外来語の言い換え

 昨日、散歩の途中のできごとだった。

 後ろで、「バイバイ」という声がする。振り向くと、3つくらいの女の子が私の方を向いて手を振っている。

 全然しらない子だったのだが、取りあえず、私も「バイバイ」と手を振ってやると、その女の子は、にこっとして走り去っていった。

 おそらく、手を振って「バイバイ」をする、ということを覚えたばかりなのだろう。せっかく覚えたということで、とにかく、「バイバイ」という言葉を使いたくて仕方なかったのだろう。自分の「バイバイ」に大人が振り向いて「バイバイ」をしてくれて、大満足だったに違いない。

 覚えたら、使いたくなる。こうやって、子どもは、言語を習得して行くのだろう。当然のことであり、何も文句のつけようがない。

 ところが、大人になっても、この「覚えたら、使いたくなる」の習性から抜け出せない一群の人々がいる。生息地は、霞が関、永田町の界隈である。

 公約が、マニフェストやアジェンダに呼び名を替えたところで、護られないものは護られない。

 説明責任が、アカウンタビリティとなったところで、本気で真相を明らかにしようという意欲がなければ、説明らしき言葉を垂れ流すことに何の意味もない。

 総じて、こういった外来語は、一見、素晴らしい、役に立つもののように見せかけることによって、骨抜きにされた実態を覆い隠す役割を果たしていると言える。そう考えると、これらを使う人々は、まさに、その目的に適合的な言葉を選択しているということになり、天晴れという外はない。

 けれども、そのような目的ではなく、実態を素直に伝えたいときは、外来語の使用を避け、漢語または大和言葉を使うに限る。

 外来語の言い換えについては、幸い、文部科学省が、【「外来語」言い換え提案分かりにくい外来語を分かりやすくするための言葉遣いの工夫】というのを発表しているので、参考にされたい。

 この表の中には、インパクトやコンセプトのように、広く浸透している言葉もあるにはあるが、それでも、人によっては理解が困難な可能性もあるのだから、常に、相手が、どのような人なのかを意識して、その人に理解してもらえるような言葉を選ぶべきである。

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 ちなみに、上記の文部科学省の「言い換え提案」には、アウフヘーベン、ワイズ・スペンディングはおろか、リセットという言葉もなかった。やはり、メトロポリタンのガバナーはエクセレントである【2017.12.29 追記】。

 なお、参考までに、【小池氏、カタカナ語多用・・・】を参照されたい【2018.11.10 追記】。

図書館で借りれるのは、AV2本まで

 昨日、近くの公共図書館で、CDを何本か借りようとして、職員にこう言われた。

AVは、2本までです。


 一瞬、

いえ、ただの音楽CDなんですけど。

と言いかけたのだが、AVというのは、「オーディオ・ビジュアル」の略と気づいて、言葉を飲み込んだ。
 
 パナソニックなどには、AV事業本部というのがあるそうだが、外部の人に部署名を言うのに抵抗はないのだろうか。

 話は変わるが、以前、事務所で買った新しいプリンターが、すぐに動かず、私が、「ドライバーは、どこかな」と呟いたところ、女性の事務員さんが、さっと、ネジ回しを渡してくれたことがあった。

 苦笑しながらも、プリンターには、プリンタードライバーというソフトが必要だということを説明した。

 すると、ゴルフ好きの男性事務員が、調子に乗って、「ゴルフのクラブかと思いました」と、返して来た。

 同音異義語であっても、たいていの場合は文脈で識別できるのだが、ときには、文脈からの推測ができずに、上記2例のような勘違いをしてしまうことがある。

 漢語の場合は、同音異義語であっても、文字にすれば違うから、話す場合だけの問題だが、外来語や略語の場合は、書き言葉、話し言葉、共通の問題として、同音異義語による勘違いの問題が生じる。

 できるだけ、同音異義語を使わないに越したことはないのだが、口から出そうになった言葉が、同音異義語かどうかを瞬時に判断するのは、誰もが容易にできることではない。

 とはいえ、テレビを見たり、人の話を聞いているときに、同音異義語を聞いて一瞬ではあるが勘違いしそうになるという体験は、誰もが日常的にしているはずだから、そんな時に、少し立ち止まって考えて、その言葉には、他に、どんな意味があるかを考えるようにしていれば、何が同音異義語かという判断力は、確実に磨かれるはずである。

 たとえば、上の例の、「ドライバー」の場合なら、実際に混同したのは、「ネジ回し」と「周辺機器駆動ソフト」だが、それ以外に、「ゴルフクラブの一番ウッド」「運転手」といった意味もあるということを思い起こしていれば、同音異義語を聞いたときに誤解する可能性は確実に減って行く。

 実際、友人A、Bと私の3人で話しているとき、Aが同音異義語を使い、その瞬間、Bが勘違いするだろうなと思ったら、案の定、勘違いをしたという経験は何度かある。ときには、私が口を挟んで、Bが勘違いしないように、Aの発した同音異義語を言い換えてAに確認するということもあった。

混線防止

準備書面の提出をファックスで行う際、送付状と受領書が一体となった書面を同時に送る。

受領書部分には、裁判所のファックス番号と、自分のファックス番号を記載するわけだが、その記載の仕方が、各事務所によって異なる。

今日、届いたのが、以下の書面である。

 京都地方裁判所第8民事部い係 御中(FAX075-253-●●●●)
 原告訴訟代理人弁護士 中坊鬼平 殿(FAX075-235-●●●●)


これに対して、私の事務所では、下記のように記載している。

 京都地方裁判所 第8民事部 い係 御中
             (FAX:075-253-●●●●)
 原告訴訟代理人 弁護士 中坊鬼平 殿
             (FAX:075-235-●●●●)


最初の例は、これまでにも述べたことのある問題点 【スペースの効用
  ①漢字が切れ目なく繋がっている
  ②「FAX」と数字の「0」とが隣り合っている
があるが、それだけではない。

一番大きな問題は、
 裁判所のファックス番号と自分の事務所のファックス番号の間に行がないことだ。
 
複数の番号が並んでいると、うっかりすると、前半は上の行の番号、後半は下の行の番号というような間違いを犯しやすい。特に途中まで、似たような番号が並んでいると、一層、間違いやすい。

そこで、それぞれのファックス番号の行の間に他の行を挟んでやれば、このような間違いも犯しにくくなる。

全ての記事のタイトルを表示する方法 http://laweditor.blog.fc2.com/?all

このブログの基本のアドレスは、 http://laweditor.blog.fc2.com/ であり、
  ・記事が、直近のものから、50件
  ・記事のタイトルが、直近のものから、50件
表示される仕様になっている。

このアドレスに、「/?all」をつけると、
  ・記事は、ゼロ件
  ・記事のタイトルは、すべて
表示される仕様になっている。

アドレスに「?all」をつけると言ってもぴんと来ない方がいるかもしれないが、
画面の(多分)一番上に、「http://laweditor.blog.fc2.com/」と表示されているはずなので、
その後ろに、「?all」とタイプして、エンターキーを押せばよい。

この説明でも分からなければ、以下の、青色で表示されている「全ての記事のタイトルを表示」部分をクリックすればよい。
全ての記事のタイトルを表示

全ての記事のタイトルを表示する方法を説明したのは、先日、以前の記事がどこにあるのか捜すのが難しいというコメントをいただいたからだ。

「?all」をつければいいという説明だけでなく、その付け方、さらに、それも分からなければ、ここをクリックすればいい、ということまで書いたのは、コンピュータのスキルは様々な人がいるからである。

自分にとっては、「これくらい誰でも分かるはずだ」と思っていても、必ずしも、そうとは限らない。

だから、分かっている人にはくどいと思われるかも知れないが、そこまで、かみ砕いて説明しているのだ。

もう、30年くらい前の話であるが、パソコン教室の講師をしていたとき、私が、「ではエンターを押して下さい」と言ったところ、「エンターキー」ではなく、「E」「N」「T」「E」「R」と、一文字ずつタイプをしている人がいた。

信じられないかも知れないが、「分からない人には分からない」のである。

だから、これでもかという位に分かりやすくしなければ、全ての人に理解してもらうことはできないのである。この例で言えば、「キーボードの右端にある『エンター』と書かれたキーを押して下さい」と言えばよかった、ということである。

今日も、「こんなことも分からない人がいるのか」という体験をした。

当事者尋問が終わって、次回期日が決まり、裁判長が、「では、終わりです」と閉廷を告げて立ち上がったときだった。私の隣にいた依頼者の方が、裁判長に向かって、「お話があるのですが、警察には話していただけるのでしょうか」と発言したのである。

私は、一体なんのことか理解できなかったが、裁判長は、「ここは裁判所ですから、警察がどうこうということは、弁護士さんと相談して下さい」と対応した。

その後、依頼者の方と話したのだが、裁判になるずっと以前に一人で交渉していたとき相手の社員に脅されるようなことを言われて、警察に相談したことがあったというのだ。そのとき、警察の人に、「裁判所に行ってくれ」みたいなことを言われたそうである。

そのため、依頼者の方は、「裁判所が警察を指揮する」と誤解したのである。これまで、そんな誤解をしている人に出会ったことはないし、そもそも、そんな誤解がありうるなどとは、想像さえしていなかったことである。

他人の知識の程度を第三者が的確に判断することは不可能であり、だからこそ、「分かりやすさ」について、どんなに考えても考え過ぎということはないと思うのである。

要するに、結論は・・・

 日弁連の理事会では、会議の都度、膨大な資料が理事に配布されるそうである。

 その資料の量たるや、大変なもので、積み上げると何十センチというのは当たり前だそうである。私には、とても、それだけの資料を読み込んで判断することはできないし、理事は務まらない。理事の皆さんの労力には本当に頭の下がる思いである。

 一会員が日弁連の理事会の資料を見る機会など、そうそうないのであるが、各弁護士会での対応が必要な案件については、弁護士会長を通じて、各弁護士会の関連する委員会の各委員に、当該資料がメーリングスト経由で配布されることがある。

 昨日、メーリングリストで配布された資料の1頁目に、次のように書かれてあった。

 日頃より,当連合会の活動に御理解をいただき,誠にありがとうございます。
 この度,当連合会に対して,「○○に関する検討会」(○年○月設置。○○省ホームページ参照。)で検討されている,「○○のためのガイドライン(案)」について,各弁護士会の相談窓口を記載することの協力依頼がありました。
 ○○省によると,本ガイドラインは,○○に供することを目的に,本年○月○日に開催される同検討会において,その内容が検討されるとのことです。
 また,本ガイドラインには,別紙lのとおり各種相談窓口に関する項目があり,別紙2のとおり全国の弁護士会(本会)の所在地,代表電話及びFAXが掲載される予定であることから,本ガイドラインの確定・公表後は,○○からの問い合わせが入る可能性がありますので,予め御連絡いたします。
 想定される相談内容としては,○○や,○○が考えられます。その場合は,これに対応する相談窓口にお繋ぎいただくなど,御対応をお願いいたします。


 要するに何を求めているのか、ということは、最後の2行に書かれているのであり、そこに至るまでは、読み手は、「で、要するに、なんなんだ」という気持ちで、苛々しながら資料に目を通すのである。

 みな弁護士なのだから、法律相談をする際に相談者が長々と前置きをして、「要するに何で困っているのか」「要するに何をしたいのか」が分からず、苛々しながら、忍耐強く話を聞く、という経験は、山ほどしているはずである。

 他方、相談者の中には、「夫の不倫相手に慰謝料請求したいんです」とか「父が亡くなって、私の相続分は、いくらになるんでしょうか」と、開口一番に目的を端的に話してくれる人もいて、自治体の法律相談などで、回りくどい話を延々と気かされた後に、そういった人にあたると、救われる気持ちになる。

 「結論を先に」というのは、何も法律相談に限ったことではなく、人に何かを依頼したり、報告したり、およそ、人がコミュニケーションをする場合には、重要なことである。

 だから、日弁連の理事会の資料であっても、たとえば、次のように、冒頭で、何を要請するのかを明示すべきである。

○○省が公表する○○ガイドラインに、○○からの相談窓口として、全国の弁護士会の連絡先が記載される予定ですので、相談への御対応を、お願いいたします。


 理事会で配布される資料が、全て、このように、冒頭に2行くらいで結論が書かれるようになれば、理事の皆さんの負担も軽減されると思うのだが、いかがだろう。

 ついでに、もう一つ指摘させてもらうと、「全国の弁護士会(本会)の所在地,代表電話及びFAX」というのは、「全国の弁護士会の連絡先」で十分である。要するに、何らかの方法で相談の依頼が入るので、よろしく、ということなのだから、それ以上に細かい情報は必要ない。

 たとえば、「筆記用具持参」と書けばいいところを、「鉛筆、シャープペンシル、万年筆、水性ボールペン、油性ボールペン、サインペン、筆ペン、マジックインキのいずれかを持参して下さい」と書かれていたら、「いい加減にしてくれ」と言いたくなるだろう。

「見込」は危ない

 公開の法廷で行われる口頭弁論に出頭する場合は、直接、法廷に入るのが、普通である。

 これに対して、準備室で行われる弁論準備手続の場合は、少し勝手が違い、京都地裁の場合は、次のようになっている。
 

① まず、各当事者ないし代理人は、担当部の書記官室に行く。

② 次に、カウンターの上の事件一覧表の自分の名前のところに、丸印をつける。

③ 丸印をつけたら、その足で、手続が行われる部屋に入る。

④ 書記官は、丸印が二つあるのを確認して、裁判官に、当事者が揃ったことを知らせる。

⑤ 裁判官は、書記官から当事者が揃ったことを聞いてから、手続が行われる部屋に入る。


 その結果、裁判官が部屋に入ると、すぐに手続を始めることができる、というわけである。

 今日、書記官室で、1時間後に行われる手続のための準備書面を提出した。すぐに事務所に戻ろうとしたところ、書記官から、「もう、丸印をつけられますか」と言われた。

 一瞬、「えっ」と思い、怪訝な顔をしていると、「今、つけて行かれたら、あとで、直接、部屋に入ってもらえますけど」と言う。

 確かに、1時間後に来たときは、書記官室に寄らなくてすむのだから、その分、楽であり、書記官は、そのように配慮してくれたわけである。

 だが、1時間の間に何があるか分からない。ひょっとしたら遅刻するかもしれない。私よりも早く相手方の代理人が時間通りに来て、丸をつけたら、書記官は、両者が揃ったと裁判官に告げて、裁判官は部屋に行くだろう。

 そのとき、私がいなかったら、裁判官は、とまどうに違いない。

 そんなことを、一瞬のうちに考え、書記官には、「また来たときに丸をします」と言って、その場を去った。

 何かを「する」予定で、何かを「した」という記録をしてしまうと、実際には、「しなかった」場合でも、「した」という記録が残り、混乱を生じる可能性がある。

 上の例は、「混乱」といっても、些細なことではある。だが、日本中の至る所で、こういった「見込」で何かを記録する、ということが行われているのだろう。そして、中には、とんでもない事故に繋がるものもあるのだろう。

 ほんの少しの「楽」を求めることの代償の大きさを考えれば、「見込」による記録は、絶対にしてはならないものだ。

コピーできるものは、コピーする

 

コピーできるものは、コピーする


 これは、タイプする手間を省く、というだけの意味を持つものではない。
 
 むしろ、人の名前など短いものについては、コピー&ペーストするためにキーボードから右手を離してマウスを操作するよりも、キーボードだけで済む文字入力の方が楽である。

 それでも、「コピーする」というところに意味があるのである。

 たとえば、「一朗」という名前を見て、自分でタイプすると、ありきたりの「一郎」と入力してしまいがちである。私も、相手方代理人からも、何度、名前の「朗」を「郎」と間違われたかは分からない。

 もちろん、気をつければいいのであるが、いくら気をつけても、人間の注意力には限界がある【一般システムエンジニアの刻苦勉励 人間の注意力には限りがあるのだから余計な注意喚起はしないほうがいい】。

 だから、間違わないように神経を集中させるように努力するのではなく、絶対に間違うことのないように、コピーをする方がいいのである。

 特に、人の名前や組織名などの固有名詞は、似たような名前に馴染みがあると、つい思い込みで入力してしまいがちであるから、コピーに徹した方がいい。

 人の名前を間違ったりすると、相手の気分を損ねたり、依頼者に不安な思いをさせてしまうことがある。私自身、弁護士になって間もない頃のこと、依頼者の氏名と相手方の氏名とが非常に似ていたことから、内容証明郵便で、依頼者の名前の漢字を間違ったことがあり、依頼者から、お叱りをうけたことがある。
 
 このときは、元の情報を電子データではなく、紙で受け取っていたため、コピペしようにも、できなかったのであるが、今なら、高性能のスキャナーと、高度なOCRソフト(文字認識ソフト)があるのだから、紙媒体のデータしかなくても、よほど読みにくい手書き文字でない限り、コピー&ペーストが可能なのである。

 コピー&ペーストの効用は、これだけに止まらない。

 メールなどでも、内容に、日時、場所などが含まれている場合、「了解しました」とともに、本人が、再度、日時、場所などを入力して返信してきたりすると、「これでよかったのかな?」と、不安になるのであるが、明らかにコピー&ペーストとしたものだと分かれば、その不安も生じないのである。

 たとえば、

 下記日時で、お願いします。 
 2月24日(水) 13:00

 というメールに対して、

 御依頼の件、2月24日ということで、了解しました。

 と返信するのではなく、

>  2月24日(水) 13:00
 上記、了解しました。

 と返信すれば、受け取った側も安心なのである。

 さらに言うと、日時だけで、独立した一行となっており、必要な情報が頭に入りやすいという点でも、優れているのである。


分かりにくさが第一

 本日は、いつもとは真逆に、「分かりにくさが第一」のためのテクニック集である。

【1】 文字を小さく 文字を小さく


 手元に生命保険の約款があるのだが、なんと400頁を超える圧巻である。常日頃、問題をかかえた当事者に契約をちゃんと読んだのかを尋ねている弁護士や裁判官でも、この約款の全部を読んだ上で契約をする者など皆無だろう。

 とはいえ、中には気になる部分もあるので、全く読まないわけでもない。

 ぱらぱら頁をめくっていると、小さな数字が並んだ表がある。表の題名は、「疾病入院特約の解約返戻金額例表」というものなのだが、文字の大きさが4ポイント程度で、普通には読めない大きさなのだ。まるで、「どうせ読まないんだから、これでいいだろう」と言われているようである。

【2】 文字の色を薄く 文字の色を薄く


 相談者から、商品や役務をクレジットで購入したときの契約書を見せてもらう機会がある。

 商品内容や支払金額などの契約の核心部分は署名捺印欄とともに書面の表に印刷されているが、契約条項の全文は、裏面にある。

 ところが、この契約条項は、文字の大きさは小さいとは言え8ポイント程度あるので、さほど問題ではないのだが、文字の色が、明るい黄緑色や淡い青色などで、とにかく読みにくいのである。

 しかたなく、コピーをして、文字を黒にしようと考えても、普通にコピーしたのでは、薄すぎて読みとれない。そこで、コピー機の設定を濃くすると、紙自体が薄いため、今度は表の文字までが重なってコピーされてしまい、とても読めたものではない。

 上記【1】【2】は、このブログの趣旨からすると、とんでもない手法なのだが、以下に述べる目的からすると、極めて合理的な手法と言える。

① 契約に際して、細部に目を通して、細々とした質問をして営業マンを困らせたりしないようにする。
② 契約締結の前に消費者に不利な条項を発見して契約を躊躇したりしないようにする。
③ あとで問題が起きたとき、消費者から相談を受けた弁護士が契約内容を把握するのを困難にする。


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  保険業法施行規則や割賦販売法施行規則 などでは、一定の書面について「●ポイント以上の大きさの文字及び数字を用いて明瞭かつ正確に記載しなければならない」といった条項がある。ただ、生命保険契約の約款については規制はなく、また、文字の色や濃さについての具体的な定めは、極く限られた重要事項について「赤」で記載することを求めている外には、存在しないようである【2016.2.13追記】。

正答率のマジック

 NHKの放送文化研究所から国語力に関する問題集が出ている。

 記述式の問題もあるが、多くは3択の問題である。そして、実際に出題された問題について、問題毎に正答率が、40%とか、50%とか出ている。

 その中で私が難しいと感じ実際に間違った問題の正答率が34%となっていて驚いたことがある。

 それなりに国語力には自信があったのだが、3人に1人ができる問題を解けなかったのかと、自信を喪失しかけた。

 だが、こんなに難しい問題を3人に1人が正答するなどとは、とても考えられなかった。

 では、この34%という数字は何だろうと考えていくうちに、全てが氷解した。

 仮に、100人のうち1人しか正しい答えが分からなかったとする。では、残りの99人は、間違いになるのかというと、そうではない。99人が当てずっぽうに答えたとしても、3択問題なのだから、確率的には、33人が正答になるはずである。

 結局、100人のうち、34人が正解となり、正答率は、34%ということになるのだ。

 正しい答えが分かる人の割合を x とすると、そうでない人は、 1-x いるわけだが、当てずっぽうでも、そのうちの3分の1が正答に達する。結局、x + ( 1 - x ) /3 が正答率となるのである。

 
正答率


 上の図、表を見れば分かるとおり、分かっている人が1%でも、正答率は34%になり、逆に、正答率が40%でも、分かっている人は、10%しかいない、ということになる。結局、正答率は、実態よりも、かなり水増しされた数字になるということである。

 だから、正答率34%の問題を間違ったからといって、自信を失うことはないのである。

 さらに、上記の計算では、答えが分からない人は、「当てずっぽうで答える」と言ったが、この仮定も必ずしも正しいとは言い切れない。

 3択問題の場合、1つの選択肢は明らかに間違いということで、実質的には、2択になるような問題も存在する。

 仮に誰も正しい答えを知らない超難問でも、実質2択であれば、正答率は、50%ということになる。

 たとえば、こんな問題は、どうか。

原子番号116の元素の名前を答えなさい。
 ①フロベリウム
 ②リバモリウム
 ③ウチノオウムガタマゴヲウム


 ③が誤答であるのは明らかであり、結局、①か②の2択ということになって、正答率は、50%となるだろう。

 この結果、日本人の半数が、こんな大きな原子番号の元素の名前を知っているのだとして、日本は科学知識の進んだ国だという結論を導いたとしたら、とんでもない勘違いということになる。

賽の河原の石積み

 1年前のブログで、こんなことを書いた。

 1枚の用紙の上が案内文、下が回答欄になっている書面で、回答欄の上に切り取り線のような線を入れるのはやめるべきであり、実際、私の提案で弁護士会の研修会の案内の書面の記載が改められたということを紹介した【切り取らないのに、「切取線」】。

 ところが、先日、1年前と同じような内容の研修会の案内文が届いたのだが、それが、以前のように「切取線」らしきものが入っていたのである。元の木阿弥である。

 こんな例もある。

 弁護士のメーリングリストで、違法金利を取っていたサラ金に対する過払金返還請求権の譲渡を受けたり、譲渡をしたりすることを希望する投稿が多いのだが、その多くが「譲渡希望」などという「件名」で、それでは、債権を譲渡したいのか、譲渡してほしいのか、どちらか分からないから、たとえば、「売ります」「買います」のような表現にすべきだという提案をしたことがある【メールの件名は、「一読了解」が不可欠】。

 ところが、未だに、「譲渡希望」と言った、どっちか分からないメールが結構あるのである。

 こんなことを経験していると、私が、こうして、ブログを書き、メーリングリストなどでも発信している行為が、なんだか、賽の河原の石積みのように思えてくるのである。

 そうは言っても、他方で、私の提案を真剣に受け止めてくれる人も相当数いるので、私の提案も決して無駄ではなかったと思えるのである。

 自分の提案が100パーセント、すぐに受け入れられるなら、こんなに嬉しいことはないが、世の中、そうは甘くない。事の大小を問わず、旧来の陋習を打ち破ろうとした先駆者たちは、みな血の滲むような努力をして、自らの見解を広めて行ったのだろう。

 私も、まだまだ、粘り強く発信し続ける覚悟でいるが、私のブログの記事に賛同できるものがあった場合は、読者の皆さんも、自身のブログや、フェイスブック、メーリングリストなどで、紹介をしてほしい。

 世の中の全ての人が、私がブログに書いたようなことに気をつけて情報発信をするようになれば、不完全な情報授受による、トラブル、ストレスは、劇的に減少するに違いないのだから。

大震災と言えば・・・

 今朝の天声人語に、アメリカ大統領選挙の予備選の話題が出ていた【天声人語 2016.2.2】。

 民主、共和両党の党員集会は、例年、アイオワ州から始まるとのことだった。

 なぜ、アイオワか、と考えながら、「そうか、五十音の『ア』で,一番最初になるのか」と思った瞬間、「それはない」と考えを改めた。

 日本の選挙ではないのである。アイオワは、「Iowa」であり、アルファベット順なら、だいぶ後ろの方になるはずだ。

 こんな思い違いをしてしまったというのも、ついつい、自分が日常慣れ親しんだ世界で考えてしまうからだ。アメリカの話題であれば、全てをアメリカ人の立場になって考えなければ、思わぬ考え違いをしてしまうということである。

 話は変わるが、先日、東京の依頼者の方と電話で話をして、「大震災の年に・・・」というのを聞いて、すぐに、20年前の阪神大震災を思い浮かべてしまった。

 けれども、東京の人が「大震災」と言えば、当然、東日本大震災のことである。関西だと、阪神大震災を指すのが当然だろうが、全国的には、決して、そうではないのである。

 私の子どもの頃、「この間の戦争」といえば、太平洋戦争のことだった。ときおり漫才などで使われていたネタだが、お爺さんと話していたら、どうも話が噛み合わず、よく聞いていみると、そのお爺さんは、日露戦争のことを「この間の戦争」と言っていたという話がある。

 また、真偽のほどは分からないが、京都の人が、「この間の戦争」と言えば、応仁の乱のことだ、などという話を聞いたこともある。同じ京都でも、伏見の方に行けば、戊辰戦争(鳥羽・伏見の戦い)を指す、等という話を聞いたこともある。

 「大震災」にせよ「戦争」にせよ、自分や、その周囲の人にとってみれば、具体的な何を指すのか明確であっても、地域、世代によっては、全く異なるものを指しているのであり、常に、話し相手の属性(年齢、居住地域、性別、職業、等)を踏まえて、同じ言葉が、その相手にとっては、どのような意味で使われているのかということに注意を払わなければならないと言うことである。

 そのとき、そのときに注意を払うことも必要だが、日頃から、固有名詞の代用として普通名詞が使われる場合、それが、どのような属性の人によって使われるのか、ということを徹底して考えておくというのも有益だろう。日頃から、そういったことを徹底しておけば、自ずと、相手の属性に即して、言葉の意味を考えることができるようになるはずだ。
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「時間泥棒」仕置人

Author:「時間泥棒」仕置人
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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