正しい照明スイッチの並べ方

 私が所属する弁護士会の建物の4階には、会員専用ロビーと図書室がある。照明設備は細かく分けられた区画毎に全部で8系統あるのだが、照明スイッチが、どの区画に対応しているのか、ことのほか分かりにくい。そのため、わざわざ、どのスイッチか、どの区画に対応するのかを図解した紙が貼られている。

照明
(上の図は、実際よりも、若干、簡略化している)

 
 こんな貼り紙が必要になるのは、スイッチの配置と、実際の照明の配置とが対応していないからである。

 スイッチを捜す負担を少しでも軽減しようとして、この図が貼られたのだろうが、それでも、面倒なことには変わりがない。

 たとえば、閲覧室の真ん中あたりの照明を点ける場合、こうなる。

 ・まず、図で、自分が照明を点けたい区画を捜す。
 ・そこに、「④ 閲覧室 中」とあることから、スイッチのパネルで「④ 閲覧室 中」というのを捜して、スイッチを押す。

 面倒なのは、2番目の、「④ 閲覧室 中」と書いてあるスイッチを捜すところだ。

 それでも、番号が振ってあるので、「閲覧室 中」という文字を捜すのではなく、数字の④を捜せば足り、その分は、ましである。

 というのは、数字であれば①②③と順に並んでいるのが普通なので、ある程度、どの辺りにあるか見当がつくが、「閲覧室 中」だと、どの辺りにあるかなど、だれも予想できないからである。ただ、数字でも並べ方も、一通りしかないわけではないから、数字だからと言って、すぐに見つけられるとは限らない。

 パネルを見ると右上が①であることから、おそらく、その下の方に④があるだろうと見当がつき、下の方を見れば、そこに④があり、そこを押す、ということになる。

 上の説明は、私が、「ことさら面倒そうに書いた」と思われる人がいるかも知れないが、スイッチの数が少ないから、そう思うだけで、実際、スイッチを押すまでの過程を分析すると、上のようになっている。試しに、スイッチが百個ある場合を想像してみれば分かることだ。

 現状では、上記のような面倒な過程を経るのだが、最初から、以下のように、スイッチの配置を、実際の照明の配置と一致させていれば、そんな作業は不要であり、何のストレスを感じることもなく、照明を点けることができるのだ。

照明-2
 (なお、この図では、①、②という番号も、不要になっていることに、注目されたい)

 今回取上げた、現実世界の配置と、現実世界を指し示す表現の配置との対応の重要性は、以前のブログ、【前列右から・・・】【市ヶ谷キャンパス・・・】でも書いた。

 ところで、冒頭のスイッチが分かりにくい理由は、実際の照明の配置と対応していないという点だけではない。

 ロビー「北」とかロビー「南」という表現も、分かりにくさに大きく寄与している。

 建物の中にいるとき、普通は、どちらが北か南かなどと方角を意識することはない。

 だから、方角を意識しなくても分かる識別方法、たとえば、「奧」「手前」「窓際」「ドア側」などの表現のほうが、遙かに分かりやすい。

 方角を用いた表現になったのは、おそらく、スイッチに書く文字を考えた人が、図面を見ながら考えたからだろう。図面上は、どちらが北かということは明らかであるから、実際に建物を利用する人の意識など頓着することなく、「北」とか「南」という表現を用いたのであろう。この点は、以前のブログ【「6階の第1待合室で・・・」】にも書いたことである。

リモコンのボタンと文字の対応

 我が家のエアコンのリモコンのボタンの配置は、以下のようになっている。
リモコン

 一番よく使うのが風量ボタンなのだが、このボタンを押そうとする度に、考えてしまう。

 というのは、「風量」という文字の上下にあるボタンのどれを押せばいいのか迷うのだ。もちろん、すぐ下を見れば、一番下の文字の「風向」の下にもボタンがあるのだから、文字と、その下のボタンが対応していることは明らかなのだが、「風量」という文字を見ただけでは、上下どちらのボタンが、この「風量」に対応しているのか迷ってしまうのである。

 何度も使っているのだから、上下どちらに対応しているのか覚えていてもいいはずなのだが、文字と上下のボタンが等距離であり、しかも、右側にある「切」は下のボタン、「取消」は上のボタンに、それぞれ対応していることから、「風量」を見る度に、上下どちらのボタンに対応しているのか考えてしまうのだ。
 
 こういった混乱を防ぐには、下記のように、文字とボタンをワンセットとして、そのセット毎の間隔を広げてやればよい。
 
リモコン-3

 これなら、「風量」という文字が、すぐ下のボタンと対応していることは、一目瞭然である。
 さらに進んで、ボタンの表面に文字を配置すれば、絶対に間違いようがない。
リモコン-4


 このリモコンのように、上下どちらに対応しているのか判然としないという経験は、外にもある。

 カレンダーを見る際に、その日が何日かが一目で分かるようにするために、カレンダーの日付のところにマグネットのボタンを貼り付けたのだが、後でカレンダーを見たとき、その日が、マグネットのボタンの上下どちらの日付なのか、考えてしまった。

 マグネットを貼り付けたのは自分なのだから、上下のどちらに対応しているかということは覚えていても良いはずなのに、どっちにしたのか悩んでしまう。

 そこで、下の図のように、マグネット2つで日にちを挟むようにしたのこれなら、その日が「12日」だということは間違いようがない。
カレンダー

 上の図で、18と25の間にもマグネットがあるが、大事な予定を忘れないようにということでマグネットをつけたのだが、後から見ると、18と25の、どちらにつかたのかは、分からなくなる。

実測を行うべきところ・・・机上算出した。

 またか、というのが、今回の三菱自動車の燃費不正の発覚である。

 同社のホームページでは、今回の問題について謝罪するとともに、現在までの調査結果を公開している。長くなるが、引用する。

同燃費訴求車につき、法規で定められた惰行法と異なる方法「高速惰行法」で走行抵抗データを実測。燃費を良く見せるため、計測したデータの中から小さい値を選別し、走行抵抗を設定した。残る3類別については、実測を行うべきところ、同燃費訴求車の値を基に机上算出した。                                                                              【当社製車両の燃費試験における不正行為に係わる国土交通省への報告について


 「机上算出」という言葉を見るのは初めてで、一瞬、何のことかと思ったのだが、「実測を行うべきところ・・・机上算出した」というのであるから、要するに、「捏造した」ということである。

 それでも、「机上算出」というと、「捏造」よりも、ずっと無色透明な行為のように思われ、社会的非難の程度も、ずっと軽そうである。

 もちろん、三菱自動車の広報担当者は、社会に対して、いかにも、「真摯に反省しています」という姿勢をアピールしながらも、「酷い会社だ」ということを極力、印象づけないように、文章表現を工夫しているのだろう。

 その点では、有能な社員がいて、そのねらいは「成功した」かに見えなくもない。

 けれども、そんな「努力」も、その狙いが分かってみれば、逆に「往生際が悪い」といった印象を与えてしまうのであるが、当事者としてみれば、そこまでの配慮はできないのだろう。

 こんなことを書いているうちに、8年前の「船場吉兆」の事件での対応を思い出した。

 客が残した料理を使い回ししていたという事件である。

 船場吉兆に限らず、いわゆる「産地偽装」や「賞味期限偽装」の問題は、許せないと思いつつも、他方で、「さも、ありなん」と、偽装をしたくなる心理も、分からないではなかった。

 けれども、食べ残しの料理を別の客に出すなど、そんなことが実際に行われるなど、想像すらしたことがなかっただけに驚いた。この事件が起きるまで、場末の屋台でも、そんなことが行われるのではなどと誰も危惧することはなかったはずだ。

 「食べ残しを出してはいけない」ということは、だれも口に出したり、意識したりすることもないほど、「当たり前」のことだった。そんな当たり前のことが、「高級料亭」で護られていなかったのだから、呆れてしまった。

 そのときの、船場吉兆の女将の説明に、なるほど、そんな表現もあるのかと感心したのだが、それが次の表現だ。
 

手つかずのお料理 


 窮地に陥ったときの人の造語能力というのは、実に凄いものである。

 「手つかずのお料理」などと言われたら、それを廃棄処分にする普通の料理店は食べ物を粗末にしているのであって、船場吉兆のほうが、食べ物を大事にする見上げた存在のように錯覚しかねないではないか。

 今回の話題と似たような話は、以前のブログ【「忘れました」「失念しました」】でも書いた。

 自分でも、この種の「言葉の無色透明化」を行うことがあるだけに、一方的に他人のことを、あげつらうのは、内心、忸怩たるものがあるのだが、本ブログは、「分かりやすさ」の技術を追究することが目的であり、あえて、書いた次第である。

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 その後、気になって調べてみたのだが、食品衛生法にも、「一度販売した食品を再度販売してはならない」という規定はなかった。立法者も、そこまでは想像力が及ばなかったのだろう。なお、販売が禁止される食品については、以下のとおり、食品衛生法6条に列挙されている【2016.4.29 追記】。

第6条
 次に掲げる食品又は添加物は、これを販売し、又は販売の用に供するために、採取し、製造し、輸入し、加工し、使用し、調理し、貯蔵し、若しくは陳列してはならない。

①  腐敗し、若しくは変敗したもの又は未熟であるもの。ただし、一般に人の健康を損なうおそれがなく飲食に適すると認められているものは、この限りでない。

②  有毒な、若しくは有害な物質が含まれ、若しくは付着し、又はこれらの疑いがあるもの。ただし、人の健康を損なうおそれがない場合として厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。

③  病原微生物により汚染され、又はその疑いがあり、人の健康を損なうおそれがあるもの。

④  不潔、異物の混入又は添加その他の事由により、人の健康を損なうおそれがあるもの。



直感に逆らう表現は、だめ!

 関西の私鉄では、どの列車が先に来るのかを示すために、次のような表示が使われている。

 先発 次発 次々発


 他方、関東では、次のようになっている。

 こんど つぎ そのつぎ


 「こんど」と「つぎ」では、一体、どちらが早いのか、初めて見た人は迷ってしまう。「先発」と「次発」なら、どちらが早いのか、迷うこともない。

 こういった、前後関係を表す言葉は、似たような言葉があるので、自分では、それなりの意味づけをしていても、第三者から見ると、よく分からないということがある。

 たとえば、このブログが利用している「FC2ブログ」では、ブログ記事の下の方に、前後の記事へのリンクが貼られているが、デフォルト【初期設定】では、こんな具合である。

前の頁-1

 上の行は、たとえば、20件ずつ表示している場合、その前後の20件を表示するためのものであり、下の行は、1件だけ表示している場合に、その前後の1件を表示するためのものである。

 これまで、この表示を見る度に、ストレスを感じていた。

 「前の記事」「次の記事」というのは、どっちが新しい記事なのか?

 直感的には、「次の記事」の方が新しい記事だと思えるのだが、「FC2ブログ」では、実は、「前の記事」の方が新しい記事になっているのだ。

 確かに、時間は過去から未来へ流れて行くのであり、そうすると、未来の方が「前」であり、「前の記事」が「新しい記事」を指すという考え方にも、「一理」ある。

 だが、たとえ、「一理」あっても、「分かりやすさ」という点では、失格である。言葉というものは、瞬時に意味が伝わることが必要なのであり、後で説明を聞けば分からないでもない、というのでは、「実用」にはならないのである。

 直感に反する表現は、見る度に、「こっちが新しい記事のように見えるけど、実は、逆なんだ」ということを自分に言い聞かさなければならず、分かっていても、ストレスを感じるものである。そこで、、「FC2ブログ」のテンプレート【予め用意されたブログの書式】をカスタマイズ【自分流に変更】して、以下のようにした。

前の頁-3

 これなら、もう、ストレスを感じることはないだろう。

 なお、下の行も、最初は、「新しい記事」「古い記事」としようと考えたのだが、それよりも、端的に前後の記事のタイトルを記載した方が便利だと考え、このようにしたものである。

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 冒頭の電車の件は、【次の電車と今度の電車はどっちが早い?】で詳しく紹介されている。

 関西風の表現の方が分かりやすいのは事実である。だが、それでも、「先発」と「次発」が並んでいるときに、「先発」のほうが早いということは分かるのだが、「次発」しか目に入らなかった場合、果たして、それが、最初に来る電車なのか、2番目に来る電車なのか、ということまでは、分からないだろう。

 そうすると、上記の記事でも提案されているように、1番目、2番目、3番目と数字で表示する方が、より分かりやすいということになる。

 このように、数字を使うことの効用は、以前、【市ヶ谷キャンパスと市ヶ谷田町キャンパス】でも書いたとおりである。

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Author:「時間泥棒」仕置人
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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