メールの件名は「一読了解」が不可欠

 私は、メーリングリストを多数、利用しているが、よくあるのが、下記のような件名のメールだ。

    お世話になります
    先日の件
    お尋ねします


 こんな無内容な件名など、全く、意味がない。

 次のような件名のメールも、よく見かける。

    京都ビルの名義変更手続
    弁護士会窓口についての質問
    シュレッダー引き取りの件


 冒頭の例と比べると、ずっと、ましである。でも、これでも不十分だ。

 では、これなら、どうであろうか。

    京都ビルの名義変更手続の日程調整
    弁護士会の年末年始の窓口業務?
    シュレッダー、いりませんか?


 何を主題としているのか、一目瞭然である。とくに、2番目など、本文さえ不要なくらいである。

 毎日、波のように押し寄せるメールの全部に目を通しているほど時間はない。件名で主題が明瞭に示されていれば、自分にとっての必要性が判断でき、優先度の高いものから本文に目を通し、処理をして行くことが可能となる。

 件名が具体的であることによる効用は、メール受信時の処理が効率化されることに止まらない。

 後日、気になって、メールの情報を探す場合にも、件名が具体的であれば、目で捜すことも、また、「検索」で捜すことも、容易である。件名が「お世話になります」や「先日の件」では、到底、こうはいかない。一々、本文に目を通すか、本文まで含めて検索にかけなければならない。件名の検索なら一瞬で終わるが、本文まで検索するとなると、10数秒かかることもある。

 ときに、こんなのもある。

    ○○ファイナンスに対する債権の譲渡希望


 書いた本人は、十分に具体的に書いたつもりで、分かってもらえると思っているのだろうが、読んだ側は、「投稿者が自ら譲渡することを希望している」のか「誰かに譲渡してもらうことを希望している」のか、判然としない。

 端的に、「譲渡します」「譲渡して下さい」「売ります」「買います」とした方が、ずっと分かりやすい(「売ります」「買います」の方が、「売」「買」という表意文字が目に飛び込んで来て、より直感的に理解できるので、より優れている)。

 ついでに、細かいことを言うが、具体的内容を書いて、その後に、「について」とか「の件」などと付け加えたものも、よく目にするが、これなども、無意味な情報を付け加えるだけであり、不要である。

 メールに「件名」を付ける目的は、メールの受信者が一瞬にしてメールの主題を理解し、本文を読むべきか否か、読むとして、他のメールを後回しにしてでも読むべきか否か、その判断を下せるようにすることであり、この目的と無縁の情報は、できる限り削ぎ落とすべきである。

欺瞞とご都合主義に満ちた特定秘密保護法への批判

欺瞞とご都合主義に満ちた特定秘密保護法への批判
                                             【産経ニュース 2013.12.8


上記の記事見出しは、文法上は、下記のいずれとも解される。

A.「欺瞞とご都合主義に満ちた特定秘密保護法」への批判
B.欺瞞とご都合主義に満ちた「特定秘密保護法への批判

 常識的に考えれば、A.であろうし、一般の新聞記事の見出しであれば、A.であるのは当然である。

 ところが、これを掲載しているのが、産経新聞となれば、話は違う。産経新聞であればこそ、A.ではなく、B.だろう、という推測も成り立つ。実際、記事の内容を読んでみれば、B.であったことが分かるのである。

 文章を読む際には、我々は、文法的な関係のみで理解するのではない。文法的な関係に加えて、文脈も踏まえて理解する。従って、文法的には多義的であっても、文脈から一義的に理解できる場合も多々存在する。ただし、「記事見出し」については、先行する文章が存在しないのであるから、頼りにする「文脈」自体が存在しない。

 とすれば、文法的な関係でのみ理解せざるを得ないことになるが、ここで登場するのが、記事の発信主体が誰か、という情報である。

 先行する文章が存在しなくとも、誰が記事の発信主体かという情報があれば、ある程度は、文章の内容の予測がつくのである。本件について言えば、主体が「産経」であるという情報である。同紙が、一般紙と異なり、極端に政権よりの姿勢であることは周知の事実である。そして、その姿勢を前提にすれば、文法的には、A.ともB.ともとれる記事見出しも、B.だろう、と推測できるのである。

 そうは言っても、文法的にも一義的に明確である方が読み手に優しい文章であることは確かである。

期限内に提出されたものが26通で割合にして29パーセント,期限の翌日から期日の前々日・・・

 裁判所と弁護士会は、裁判手続の進め方について定期的に協議をしている。

 先日、その協議のときの書面が届いたのだが、弁護士が書面の提出期限を守っていないという実情を数値で示したものだった。以下の文章の赤枠の部分に注意して読んでほしい。

letter.jpg

 一連の文章の中に埋め込まれた数値の意味を理解するのは、大変な労力を要するものである。
 
 では、次の表なら、どうだろうか。


 分かりやすさ、訴求力、記憶に残りやすさ、どちらが優れているか、言うまでもない。

 ただ、表やグラフの作成には手間を要し、時間がかかる。反面、表やグラフにすれば、その結果として、何百人という読み手の労力が節約される。節約される労力の総和と比較すれば、表やグラフを作成するための労力など微々たるものである。社会全体の情報伝達コストを考えれば、情報の発信者側が多少の労力を厭わず、分かりやすさを第一として、情報の発信方法を工夫すべきである。
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「時間泥棒」仕置人

Author:「時間泥棒」仕置人
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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