「九州、中国、四国、北海道」は「3.98%」

 つい先ほどの朝日放送の「キャスト」という番組で、日本原電が、本来なら廃炉費用として積み立て置くべき資金を原発の新設に流用していたと報じていた。この会社は、全国の電力会社が出資をしているとのことで、その出資割合が以下の図で示されていた。

出資-1

 最後の「九州・中国・四国・北海道」の「3.98%」というのが、4社合計の数字なのか、各社の数字なのか、判然としない。

 他社の数字を見ても、すぐには分からず、他社の数字を概算で合計してみた、すると、おおよそ、85%ということが分かった。結局、「3.98%」というのは、それぞれの会社の数字だということになる。

 そうであれば、最初から、次のように書いておけばいい。
出資-2

 「各」と記載するだけでも理解できるだろうが、元の表では、4社が、同じ青色の四角の中に配置されていたのを、分離することによって、直感的にも、合計ではなく、各社の数字なのだと分かるようにした。
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 ここまで書いて、改めて、ネットで日本原電の株主構成を調べてみた。すると、私の推測は間違いで、4社併せて、3.98%ということのようだった【Wikipedia 日本原子力発電】。

 なぜ推測を間違ったのか。私の推測の過程を振り返ると、次のようになる。

 ① 「九州、中国、四国、北海道」の4社の合計は、4%弱か16%弱のいずれかである。
 ② 電力会社以外に株主はいない。
 ③ 上記①②から、他の6社の合計は、90%台半ばか、80%台半ばである。
 ④ 6社の合計は概算で、約85%である。
 ⑤ 上記③④から、6社の合計は、80%台半ばである。
 ⑥ ①②⑤から、4社の合計は16%弱、すなわち、3.98%というのは、各社の数字である。

 結局、②が私の思い込みで誤りだったのである。

 もちろん、④の概算を、もう少し精緻にしていたら、6社の合計は、85%強であり、裏を返すと、4社の合計が15%を超えることはないということになり、結果的に、②が誤りであることも自ずと分かったはずである。ところが、②の思い込みがあったが故に、そこまで精緻な概算をすることなく、ざっくりした計算で、誤った推論をしてしまった、というわけである。

「長田近年」裁判官

 今朝の新聞の人事欄である。左が、朝日のデジタルサイト、右が京都新聞である。
人事

 右側の京都新聞を先に読んだのだが、依願退官した裁判官の名前を「長田近年」と読んでしまった。すぐ下に「則」という文字があるので、改めて見直して、「田近年則」ということが分かった。

 私が「長田」と読んだ「長」は、「所長」の「長」だったのである。記事のはじめから順に読んでいけば、こんな誤解はあり得ないのだが、実際には、一字一字読んでいるわけではない。

 漢字かな混じり文の優れている点は、意味の塊が、視覚的にも塊になっているため、一瞬で意味がとれる点にあるのだが、塊として読む習慣が、誤解の原因にもなるのである。

 「長田」というのは、人の苗字として多いため、「長田」と読んでしまったのだ。他方、「田近」という苗字は珍しいため、「田近」が一塊に見えなかったのである。

 もし、最後の行の冒頭が、「長田近」でなく、「長金田」であれば、おそらく、「金田」と読んだことだろう。苗字としては、「金田」は多いが、「長金」という苗字は、お目にかかったことはないからである。

 こんなふうに、同じような書き方でも、誤解しやすい場合と、誤解しにくい場合があるのだが、そもそも、「金沢地、家裁所長」という部分を、朝日のように括弧で括っていれば、名前の部分と明確に分離され、誤解のしようはなかったのである。

 京都新聞も、「東京高裁判事」の方は括弧で括っていたのだから、「金沢地、家裁所長」も括弧で括ればよかったのだが、おそらく、前者は、裁判官の身分が二つ並ぶため、元の地位を括弧に入れようという配慮が働いたのに対し、後者は、「依頼退官」ということで、そのような配慮は不要、と考えたのだろう。

 けれども、このような中途半端な「配慮」が、誤解を生む原因になったのである。

 裁判官の身分に止まる場合であれ、身分を失う場合であれ、一律に、元の地位を括弧に括ればよかったのである。

 さらに、京都新聞の場合、「金沢地、家裁所長」の読点「、」が不要である。朝日のように「金沢地家裁所長」で足りるのである。意味の上では、【金沢】【地・家】【裁】【所長】という括りになるのだが、真ん中の【地・家】の中の区切りに「、」を使ってしまったために、【金沢地】【家裁所長】のように読めてしまうのである。

  本日の要点  

   漢字の連続は避ける。 括弧、スペース、かな、記号などを用いる。 

ゴルフ場でゴルフをした

ツイッターの投稿である。


 両記事で実質的に異なるのは、加計氏の名前の有無であるが、その点は、このブログで取り上げるような問題ではない。単純な首相動静に関する記事ではあるが、朝日と読売では、表現の点でも、様々な違いがあるのだ。

【1】 無駄な説明

 朝日の記事で、ゴルフについて書かれた部分は、こうなっている。

 山梨県鳴沢町のゴルフ場「鳴沢ゴルフ倶楽部」。友人とゴルフ

 「ゴルフ」が3度も出てきている。「鳴沢ゴルフ倶楽部」がゴルフ場であることは、疑う余地のないことなのだから、ことさら「ゴルフ場」と説明をつける必要はない。

 同じく首相が利用した施設の説明であっても、居酒屋「漁」の方は、「居酒屋」という説明はなくても飲食店ということは分かるものの、料亭でも、寿司屋でもなく、「居酒屋」だ、ということを示す点で意味がある。
ゴルフ
【2】 どこで説明をするか

 「別荘」という言葉が、両紙とも2箇所に出て来ており、それぞれ、以下のようになっている。

【朝日】 別荘 → 同県鳴沢村の別荘
【読売】 同村の別荘 → 別荘


 場所でも人でも物でも、普通は、最初に出てきたときに説明を加えて、2回目以降は、特別のことのない限り、説明は省略するものである。

【3】 記載の統一

 首相の動静を記述する際、次のような二通りの記述方法がある。 

 6時21分、居酒屋「漁」。秘書官らと食事。
 6時21分、居酒屋「漁」で、秘書官らと食事。


 つまり、時、場所で一文、次に行動で一文という方法と、時、場所、行動を併せて一文という方法である。

 どちらかが優れているというわけではない。

 ただ、一つの記事の中では、どちらかに統一すべきである。不統一だと、些細なことではあるが、読んでいるときに、若干の引っかかりを覚えるのだ。

 もちろん、記事によっては、統一してしまうと、単調な表現になって、文章としての魅力がなくなってしまう、という場合もあるだろうから、私も、そんな場合にまで統一すべきと言うわけではない。

 けれども、首相の動静というのは、単純な「情報」に過ぎない。そうである以上、できる限り、統一された、頭に整理しやすい形で記載するのが望ましい。

 この統一、不統一の点では、朝日の方が優れている。


 ところで、新聞記事でおかしな表現を見るたびに思うのは、新聞社には専門の校閲の部署があるのに、こういったことが後を絶たないのは、なぜだろうか、という点である。

 もちろん、私自身、自分で書いたブログを数日たって見返したときに、どうして、こんなわかりにくい表現をしていたのだろうという時もあるのだが、弁解になってしまうが、一人の人間の作業の限界というものである。

 それと比べると、新聞、出版などの場合は、専門の部署の人が第三者としてチェックしているのだから、完璧にできてもよさそうなのに、このブログの素材となるような表現があとを絶たないのである。

 誤解のないように言っておくが、私は、新聞記事を読むときに、決して「あら探し」をしているわけではない。読んでいて、なんとなくしっくりこない、ひっかかる、というときに、改めて読み直して、その原因を徹底的に考えた上で、どうすれば、より分かりやすい、すんなりと読むことのできる表現になるのかを模索し、その結果を、このブログで発表しているのである。

  本日の要点  

   重複表現は避ける。 

   説明は最初にする。

   記載方法は統一する。




部屋番号を捜すには?

 裁判所に行って、担当事件の審理が行われる法廷の部屋番号が分かっている場合は、その部屋に直行すればいいが、係しか覚えていない場合は、そういうわけには行かない。

 そんなときのために、裁判所の玄関ロビーのカウンターには、その日に行われる裁判の法廷の部屋番号と、その法廷を使う係との対応関係を示す表が置かれている。

 下の2つの表のうち、左側のものが、ある裁判所の対応表である。

 では、実際に弁護士になったつもりで、第5民事部B係はどの部屋か、左側の表で捜してほしい。

部屋番号


 「一瞬」というわけには、行かなかったのではないだろうか。では、今度は、右の表で、第6民事部B係の部屋番号を捜してほしい。

 今度は、すぐに見つかったのではないだろうか。

 実際の表は、このような簡単なものではなく、部屋番号毎に、その日に審理が行われる事件の事件番号、開始時刻などの情報も書かれていて、一つの部屋で1枚か2枚を使っている。そのため、約20枚ほどの表が綴られたファイルから捜すことになる。

 係が分かっていても、部屋番号順に並んでいる表の場合、その係の情報が何頁にあるかは、まったく見当が付かないのだから、順に1頁から見て行くほかはない。

 他方、各係の番号順に並んでいる表の場合は、例えば第5民事部B係なら、「大体、全体の後ろから3分の1くらいの所だろう」と見当がつくので、すぐに見つけ出すことができる。

 東京地裁だと、民事の部だけで50を超え、各部に係が2ないし5ある。各係で法廷が開かれるのは、週に2回程度なのだが、この対応表は、100頁前後になる。仮に、そんな裁判所で、左のような表を使っていたら、見つけるまでに、2,3分かかってしまうかも知れない。

 部屋番号順に並んでいる表は、たとえて言えば、英和辞典の単語が、アルファベット順ではなく、日本語の意味の五十音順で並んでいるようなものである。

 そんな英和辞典で、例えば、"apple" を捜す場合、2000頁の辞典なら、それを最初から頁を順に捲っていって、1800頁を過ぎた辺りで、ようやく「りんご」のところに "apple" と書いてあるのを見つけることになる。 

 そんな配列の英和辞典など、誰も使わないだろう(和英辞典として使う人は入るかもしてないが)。

 なお、係の名前を表示するに際して、「第4民事部A係」というのは、無駄な情報を省いて、「4A」にした方が、より分かりやすい。

 ただ、弁護士のように日常的に裁判所に出入りしている人は別として、裁判所に馴染みの無い一般の人は、「4A」といった記載だと、多少、戸惑うかも知れない。

 そこで、その両者の要請に答えるためには、こう記すのがベストだろう。
  

民事部A



  本日の要点  

   検索キーの順に並べる 【例】 係から部屋を探す → 係の順に並べる

   情報として重要なものを際立たせる 【例】 第民事部A


表にするしかない! その2

 1年あまり前のブログ【表にするしかない!】で、原発の再稼働の状況について文章で表現されたものを表にして、どれだけ分かりやすくなるかを説明した。

 その後も各地の原発で再稼働、停止が繰り返されているので、改めて、現時点までの再稼働の状況を表にしてみた。

再稼働-2017-11-09-0


 「日数」の欄を見れば分かるように、2013年から2年近くは、完全に停止していたのだが、この表では、そのことが直感的に理解できない。そこで、表の各行の高さを期間に比例するように表現したのが、次の表だ。 

再稼働-2017-11-09-3

 これなら、直感的にも、期間の長さが理解できる。

 なお、再稼働しているものは●で表現していたのだが、行の高さが小さくなると、●では見え辛くなるため、●の代わりに、各欄を塗りつぶすことによって表現している。

 ただし、 「塗りつぶす」といっても、「真っ黒」だと、コントラストがきつすぎるので、「濃い灰色」にしている。これなら、目にやさしく、落ち着いて表を見ることができる。

 下の表は、左が「濃い灰色」、右が「真っ黒」にしたものである。

再稼働-2017-11-09-4



  本日の要点  

   量的な大小を文字だけでなく図形的に表現する。 【例】 期間の大小 → 行の高さ

   コントラストを和らげるために、工夫する。 【例】 真っ黒 → 濃い灰色


ある日、前日に●●したところ、■■となった。

 次の一文は、「中居正広 アレルギーで顔パンパン頭皮はれ上がり別人に」という見出しの記事の一節だ。

今年8月のある日、前日に髪を染め、普段とは違う髪染め剤を使い、「いい色に染まった」と大満足していたところ、頭皮に少しだけかゆみが出た。
                                                 【Sponichi Anex 2017.11.1


【1】 日時の流れ

 文中の日時を表す部分に注目して、簡略化すると、こうなる。

 「今年の8月のある日前日●●していたところ、■■となった」

 「ある日」の次に、その「前日」が来ており、実際の時の流れと順番が逆である。
 
 実際の時の流れに沿って出来事を書いた方が理解しやすい。

 もちろん、内容によっては、遡って書いた方が、意外性を持たせたり、疑問を持たせることにより興味を掻き立てたり、といった効果がある場合もある。

 そのような場合に、明確に意図的に時の流れに逆らうのは、それは、それで一つの表現であり、とやかく言うことはない。けれども、無頓着に、時の流れに逆らうのは、好ましくない。


【2】 修飾・被修飾の関係

 しかも、その結果、「ある日」と「■■」の組合せの間に、「前日」と「●●」の組合せが入っている結果、修飾関係が分断されており、分かりにくい。

 この2つの問題点を解消したのが、次の文だ。

「今年の8月のある日●●していたところ、翌日■■となった。」


【3】 読者の予想

 さらに、「前日」の行動「●●」にあたる部分の「髪を染め、普段とは違う髪染め剤を使い」の表現も分かりにくい。

 「髪を染め、」まで読むと、さらに、次ぎに何かをしたのかと予想して読み進めることになるのだが、実際に書かれているのは、次の行為ではなく、「髪を染め、」の説明にあたる事柄である。

 だったら、説明と行為を一体として、「普段とは違う髪染め剤を使って髪を染め」とした方が、分かりやすい。

 「普段とは違う髪染め剤を使って」まで読めば、次ぎに、「髪を染めた」と続くのだろうと予想され、実際に、その予想通りの内容になっているので、どこにも引っかかることなく、読み進めることができるのである。


  本日の要点  

   時の流れに逆らわない。

   修飾・被修飾の関係の間に、別の修飾・被修飾の関係を挟まない。

   読者の予測を裏切らない。

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 ブログを読み返していて、 「普段とは違う髪染め剤を使って髪を染め」のところで引っかかった。
 「髪染め剤を使った」のであれば、普通は、「髪を染めた」はずである。だったら、単に、「普段とは違う髪染め剤を使い」とすれば足りたのである。

 つい先日、【「昨日、大阪で研修会があり、その研修会に出席しました。」】で、「いわずもがな」のことは書くべきではないと書いたばかりなのに、自分が、同じ罠にはまっていたのである。 【2017.11.15 追記】


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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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