主語は固定する

 インターネットが一般に普及して約20年になるが、未だに、自社のウェブサイトを持っていない企業もある。

 他方で、インターネットを活用し、ウェブサイトで多様な情報を発信している企業も数多くあり、大企業の場合は、ページ数が、何万頁にも及ぶものがあるという。

 それだけ巨大なウェブサイトになると、管理も大変である。ウェブサイトには、外部のサイトへのリンクが多く張られるものだが、よほど注意をしておかないと、リンク先のウェブサイトがなくなっており、「NOT FOUND」という表示がなされることになる。そんなリンク切れが多いと、そのウェブサイト自身の信頼性にも関わってくる。

 先日、たまたま見つけたのだが、IBMがウェブサイト管理用のソフトを開発していて、そのソフトを使えば、人の目だけでは到底管理しきれないような巨大なウェブサイトのリンク切れや、その他の不具合を自動的に検証することができるとのことだった。

 週に1回、このソフトで検証し、改善方法を検討し、改善する、というサイクルを繰り返すことによって、ウェブサイトの総頁数が2万頁あまりの企業グループでは、以前は、2万件を超えていたリンク切れが、こまめに修復されるようになり、今では、せいぜい、数件になった、ということだった。

 その解説【IBM Rational Policy Tester】の中に、次のような一節があった。

   ワークフローに従って週単位で処理し、
   メンバーから頻繁に状況が確認されることで、
   エラーを放置できない体制になっています


 意味をとれないことはないのだが、どうも引っかかる。原因は、どこにあるのか?

 原因は、1行目の主語は、明示されていないものの、2行目にある「メンバー」のはずだが、2行目の主語は、「状況」であり、しかも、これを主語にすることによって、受動態になっているのである。つまり、【主語の交替】【能動態、受動態の混在】という二つの要素が、『ひっかかり』の原因である。

 だとすれば、その原因を取り除いて、次のようにすれば、引っかかることはなくなるのである。
 

   ワークフローに従って週単位で処理し、
   メンバーが頻繁に状況を確認することで、
   エラーを放置できない体制になっています


 なお、視点を固定することの重要性については、以前のブログでも触れている。

    【フランチャイザーのフランチャイジーに対する・・・

    【解説図(徘徊事故 最高裁判決)を比較する

いりこ、ドンコ、鰹節、昆布

 水曜の朝日新聞の夕刊に、「黒木瞳のひみつのHちゃん」というエッセーがある。先日の【結婚生活=食べること】という題名の記事の冒頭に、次の一節があった。

最近、ダシをとるのにハマっている。大きなボウルにたっぷり水を入れて、いりこ、ドンコ、鰹(かつお)節、昆布をどさりと入れる。

 
 いりこ、鰹節という魚を素材とした出汁の材料が出てきたので、その2つに挟まれた「ドンコ」というのも何かの魚に由来するものと考えた。だが、何のことか分からず、ネットで調べてみた。

 【Wikipedia 「ドンコ」】によると、ハゼの仲間に、そういう魚がいることが分かった。だが、記事を読んでいっても、出汁をとるのに使われるということは書かれていない。

 そこで、記事では、何か全く別の「ドンコ」を指しているのではないか、と思いを巡らした。ネットで調べている内に、「かさが開かないうちに採取した椎茸を干して作った干し椎茸」を指すのだと分かった【生活環境研究所ブログ‐食のあれこれ‐】。

 そういえば、干し椎茸のことを「ドンコ」と言うのを聞いた記憶は微かにあった。
 
 ただ、記事を読んだときは、そんな記憶はどこかに行っていたので、いりこ、鰹節に挟まれた「ドンコ」は、魚に違いないと思い込んだのである。

 これが、たとえば、【いりこ】【鰹節】【昆布】【ドンコ】となっていたら、魚が並んで、次に、海草が来たのであるから、次の「ドンコ」も海草か、陸の植物か、という推定が働く。そういう目で読めば、私の微かな「ドンコ」に関する記憶も呼び起こされて、干し椎茸のことだと分かったはずである。

 このように、いくつかの単語を並べて書く場合、無頓着に並べるのではなく、同じ種類のものは、まとめて書き、種として遠いものは離して書く、ということが、誤解を避けるには必要だ、ということである。

 そう考えると、【いりこ】【ドンコ】【鰹節】【昆布】は、【いりこ】【鰹節】【ドンコ】【昆布】でもだめで、【いりこ】【鰹節】【昆布】【ドンコ】でなければならないのである。

 他に具体例を挙げると、出版社系の週刊誌を列挙する場合は、「文春、新潮、現代、ポスト」とすべきであって、「文春、現代、新潮、ポスト」とすべきではない、ということである。

 旧ソ連に属した国を、4つ列挙する場合でも、「ベラルーシ、ウクライナ、キルギスタン、トルクメニスタン」なら分かりやすいが、これが、「ベラルーシ、キルギスタン、トルクメニスタン、ウクライナ」だと、若干の違和感があり、誤解のもととなる。

 いささか寂しくなった家電業界であるが、「松下、サンヨー、シャープ、東芝、日立、日本電気」なら、しっくり来るが、「松下、東芝、日立、サンヨー、日本電気、シャープ」だと、混乱する。

 もちろん、列挙された単語について何の知識もない人が読むのであれば、混乱も何もないのであるが、多少なりとも、知識がある人の受取方を考えれば、列挙の順番には【必然性】があるのである。

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 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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