのは結構なのだが、手放しで喜ぶわけには行かない。

 私に区別できても多くの人に区別できない場合があるということであり、そのことを踏まえて色分けをしないと、多数の人には理解してもらえない可能性があるということになる。

臨時休館のお知らせ 

 図書館から、予約していた本が届いたという告知のメールが届き、そのメールの下の方に以下の記載があった。

伏見中央図書館は2月25日(月曜日)から3月1日(金曜日)まで,
醍醐図書館は2月25日(月曜日)から2月28日(木曜日)まで,
吉祥院,西京,こどもみらい館子育て図書館は2月25日(月曜日)から2月27日(水曜日)まで,
久我のもり図書館は3月4日(月曜日)から3月7日(木曜日)まで,
岩倉,東山,南,洛西,向島図書館は3月4日(月曜日)から3月6日(水曜日)まで,
図書特別整理のため,臨時休館します。


 はじめは、読み飛ばそうと思ったのだが、最後の行に「臨時休館」とあるのに気づいた。そこで、自分が利用する分館も臨時休館するのか確かめるために、上から読んで行った。

 けれども、文字が詰めて書かれている中で、目当ての図書館名を捜すのは、面倒だ。ざっと見て見当たらなかったとしても、見落としの可能性もあり、「ない」ということを確認するのは、結構、神経を使う。もう一度、丹念に見て行って、臨時休館はしないのだということを確認することになる。

そこで、改善案を作ってみた。

★臨時休館★ 図書特別整理のため、下記のとおり、臨時休館します。

伏見中央図書2月25日(月)~3月1日(金)
醍醐図書館図2月25日(月)~2月28日(木)
吉祥院,西京,こどもみらい館子育て
図書館図書館2月25日(月)~2月27日(水)
久我のもり3月4日(月)~3月7日(木)
岩倉,東山,南,洛西,向島
図書館図書館3月4日(月)~3月6日(水)



 注目してもらうための工夫 

● 冒頭で、「臨時休館」のお知らせであることを告知する。
● 記号★をつけて、目を引くようにする。

 分かりやすくするための工夫 

● 図書館名と休館期間を分けて書く
● 分かりきった「図書館」「曜日」は、省略する。
● 「から」「まで」という言葉ではなく、「期間」を表すことが直感的に理解できる記号「~」を用いる。


原発稼働状況 表にするしかない! その4

 原発の再稼働の状況については、何度か表を掲載してきたが、最新版(2019.2.18現在)である。

  
原発-2019-02-18-1
原発-2019-02-18-2-2


 なお、ブログ内の原発稼働状況に関する記事は、以下のとおりである。情報を更新するだけでなく、毎回、より「分かりやすく」という観点で改善を重ねているので、どこが、どう分かりやすくなったのか、じっくり味わって、参考にしてほしい。

  【原発稼働状況 表にするしかない!
  【原発稼働状況 表にするしかない! その2
  【原発稼働状況 表にするしかない! その3
  【原発稼働状況 表にするしかない! その4

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老舗企業は小規模企業? 全体を見なければ意味がない

 以下に引用するのは、「逆接の法則」56頁で老舗企業と企業規模との関係について書かれた一節だ(読みやすくするために、若干の整形を施している)。

・ 100年以上続く老舗企業の売上高を見てみよう。・・(中略)・・5億円未満の中小・零細企業が全体の約7割を占めていたのだ。
・ 従業員数別では ・・(中略)・・ 「300人以上」は全体の3.4%にとどまった。
・ 東証など国内証券取引所に上場する老舗企業は・・(中略)・・長寿企業全体の2%弱しかなかった。
これらのことから、規模を大きくしない方が実は長続きするのではないか、という推測も生まれてくる。


 要するに、売上高、従業員数、上場企業か否かという指標から、老舗企業には小規模のものが多い、従って、規模を大きくしない方が企業は長続きする、という「推測」をしているのだが、論理として飛躍している。

 老舗企業中における、売上高5億円未満の企業の割合、従業員「300人以上」の企業の割合、上場企業の割合が、それぞれ数値で示されているが、全企業中における割合も同時に示されなければ、割合の多寡を論じることは不可能である。

 ちなみに、全企業数は400万弱【転職グッド 大企業・中小企業の定義と企業数、従業者数】、上場企業数は4000弱【日本取引所グループ 上場会社数・上場株式数】であり、全企業に占める上場企業の割合は、約0.1%である。そうすると、老舗企業中の上場企業の割合が2%というのは、その20倍であり、むしろ、老舗企業の方が一般に規模が大きいという、正反対の結論が導かれる。

 ここで述べた論理の飛躍は、【オーケストラは理系のサークル活動?】【なぜ、一部の数字だけで納得できるのか】【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性】で述べたのと全く同質のものである。

 この本の著者である西成活裕氏は、数理物理学の専門家で、道路の渋滞や企業の生産活動などの領域に数理物理的手法を導入して社会実験を行うなど、様々な社会問題を論理的かつ実証的に解決しようと取り組んでいる気鋭の学者である。

 同氏の「渋滞学」「誤解学」「逆接の法則」などを読んだが、書店に溢れているビジネス書を100册読むよりも、この3册を読む方が遙かに有意義であり、もっと、こういった人が出てくればいいと思っている。

 それだけに、上記の論理の飛躍を目にしたときは、少し、がっかりしたのだが、優れた研究者でも、規模が小さい方が企業は長続きするという思い込みが強いと、「論理」ではなく、その思い込みを強く印象づける数字にのみ目を奪われて、論理の飛躍をしてしまうのだ。

 文章を書くときには、自分の思い込みで書いていないか、論理的に飛躍がないか、常に検証しなければならないということを、再認識した次第である。

----- 追記 2019.2.13 -------------------------------------------------------------------
 
 素材を提供していただいた著者の方に、この記事のことをお知らせしたところ、1時間もしないうちに、誤りを率直に認められて、今後は気を付けたい旨の、お返事をいただいた。

 なかなかできないことであるが、こうありたいものである。

 先日亡くなった梅原猛氏は、古代史に関する自説に対する批判を徹底的に検証した上で、自説の誤りを認めて、『葬られた王朝』という本まで書いたことで、一層、評価を高めた。

 けれども、自説の誤りが分かったら、それを改めるというのは、当たり前のことである。とはいえ、当たり前のことでも、当たり前にできないのが大多数の凡人であり、だからこそ、当たり前のことを当たり前にする人が評価されるのである。

 なお、昨日の記事に若干の字句の訂正や文字の修飾を施している。

 


「師弟戦」についての将棋連盟対局規定  「ただし」を安易に使わない

 藤井聡太六段が師匠の杉本昌隆七段に「恩返し」をしてから、もう1年になろうとしている【JCASTニュース 2018.3.9 藤井六段の「恩返し」】。「師弟対決」にいては、将棋連盟は次のように定めている【日本将棋連盟 対局規定 第8条 公式棋戦規約

 トーナメント戦においては、一次予選の1回戦の師弟戦は行わない。
 ただし、二次予選や本戦の1回戦はこれには該当しない。


 2行目に「ただし」とあるので、「一次予選の1回戦」でも、例外的に師弟戦が行われる場合があるのかと思ったのだが、よく読めば、そうではない。

 「二次予選や本戦の1回戦はこれには該当しない。」と書かれており、新たな情報は、何も付け加えられていない。

 「ただし」というのは、通常は、「原則に対する例外」を示す場合に用いられるものである。

 他には、たとえば、「コート内に落ちた場合は・・・。ただし、白線にかかる場合は、コート内とします。」のように、概念の境界で、その概念に含むか否かが一義的には決められない場合に、補足的に説明する場合に用いられることもある。

 他の用法としては、「心臓を切り取ってもよい。ただし、血を流してはならない。」のように、条件を付加する場合もある。

 ところが、対局規定の「ただし」は、ここで説明した3つの用法の、いずれにも該当しない。

  ● 原則に対する例外
  ● 曖昧な概念の明確化
  ● 条件の付加

 対局規定中の「ただし」で始まる一文は、何の意味もなく、読者には余分な負担をかけるだけであり、削除すべきである。

 どうしても、本戦や二次予選のことを書きたければ、こう書くべきである。

 トーナメント戦においては、一次予選の1回戦の師弟戦は行わない。
 従って、二次予選や本戦の1回戦では、師弟戦が行われることもある。



----- 追記 2019.2.13 -------------------------------------------------------------------
 
 記事に書いた改善案だが、少し問題がある。
 

 トーナメント戦においては、一次予選の1回戦の師弟戦は行わない。
 従って、二次予選や本戦の1回戦では、師弟戦が行われることもある。


「従って」というのは、順接の接続詞であり、前に書いたことの帰結として、次に何かを書く場合に使う言葉である。

 ここでは、2行目に書かれたことは1行目の帰結とは言いがたい。1行目の反対解釈の帰結としてなら、2行目のことが言えるのだが、その場合に「従って」という接続詞を用いるのは、違和感がある。

 ここは、「従って」ではなく、「なお」とか、「念のために述べるが」というのが適切なように思う。









最新号は貸出しできません

 近所の図書館では、雑誌の貸出しも行っている。

最新号-1

 ただ、雑誌のカバーを見ると、最新号の貸出しはできないとのことだ。

最新号-2

 似たような記載なのだが、こんなのもある。

最新号-3

 最初の「あまから手帖」の方は、「最新号です」と書かれており、最新号であることは明白だ。

 ところが、次の「アサヒカメラ」の方は、「最新号は貸出しできません」となっており、あくまでも、一般原則だけを述べているのだ。「あまから手帖」に「最新号です」と書かれていることからすると、その反対解釈で、「アサヒカメラ」は最新号ではないのかも知れない。
 
 ここからは、私の推測なのだが、一方にはフリガナがあり、他方にはないことからすると、元々はフリガナがなかったのだが、その後、小さな子どもにも分かるようにとの配慮から、フリガナ付きの改良版が作成されたように思える。

 そして、それと同時に、「最新号です」から「最新号は」に変更されたのだが、それは、なぜか。

 おそらく、初めの記載は、断定的な口調で高圧的な感じを与えることから、「親しみやすさ」を演出するために、「最新号は」と一般論を述べることによって、その号も結局は最新号であり貸出しできないことを悟ってもらおうと考えたのではないだろうか。

 考えてみれば、「夢のある人が好き」とか「夢ばかり追いかけている人は嫌い」とか言う場合、普通は一般論に止まるものではなく、「夢のあるあなたが好き」とか「夢ばかり追いかけているあなたが嫌い」ということである。

 仮に、文字通り一般論として受け止めてしまう人がいるとすれば、誤解する方が悪い、と言うことになるだろう。

 けれども、公共の図書館では、やはり、「分かりやすさが第一」である。「最新号は貸出しできません」といった、誤解の可能性のある表現は避けた方がいいと思う。そうすると、次のいずれかということになる。

 「最新号です 貸出しできません」
 「旧刊です  貸出しできます」

 ところで、ここの図書館は、ネットで本を検索、予約して、近くの分館まで本を届けてもらうことができ、大変、便利なのであるが、ネット予約等のシステムに関しては色々と問題があり、これまでにも、記事を書いてきた。

 【図書館で借りれるのは、AV2本まで
 【内部の論理は、内部に留める
 【番号だけでは分からない
 【どこまで利用者に配慮できるか
 【借りている資料=貸出状況 ?
 【図書館の本の予約状況の確認 情報のワンストップサービス

----- 追記 2019.2.22 -------------------------------------------------------------------

 「旧刊です  貸出しできます」という記載を提案したのだが、考えてみれば、図書館の本は貸出可能なのが原則なのであるから、貸出可能であれば、ことさらに、そのことを書く必要はないだろう。


----- 追記 2019.6.24 -------------------------------------------------------------------

 その後、この記事のコピーを図書館の職員の人に手渡したところ、半月もしないうちに、全ての雑誌が、「最新号です 貸出しできません」となっていた。

最新号-4

 こんなふうに私の指摘を正面から受け止めて改めてくれると、うれしくなるものである。

呼び出しボタンは、どこにある?  情報の引き算

 郵便受に書留郵便の不在配達通知が入っていたので、郵便局の夜間窓口に行った。誰も人がいないので何度も声を掛けたのだが、ようやく出てきた職員から、呼び出しボタンを押してもらったら、すぐに分かると言われた。

 そこで、ボタンはどこかと、改めて窓口の横の壁を見渡した。

呼び出し-2

 赤、青、緑、黄色と雑多な色が目に飛び込んできて、ボタンがどこにあるのか、すぐには分からない。よく見ると、右下に大きな矢印と「呼び出しボタン」という記載があり、その矢印の先に、実際にボタンがあった。

呼び出し-1

 わざわざ張り紙をして、ボタンの場所を大きな矢印で示すということは、郵便局の側も、ボタンの場所が分かりにくいことを認識していたのだろう。

 けれども、その解決策として、矢印と注意書きを加えるのは、方向性を間違えている。解決策は、こうだ。

呼び出し-4


 均一なグレーの壁に、大きさは控えめだが、赤地に黄色の下向きの矢印、その下に黒いボタンがある。これなら、嫌でも目に飛び込んでくる。

 机の上に置いたはずの携帯電話を捜すにしても、本や書類や郵便物の散乱した机の上だと大変だが、整理整頓された机の上なら一瞬であるのと同じである。

 情報過多の結果として分かりにくくなってしまう例については、これまでも書いたことがある。

 【地図の描き方
 【実務に理解の深い教員・・・

 なお、少し飛躍するが、この記事で書いた「理屈」は、視覚的なものに限らない。

 町の将棋道場では、誰もが知る天才少年であっても、奨励会に入れば、ただの一会員である。

A級順位戦の行方  必要最小限の情報をシンプルに

 将棋の佐藤天彦名人への挑戦権をかけたA級順位戦が佳境に入っており、将棋連盟のウェブサイトに解説がある【豊島が7勝1敗で首位に、羽生、広瀬が6勝2敗で追いかける A級順位戦 8回戦】。

 その解説の中に、最終戦(9回戦)の勝敗によって誰が挑戦者になるかについての表がある。

順位戦-1

 だが、せっかく表になっているのに、書かれていることを順に読んでいかなければ、理解することができない。

 では、こんな表なら、どうだろうか。

順位戦-2
 
 一目瞭然である。

 文章で書けば、暫定一位の豊島は、久保に勝てば無条件に挑戦者になり、負ければ、羽生広瀬戦の勝者とのプレーオフになる、ということであり、そのことだけを表にしたのが、上の表である。

 これに対して、将棋連盟の表は、3名の肩書き、最終戦の結果に基づく最終の勝敗なども書かれており、丁寧であることは間違いない。だが、読者がとりあえず知りたいのは、最終戦の結果によって誰が挑戦者になるのか、といった情報であり、肩書きなどは余分な情報である。

 余分な情報があると、読者の側で、必要な情報を選別しなければならず、その分、理解するまでに時間を要するのである。


孫や息子の嫁を養子にする話し

弁護士ドットコム40号14頁に、こんな記載がある。
 

孫や息子の嫁を養子にすると相続税が減らせるという話しを聞きましたが、それはほんとうなのでしょうか。



【1】 孫や息子の嫁

 「孫や息子の嫁」というのは、次の、どっちだろうか?
   「孫」や「息子の嫁」
   「孫や息子」の「嫁」

 おそらく、前者だと思われるが、そうなら、こう書けばいい。
   息子の嫁や孫

 もちろん、このように書いても、
   息子の「嫁や孫」と読む余地もあるのだが、「息子の孫」は、普通は「曾孫」と表現するので、このような読み方はされにくい。

 完璧を期すなら、数式のように、文章にも括弧を多用すべきことになるが、それは、それで分かりにくくなるので、要は、バランスの問題である。


【2】 話し

 送り仮名の付け方については、【内閣告示・訓令】によって、一応の基準が示されている。

 そして、名詞としての「はなし」は、「話」と書き、送り仮名「し」は付けないものとされている【送り仮名の付け方 単独の語 2 活用のない語 通則4】。

 「話」の送り仮名については、小学校の1年生の頃に、先生が一生懸命に話していたのを記憶しており、子供の頃から常に気を付けて来たし、たまに、「話し」と送り仮名「し」を付けているのを見ると、「なんと教養のない人だ」と思ってきた。

 ところが、ここ10年くらいのことであるが、手書きの文章ではなく、ちゃんとした活字になった文章でも「話し」と記載されているのを見かけることが多くなった。

 誤用であっても多数になれば、いつしか、それが正しい用法となってしまうのは、言葉の宿命のようなものではあるが、半世紀後はいざ知らず、今のところ、「話し」は、単なる誤りに過ぎない。



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「時間泥棒」仕置人 (改称予定)

Author:「時間泥棒」仕置人 (改称予定)
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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