表記の「ゆらぎ」

 今朝、近くの公園を1時間近く散歩して汗をかいたので、休憩所の自販機でポカリスエットを買って一気に飲み干した。

 空のペットボトルを捨てようとゴミ箱の所に行って、戸惑った。ゴミを分別するための表示が微妙に異なるゴミ箱が二つ並んでいる。

ゴミ箱


  ペットボトルは、どこに入れればいいのかと表示を読んでみると、左右、どちらのゴミ箱にも、「ペットボトル」の表示がある。

 一口にペットボトルと言っても、大きさ、その他で区別していて、その区別に従って、左右に分別するのかと思い、ゴミ箱に書かれた文字を、すべて読んでみたのだが、どうも、違いはなさそうだ。

 右側のゴミ箱の方が、図解入りになっていることから推察すると、元々は、左側のゴミ箱しかなかったのが、ゴミの量が予想外に多くなりゴミ箱を追加することになって、同じ種類のゴミ箱を購入したのだが、表示方法が、より「改善」されていたために、左右のゴミ箱で、異なる表示になったのだろう。

 新しくゴミ箱を追加するのであれば、古いゴミ箱はペットボトル専用、新しいゴミ箱は瓶、缶専用と、完全に分けた方が、ずっと分かりやすいし、ゴミの収集だって、その方が、多少は便利そうである。たとえば、こんな感じだ。
 
ゴミ箱-2


表記の「ゆらぎ」と「使い分け」

 司法修習生の指導担当弁護士に対するアンケートで、修習生の就職状況に関する質問があった。その中に以下の質問があった。

3.下記であてはまると思われるものがあれば、○をつけて下さい。
     ① 30歳を超えていると就職が難しい
     ② 女性は就職が難しい
     ③ 社会人経験者は就職が難しい
     ④ ロースクールによっては就職が困難
     ⑤ 司試験の成績が悪いと就職が困難
     ⑥ ローの成績が悪いと就職が困難


 別段、「分かりにくい」表現をしているわけではない。

 けれども、何かしら「引っかかり」を覚える。

 原因は、各項目の末尾の、「難しい」「困難」の使い分けである。

 使い分けられている以上、読んだ側は、そこに「使い分けるだけの違い」があるのではないかと考える。しかし、どう考えても、違いはなさそうだ。そうであれば、読者に余分な負担をかけることのないよう、「難しい」にするか、「困難」にするか、どちらかに統一すべきである。

 ところで、このブログの最初の文では、「司法修習生」と「修習生」という表現を用いて、同じ対象を別の言葉で表現しているが、この場合は、「不統一」でもいいと考え、あえて、そうしているのである。

 というのは、最初に出てくるときは、「修習生」といっても馴染みのない人には何のことがぴんと来ない可能性があるから、正式名称の「司法修習生」という表現を用いたのであり、二度目に出てくるときは、「司法修習生」という長ったらしい表現を用いるよりも、「修習生」という簡潔な表現を用いた方がいいと考えたからである。

 さて、この文章には、もう一つ、「不統一」の例がある。3つ前のパラグラフの「読んだ側」と「読者」である。

 この使い分けの理由は、こうだ。つまり、最初に出てくるときは、意味を実感しやすい、「大和言葉」を用い、二度目に出てくるときは、簡潔に表現するために、漢語を用いたのである。この微妙な感覚による使い分けについては、以前のブログ【「忘れました」「失念しました」】を参照してほしい。

 このように、何が何でも「統一すべき」というわけではなく、「使い分け」が適切な場合もあるのである。

 けれども、無意識に不統一な言葉を用いるのは、読者を戸惑わせ、ストレスを感じさせることになるから、避けなければならない。

 いわゆる「表記のゆらぎ」、たとえば、「コンピュータ」と「コンピューター」、「エレベータ」と「エレベーター」などの混在は、ストレスを感じさせるだけでなく、「表現に無頓着な書き手」という印象を与えてしまうものであり、絶対に、避けるべきである。

矢印を使わないのは、もったいない

 昨日の新聞に、東京オリンピックの経費が当初予算から異常に膨らんだ件につき、図解入りの解説が出ていた【2016.7.26 asahi.com】。

 その図解の一部が、これだ。

 
五輪-1


 一瞬、戸惑った。原因は、青地に白で「都が負担」と書かれた長方形二つの間にある、記号「>」だ。

 東京都の負担が当初計画より現状は大きくなったという記事の図解だから、「>」は、てっきり不等号かと思ったのだが、不等号だとすると、向きが逆である。見ているうちに、実は、左から右へと「変化した」ということを表現しようとしたのだと分かった。

 そういう意図なら、もっと適切な表現があるだろうと思って、改訂版を作ってみた。

五輪-2


 不等号ではなく矢印だから、左から右への変化を表していることが一目瞭然である。以前、エレベータのボタンの表示を、三角形から矢印に変えるべきだという記事を書いたが、その記事【エレベータの開閉ボタン】も参照してほしい。

 そこでも書いたように、矢印だと、何となく、変化の方向を「そのまま」表現したに過ぎず、「芸がない」ように見えるのだろう。だから、一工夫して、矢印の根本の直線部分を取り去りたくなるのだろう。その結果、かえって、分かりにくくなるのだ。

 図解するにあたって、矢印ほど、表現力に富んだ記号は存在しない。使わないのはもったいない。つまらない「かっこよさ」を求めて、「分かりやすさ」を犠牲にするのは、本末転倒である。

 さらに、改訂版での工夫は、矢印が右上がりになっていることだ。その結果、当初計画よりも現状は経費が膨らんでいることが視覚的にも明確に分かる。

 さらに、改訂版では、矢印の色を赤にしている。その結果、真っ先に矢印が目に飛び込んできて、経費が膨らんだことが、直感的に強く印象づけられるのである。

 こんな記事を書きながら、つくづく思うのだが、こういった新聞記事の解説図を描いている人たちは、その道の専門家の人たちのはずなのに、どうして、こんな図を描いてしまうのだろう。読者の立場に立って考えれば、私が上に書いたことなど、特別に難しいことではないはずで、誰にでも思いつくと思うのだが。

ドメインは、レジストラントの指示に従いレジストラがレジストリに登録する

 インターネット上のウェブサイトの開設者に対して、名誉毀損等の責任を追及するには、ドメイン名(このブログで言えば、【fc2.com】)に関する情報を、【ANSI Whois Gateway】等で調べることになる。

 ただ、表示される登録情報は、英文で、しかも、Rregistrant,Registrar,Registry と言った似たような単語が出てきて、それぞれの違いに戸惑うことになる。

 そこで、今度は、レジストラやレジストリの意味をネットで調べるのだが、表題のように、何となく分かるものの、どこか腑に落ちない表現を目にすることになる。

 ant, ar, y といった、英語の接尾辞には、それなりの意味があり、生まれた時から慣れ親しんでいれば、何ということは、ないのだろう。だが、我々は、ネイティブの日本人である。英語国民と同様に理解できるわけはない。 このブログの最初の記事【フランチャイザーのフランチャイジーに対する債権を担保するために、フランチャイジーからフランチャイザーに対して・・・】に劣らず、分かりにくい表現である。

 単純に、日本語訳すると、順に、登録者、登録代行者、登録機関ということになる。そうすると、以下のようになる。

ドメイン名は、登録者の意向に沿って、登録代行者が、登録機関に登録する



 だが、みな「登録」という言葉が前についていて、似たような語感がして、それぞれが、明確に識別できない。ここは、フランチャイザーを本部、フランチャイジーを加盟店と訳したように、英単語の共通部分「Regist」に引きづられることなく、それぞれ、全く別の表現にした方が理解しやすい。

ドメインは、サイト開設者の指示に従い登録代行業者がドメイン管理機関に登録する。


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「時間泥棒」仕置人

Author:「時間泥棒」仕置人
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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