都道府県の比較は、こうする

弁護士ドットコム37号(2018.10.1)27頁に掲載された都道府県別の法律事務所のホームページ所持率を表した図表だ。
ホームページ-1


 とにかく、分かりにくい。問題点を列挙する。

● 色分けした細長い二等辺三角形の楔形の長さで所持率を表現してるが、

  ・ どの楔が、どの県に対応しているのかを識別しにくい。
  ・ 楔の根元の高さが様々なので、楔の長短を比較しにくい。
  ・ 楔の色分けに統一感がなく、所持率の高低と色の対応関係が直感的に分かりにくい。
  ・ 黄色の楔は背景に溶け込み、見つけにくい(特に、栃木)。

● 特定の県(50%以上の全県、40%台の東京、10%台の山梨)は、地図に所持率を記載し、他の県は、表に記載しているが、

  ・どの県が地図上にあるのか表にあるのか、すぐには分からない。
  ・地図上の県名がローマ字になっており、ぱっと見には分からない。

 そこで、この図表を大幅に手直ししてみた。

ホームページ-4

 変更点は、下記のとおりである。

● 楔の使用をやめて、都道府県の色分けにより、所持率の違いを表現した。

● 色分けに使う色は、所持率の高い県を濃い青とし、一番低い白まで、同系色の5段階とした。

● 凡例の並びについて、所持率の高いものを上にした。

● 各県の所持率は、全ての県について、左上の一つの表にまとめた。

● 都道府県名については、末尾の文字の都、府、県を省略した(道は省略していない)。

● 都道府県名の順番は、一般に使用されているJISコードの順にした。

● 所持率が50%以上の県については、県名の前に青色の印 を付けた。
  東京、山梨も、元の図表では、50%以上の県と同じく地図に記されていたが、特に印は付けていない。


施設の説明は、こうする

 名古屋市科学館の施設の説明の一部だ【名古屋市科学館 施設概要】。

名古屋科学館-1

 これを見ても、施設の概要は、なかなかイメージできない。

 そこで、改善案を作ってみた。

名古屋科学館-2


 ● 上層階を上に、地階を下に
     説明図上での配置と現実世界での配置を一致すべきことは、以前にも書いた。
        【前列右から・・・
        【市ヶ谷キャンパス・・・

 ● データバーの使用
     数値の大小を図形(データバー)の大小として表現すれば直感的に理解できる。
        【「データバー」の活用

米南部や中部にまたがる米国でも信仰心があつい住民の多い地域 バイブルベルト

 【(トランプの時代 2018中間選挙)「神の国」復興、トランプ氏に託す 支持する理由、福音派は 朝日 2018.10.14】という記事があり、トランプの支持者の多い「バイブルベルト」という地域の解説が載っていた。

バイブルベルト

 下の二行が少し見にくいが、書き出すと、こうなる。

  米南部や中部にまたがる米国でも信仰心があつい住民の多い地域。
    福音派などキリスト教保守派が社会や政治に強い影響力を持つ


 冒頭の「米南部」というのは、後ろに「米国」と出てくるのだから、単に「南部」でいいはずだ。

 また、「南部や中部にまたがる」というのは、直後の「米国」ではなく、もっと後ろの「地域」を修飾しているのだから、「米国」を修飾していると誤読されないよう、「、」を入れるべきである。このように、直後ではなく、離れた場所にある文節を修飾する場合に読点を用いるべきであることは、以前の記事【東京地裁で・・・】にも書いたとおりである。

 更に、なお、「信仰心があつい」というのは「信仰心が篤い」と書けは゛いいのにと思ったのだが、常用漢字表には「篤」について、「トク」の読みはあるが、「あつ(い)」の読みはなかった【文化庁 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)】。

 けれども、常用漢字表は「現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安」に過ぎない。

 実際、同じ記事の中には「トランプ氏自身は敬虔(けいけん)ではない」という表現があり、そこでは常用漢字表に載っていない「虔」を使用しており、常用漢字表を「逸脱」しているのである。

 他方、[篤」は、漢字自体は常用漢字表に載っており、「あつ(い)」という読みが載っていないに過ぎないのだから、「虔」を用いるより、「逸脱の程度」は低いと言える。

 なお、常用漢字については、以前の記事【検察官・・・】でも触れている。また、ある漢字が常用漢字か否かを調べるには、【常用漢字チェッカー】という便利なサイトがある。

 結局、こう書くべきことになる。

南部や中部にまたがる、米国でも信仰心が篤い住民の多い地域



--- 追記 ---------------------------------------------------------------------
 上の文章の中に「書けは゛いいのに」という記載があるが、何か間延びした感じがしないだろうか。

 書いたときは気づかなかったのだが、見返してみて、何か変な感じがした。よく見ると、「ば」が「は」+「゛」の2文字になっていたのだ。ローマ字入力をしているので、こういったことは起こりようがないと思うのだが、現実に起きた以上、何か原因があるはずである。
 

地図の描き方

 最高裁判所のウェブサイトに司法研修所の地図が載っている【最高裁判所 司法研修所について】。

研修所-1


 ぱっと見て、目的の司法研修所が地図の上のどこにあるのか、すぐには分からない。

 なぜ分かりにくいかというと、青緑、薄緑、黄色と目を引く色が、あちこちに使われているからだ。加えて、司法研修所の文字の背景は明度の低い臙脂色であり、文字の黒とのコントラストが弱いことも分かりにくい原因だ。

 また、施設を表す図形を立体化して影を付けている点も、目障りだ。しかも、駅を表す青緑の図形、研修所を表す臙脂色の図形、それ以外の灰色の図形、それぞれで影の付け方が不統一であり、ばらばらな感じがする。

 そこで、そういった点に配慮して作り直したのが、下の地図だ。

研修所-2


 違いを見比べることができるように、すこし小さくなるが、横に並べてみた。

研修所-1 研修所-2


--- 追記 2018.10.12 ---------------------------------------------------------------------

 上に書いた地図は、エクセルで描いたものだ。

 とりあえず描くだけで、約1時間、その後、何度も眺めて微修正を繰り返すのに、約2時間といったところだ。

 嫌いな作業なら苦痛だろうが、私にとっては、全く苦にならない。

 たとえば、ジグソーパズルなど、全く生産性はないのに、趣味でやる人は結構いる。私が地図を描くのも、そんなものかも知れない。どうすれば分かりやすい地図ができるか考える課程を楽しめるのだ。

 もし、読者の中で、自身のホームページなどに掲載する地図がうまく作れないという人がいれば、遠慮なく、依頼してほしい。私にとっては、新しいプラモデルセットをもらったようなものだ。よろこんで、依頼に応えることができる。もちろん、無償だ。

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100万平方キロメートルの巨大な実験都市

 トヨタとソフトバンクが車の自動運転で提携するとのニュースが流れたが【東洋経済 「トヨタ×ソフトバンク」誕生の大きな意味】、中国では自動運転の実用化に向けて、上海近郊に実験都市を作って、実験を繰り返しているという。

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)では、その実験都市「自動運転シティ」について次のようなボードで解説していた。

 
山手線内側


 よく、面積を表すのに、○○平方キローメートルと言われてもピンと来ないため、「東京ドーム○個分」などと説明されることがあるが、ここでも、そのような説明がなされていた。

約100万平方キロメートル
(山手線内側の1.5倍)


 山手線の内側が、何平方キロメートルか知らないが、100万平方キロメートルと言えば、日本の面積37万平方キロメートルの3倍弱である。明らかに誤りとしか考えられない。

 調べてみると、山手線の内側は、63平方キロメートルであり【Wikipedia 面積の比較】、自動運転シティの面積は「100万」ではなく、「100」平方キロメートルだということが分かった。

 日本の面積が37万平方キロメートルというのは、小学生レベルの知識であり、スタジオのアナウンサー、コメンテーターも知らないはずはない。

 けれども、誰一人、この「100万平方キロメートル」の異様さに気づかないのだ。
 
 仮に、日本の面積を知らなくても、「100万平方キロメートル」といえば、縦横1000キロメートル四方であり、本州がすっぽり収まるほどの広さであることは分かるはずである。

 こんなことは、東京大阪間が約500キロメートルだという知識があれば、すぐに計算して分かるはずである。

 結局、彼らは、知識があっても、その知識に即して情報を自ら吟味することなく、そのまま受け入れているのだということを、鮮明に示している。

 先日の【1m×1m×2cmは、何リットル?】といい、【マグネシウムは、41ミリグラム】といい【何が起きても納得できる人】といい、マスコミの検証能力には眼を覆いたくなる。


霧の中

 東京電力は福島第一原発の敷地に流れ込む地下水が事故を起こした原発に汚染されることなく海へと排出されるよう、地下水バイパスを設けているそうなのだが、その説明図の一部が、これである【東京電量ホールディングス 地下水パイパスの概要】。

東電-地下水


 見た瞬間、コンタクトレンズが曇っているのかと思った。いや、さっきまで、ちゃんと見えていたのだから、そんなはずはない。では、私の眼に何か異常が発生したのか。思わず、モニターから眼を離して周囲を見渡したが、部屋の中は鮮明に見えている。

 原因は、こちら側にはない。どうやら、福島原発周辺に濃い霧が立ち込めているらしい。

 「分かりにくさが第一」のためのテクニックについては、以前の記事【分かりにくさが第一】に書いた。


宿泊施設なのに”泊まり放題”?

 こんな見出しの記事を見た。

宿泊施設なのに”泊まり放題”


 「なのに」というのは、「逆接」の言葉である。

 たとえば、「飲食施設なのに泊まり邦題」とか「競技場なのに泊まり邦題」とか、本来、宿泊を予定していない施設であれば、「・・・なのに泊まり放題」という表現も納得できる。だが、宿泊施設に泊まれるのは当たり前ではないか。

 では、筆者は、なぜ、ここで「なのに」という「逆接」の言葉を用いたのだろうか。

 記事を読んでいくと、「日曜日から木曜日に泊まり放題」のパスを販売したとある。

 USJや、ディズニーランドといったテーマパークが、年間パスポートを発行していることは、よく知られているが、ホテルや旅館では、これまで、そのような仕組みはなかった。

 筆者は、宿泊施設で泊まり「放題」というのはなかったところに、泊まり「放題」という仕組みが導入されたということで、「逆接」の「なのに」を用いたのである。

 筆者にとっては、年間パスの発行はホテル業界では画期的であるが故に、「なのに」としたかったのである。

 けれども、一般の読者から見ると、「泊まり放題」と書かれても、「放題」に着目するよりも、「泊まり」に目が行く。そうすると、宿泊施設に泊まれるのは当然ではないかと思えるので、なぜ、「なのに」か、不思議に感じるのである。

 冒頭に引用したのは、【民泊大学】というサイトの記事である。



オーケストラは理系のサークル活動?

 ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏が学生時代に京大オーケストラでフルートを演奏していたことが話題となっているが、これに関連して、指揮者の篠崎靖男氏が、こんな一文を書いている【Business Journal オーケストラは理系出身者が多い?】。

 今回、本庶氏のノーベル賞受賞の報に接して、3年前に同楽団の指揮をした際のプログラムを引っ張り出してきてメンバー表を見てみると、驚くことに気付きました。なんと、100名くらいいるメンバーの3分の2が、理系なんです。そのなかで医・薬学部は10名くらいいます。特になぜか管楽器パートは理系の占める割合が高く、楽器によってはほぼ理系で占められています。オーケストラは理系のサークル活動と言えることは確かです。 


 篠崎氏が自ら指揮をしたことのある京大オーケストラのメンバー表を根拠に、「オーケストラは理系のサークル活動」という結論を述べているのだが、何とも牽強付会な理論である。どこが変なのか、根拠としてあげられている個々の事実を順に見て行こう。

【1】 100名くらいいるメンバーの3分の2が、理系

 そもそも、京大の学部学生の中で理系の割合が、どれくらいなのかを示さなければ、意味がない。

 仮に、学生の9割が理系だったとしたら、1割の文系の学生が、オーケストラの3分の1を占めているのだから、むしろ、「オーケストラは文系のサークル活動」ということになるだろう。

 実際に京大のウェブサイト【データで見る京都大学 学部学生数】で調べてみると、こうなっていた。なお、「メンバーの3分の2が、理系」というのは、「3年前」のメンバー表が根拠となっているので、学生数は、2015年度の数字である。

理系-2

 真ん中あたりの「総合人間」学部は、文系と理系とに分かれるのだが、統計表には各区分の人数が載っていなかったので、理系には入れていない。

 このように少なめに見ても、理系が、65.9%、概ね3分の2である。

 学生数に占める理系の割合も、オーケストラメンバーに占める理系の割合も、ともに3分の2なのだから、オーケストラは、理系文系、いずれか一方に親和的なサークルとは言えない。

【2】 医・薬学部は10名くらい

 医・薬学部の学生は、以下のとおり、全体の12.9%である。 

医薬系


 これに対して、オーケストラ100人中10人くらいが医・薬学部と言うのである。学生全体に占める医・薬学部生の割合より、若干、少ないのであり、どちらかと言えば、オーケストラは、医・薬学部生には「非親和的」という、筆者の主張と反対の結論が導かれる。

【3】 管楽器パートは理系の占める割合が高い

 管楽器パートは理系の占める割合が高いというのなら、当然のことながら、その反面、打楽器、弦楽器など他のパートでの理系の占める割合が低くなっているはずである。管楽器パートの話だけで、オーケストラは理系サークルというのは、とんでもない飛躍である。

【4】 楽器によってはほぼ理系で占められている

 特定の楽器の担当が全員理系だとしても、オーケストラは理系サークルという結論が出るはずもない。

---- 追記 2018.10.8 --------------------------------------------------------------------

 そもそも、篠崎氏の主張の前提となったのは、京大オーケストラのメンバー表である。

 仮に、京大オーケストラについて「理系のサークル活動」という結論が導かれたとしても、全国の大学のオーケストラ一般が「理系のサークル活動」と言える訳ではない。

---- 追記 2018.10.9 --------------------------------------------------------------------

 仮に筆者が一橋大学(商、経済、法、社会の文系学部のみ)のオーケストラのメンバー表を見たら、全員が文系であり、「オーケストラは文系のサークル活動」ということになるのだろうか。

 

日本列島の色分けは、こうする!

 日弁連のサイトでは、全国の弁護士会の相談センターの案内があり、そのトップ頁に日本地図があり、そこから地域を選べるようになっている【全国の日本弁護士連合会 弁護士会の法律相談センター】。
 
日弁連-地図

 これを見て、少し嬉しくなった。

 というのも、寒冷な地域から温暖な地域へと、寒色から暖色へと順に並んでおり、以前に私が書いた記事【色使いは、こうする】の内容を、実践しているからである。

 しかも、私が前の記事で書いたのと比べると、色相の幅が狭く、ずっと落ち着いた感じになっている。色相の幅は各サイト全体の雰囲気に適合するか否かの問題もあるので、どの幅が最善とは言えないが、これは、これで丁度よい幅になっている。

 私の個人的な感覚としては、西日本は、黄色、橙色などを使った方が、よりしっくり来るのだが、このあたりに来ると、「趣味の問題」であり、こうすべきだと、と言えるものではない。

 ただ、色使いとは別に、少し気になることがある。

 北方四島が記載されているのに、多数の日本国民が居住し、裁判所の支部もある、伊豆諸島、淡路島、隠岐の島、壱岐、対馬、五島列島、薩南諸島が抜け落ちている点だ。

 作成者は、おそらく、両端の北方四島と沖縄を入れなければ、という意識が強く、そこにのみ気をとられていたため、上記の島々を落としてしまったのだろう。

 それにしても、淡路島が抜けているのは理解しがたい。というのも、他の島々は、紙幅の都合上、落としてしまった、ということも考えられないではないのだが、淡路島に関する限り、そんなことは考えられないからである。
 
 





関電高浜原発の油漏れ事故の真相?

 8月19日の関電高浜原発の油漏れ事故についての虚偽報道に関して、8月26日に、【1m×1m×2cmは、何リットル?】という記事を書いた。その続報である。

 未読の方は、まず、この【1m×1m×2cmは、何リットル?】を読まれた上で、以下を読んでほしい。

 その後、上記の記事が守田敏也氏のブログ【明日に向けて(1580)高浜4号機が8月故障の発表の間違いを放置したまま再稼働!杜撰な再稼働にジャーナリストはもっと真剣に目を光らせるべきだ!】で紹介されたのだが、その記事の中で、8月30日付の関電の発表【高浜発電所4号機の原子炉起動予定および調整運転の開始予定について 2018.8.30】の中にある【図-4 タービン動補助給水ポンプの運動場の制限の逸脱】が紹介されていた。

 その図の中の油漏れの状況に関する説明部分を示す。

高浜-発表

 私が書いた記事は、【関西電力からのお知らせ 2018.8.19】を前提としたものなのだが、8月30日の関電の発表は、19日の発表とは微妙に異なっている。油の量に関する記述を抜き出すと、こうなる。

8.19  約1m×約1m×約2cmの油(約2リットル)
8.30  約2リットル(約1m×約1m×約2cm(最深部))


 19日の発表と異なり、30日の発表では、「最深部」という限定が付されている。
 
 仮に、約2cmというのが、「最深部」に限定した数字だとしたら、総量で「約2リットル」というのも、虚偽とは断定できなくなる。

 たとえば、約1m×約1mに広がった油の大部分が厚さ1mmで、一部だけ2cmだったとすれば、総量で「約2リットル」ということもあるのだ。下記の図は、現場を模式的に平面図にしたものだが、この図を見て、じっくり考えてほしい。
高浜-検討

 こうしてみると、関電が意図的に虚偽の発表を行ったわけではないような気もする。

 真相は、次のいずれかだろう。

 【1】 実際の油漏れは、約2リットルだった場合
    19日の発表では、ミスで「最深部」の記載が漏れていた。
    30日の発表では、正しく「最深部」と記載された。

 【2】 実際の油漏れは、約20リットルだった場合
    19日の発表では、計算ミスが原因で、あるいは、意図的に、約2リットルと発表した。
    30日の発表では、辻褄合わせのため、「最深部」という虚偽の限定を加えた。   
 
 いずれにせよ、19日の発表に誤りがあったのは明らかであり、関電は、事実関係を説明すべきである。

 なお、NHKや福井新聞などの報道機関は、「約1m×約1m×約2cm」という計算式は記事には記載せず、「約2リットル」という結論だけを記載していた。そうすると、仮に【1】だとすると、報道機関は、30日の関電の発表の前に、「約2cm」が「最深部」という情報を掴んでいて、「約2リットル」でも誤りではない、と判断していたのかもしれない。

 そうだとすると、私の前回の記事の指摘「検証不足」は、適切な指摘ではなかった、ということになる。

 けれども、それなら、なぜ、報道機関は、関電の発表前に「最深部」という情報を掴んでいたのかが謎であるし、19日の関電の発表の段階で「最深部」という限定が抜けていることを関電に対して指摘しなかったのはなぜか、という疑問が生じることになる。

○○みたいに▲▲しない

 癌の免疫療法薬オプジーボの開発につながる研究で本庶佑氏がノーベル医学生理学賞を受賞することになったが、高須クリニックの高須克弥院長が、自身が“全身がん”であることを公表し、次のように発言したとのことだ【スポーツ報知 2018.10.2 “全身がん”公表の高須院長、ノーベル賞・本庶氏開発の新薬は「選択肢の一つ」も副作用を指摘】。

 「僕は樹木希林さんみたいに放射線治療は選択してないけど癌はタイプにより治療法を選択するのが賢いんだぜ」


 「樹木希林さんみたいに放射線治療は選択してない」の部分が、分かりにくい。

 樹木希林は、放射線治療は選択したのか、していないのか。

 「○○みたいに▲▲でない」 「○○のように▲▲でない」 といった表現は、○○が▲▲なのか否か、分からない。

 冒頭の例は、次のように書けば、どちらの意味か明確になる。

   樹木希林さんと違って放射線治療は選択してない

   樹木希林さんと同じで放射線治療は選択してない

「共同で授与することが決まりました」

 今年のノーベル医学生理学賞が本庶氏と米国の研究者に授与されることが発表された。

 今朝のテレビでは、こう画面に出ていた。

ノーベル医学生理学賞をジェームス・アリソン氏と本庶佑氏に共同で授与することが決まりました


ノーベル賞

 授与したのは、ノーベル財団だから、「共同で授与する」ではなく、「単独で授与する」ではないのか?

 おそらく、ノーベル財団の発表を、翻訳したのだろう。

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has today decided to award the 2018 Nobel Prize in Physiology or Medicine jointly to James P. Allison and Tasuku Honjo


 つまり、「jointly」は「to」を修飾しているのに、「award」を修飾するように訳してしまった「誤訳」ということだ。

「共同で授与」というと、授与の主体が複数だということになってしまう。授与の相手方が複数の場合に使うべき言葉ではない。ここは、「共同で」ではなく、「両者に」とすべきだろう。どうしても「共同で」にしたければ、「授与される」と受け身にすべきだろう。

 A、B → C  AとBが共同でCに授与する

 A → B、C  AがBとCの両者に授与する
 A → B、C  AによってBとCが共同で授与される

 と書いたものの、「共同で」というのは、主体的な行為について言われるのが普通であって、受動的な場合に使うのは不自然な感じがする。




グラデーションは、こうする

 今朝のテレビ【羽鳥慎一モーニングショー】の台風予報で、こんな図が出ていた。

雨風-1


 風雨の強さを、色のグラデーションで示しているのだが、どうも、しっくり来ない。

 風の方は、両極が水色と赤紫で、左から右までの色の変化が激しすぎ、落ち着かない。

 雨の方は、8mmを境に青と黄色で、色の違いが大き過ぎて、右の色になるほど、少しずつ、雨量が大きくなっているということが読み取りにくい。

 こんなときは、下記のようにすれば、よい。

雨風-2


 まず、色の三原色を全部使うのではなく、赤と青の二つだけにしたので、落ち着いた感じがする。

 次に、隣り合った色同士の色相の隔たりが大きくないので、少しずつ、風雨が強くなっていることが理解しやすくなっている。

 色のグラデーションについては、以前の記事にも書いたことがある。

 【色使いは、こうする
 【赤い州、青い州
 【グラデーションのフェイント

数字の効用

 裁判文書で項目に番号をつける場合、次のようにつけるのが正しいとされている【裁判文書(裁判所提出書類)の標準的な書式,表記法】。
 

 第1,第2,・・
  1,2,・・
    (1),(2),・・
     ア,イ,・・
      (ア),(イ),・・
       a,b,・・
        (a),(b),・・


 普段は、(1),(2),・・までで十分だが、たまに、下の階層も使いたくなることがある。

 その場合、私は、 (ア),(イ),・・を使わず、①②・・を使っている。

 上の3階層は数字なのに、途中でカタカナというのに違和感を感じるのと、カタカナだと、たとえば、キとかケを単独で目にした場合、どちらが先か一瞬、迷うからである。

 ときおり、文書によっては、い、ろ、は・・を使っている場合もあるが、「へ」と「ち」のどちらが先かというのは、頭から「いろはにほへと・・・」と思い出さないと駄目である。

 アルファベットでも、「K」と「H」の前後関係なども、「HIJK」と順に思い起こさないと分からないが、「ABC」から始める必要はないし、Fくらいまでだったら、順番は、すぐに分かる。

 他方、数字は、二桁までなら、その前後関係は一瞬にして理解できる。

 そういうわけで、裁判所に出す文書も、常に数字で通している。

個人、会社、2通必要です

 先日、委任状を作成して依頼者の方に送った。

 「送った」といっても、メールに添付したのだが、メールの本文に、次のように書いた。

添付の委任状に記名捺印の上、お届け下さい。

・個人、会社、2通必要です。


 個人としての依頼者の方と、その方が代表取締役を務める会社が、ともに裁判の当事者となるため、個人としての委任状と会社としての委任状の計2通の委任状が必要なのである。

 しばらくして、こんなメールが返ってきた。

 2通というのは、それぞれ、2通いるということですか?


 尋ねられてみれば、そんな疑問を抱かれても仕方ない。

 こう書けばよかったのだ。
 

添付の委任状に記名捺印の上、お届け下さい。

・個人、会社、各1通、必要です。


 要するに、単に「2通」と書いた場合、次のいずれとも解されるので、そのことを明示しなければ、受け取った側が迷う場合があるということである。
  ・ 各2通
  ・ 合計2通 


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「時間泥棒」仕置人

Author:「時間泥棒」仕置人
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 弁護士として、どうすれば、効率よく、的確に、情報を取得・提供できるか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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