切手の枚数は、こう説明する

 先ほど、大津家裁の家事受付係に電話して、申立に必要な郵便切手の種類と枚数を尋ねた。そのときの回答が、これだ。

全部で725円で、内訳は、それぞれ5枚ずつなんですが、82円、50円、10円、2円、1円です。


 大変分かりやすい。
 
 それが、実際よくあるのだが、こんなふうに言われたら、どうだろう。

82円切手が5枚で、50円切手が5枚で、10円切手が5枚で、2円切手が5枚で、1円切手が5枚です。


 ●  「切手」について尋ねているのだから、「切手」という言葉を5回も繰り返す必要はない。

 ● 全部、同じ枚数なのだから、最初に、そのことを言えば足りる。

 本件と同じ話題は、以前の記事【5円が5枚、100円が5枚・・・】にも書いた。

 さらに、冒頭の回答は、最初に総額まで言ってくれている。

 別に総額を言われなくても、個々の切手の枚数さえ言ってくれれば、それで用は足りるのだが、最初に、総額を聞いた方が、何となく、落ち着いて聞けるのである。しかも、電話を切った後で、自分で計算をして、最初に聞いた総額と一致すれば、間違いなく聞き取ったと安心できるのである。

  

 
 

地図の描き方

 最高裁判所のウェブサイトに司法研修所の地図が載っている【最高裁判所 司法研修所について】。

研修所-1


 ぱっと見て、目的の司法研修所が地図の上のどこにあるのか、すぐには分からない。

 なぜ分かりにくいかというと、青緑、薄緑、黄色と目を引く色が、あちこちに使われているからだ。加えて、司法研修所の文字の背景は明度の低い臙脂色であり、文字の黒とのコントラストが弱いことも分かりにくい原因だ。

 また、施設を表す図形を立体化して影を付けている点も、目障りだ。しかも、駅を表す青緑の図形、研修所を表す臙脂色の図形、それ以外の灰色の図形、それぞれで影の付け方が不統一であり、ばらばらな感じがする。

 そこで、そういった点に配慮して作り直したのが、下の地図だ。

研修所-2


 違いを見比べることができるように、すこし小さくなるが、横に並べてみた。

研修所-1 研修所-2





部屋番号を捜すには? キーの順に並べる

 裁判所に行って、担当事件の審理が行われる法廷の部屋番号が分かっている場合は、その部屋に直行すればいいが、係しか覚えていない場合は、そういうわけには行かない。

 そんなときのために、裁判所の玄関ロビーのカウンターには、その日に行われる裁判の法廷の部屋番号と、その法廷を使う係との対応関係を示す表が置かれている。

 下の2つの表のうち、左側のものが、ある裁判所の対応表である。

 では、実際に弁護士になったつもりで、第5民事部B係はどの部屋か、左側の表で捜してほしい。

部屋番号


 「一瞬」というわけには、行かなかったのではないだろうか。では、今度は、右の表で、第6民事部B係の部屋番号を捜してほしい。

 今度は、すぐに見つかったのではないだろうか。

 実際の表は、このような簡単なものではなく、部屋番号毎に、その日に審理が行われる事件の事件番号、開始時刻などの情報も書かれていて、一つの部屋で1枚か2枚を使っている。そのため、約20枚ほどの表が綴られたファイルから捜すことになる。

 係が分かっていても、部屋番号順に並んでいる表の場合、その係の情報が何頁にあるかは、まったく見当が付かないのだから、順に1頁から見て行くほかはない。

 他方、各係の番号順に並んでいる表の場合は、例えば第5民事部B係なら、「大体、全体の後ろから3分の1くらいの所だろう」と見当がつくので、すぐに見つけ出すことができる。

 東京地裁だと、民事の部だけで50を超え、各部に係が2ないし5ある。各係で法廷が開かれるのは、週に2回程度なのだが、この対応表は、100頁前後になる。仮に、そんな裁判所で、左のような表を使っていたら、見つけるまでに、2,3分かかってしまうかも知れない。

 部屋番号順に並んでいる表は、たとえて言えば、英和辞典の単語が、アルファベット順ではなく、日本語の意味の五十音順で並んでいるようなものである。

 そんな英和辞典で、例えば、"apple" を捜す場合、2000頁の辞典なら、それを最初から頁を順に捲っていって、1800頁を過ぎた辺りで、ようやく「りんご」のところに "apple" と書いてあるのを見つけることになる。 

 そんな配列の英和辞典など、誰も使わないだろう(和英辞典として使う人は入るかもしれないが)。
 
 なお、係の名前を表示するに際して、「第4民事部A係」というのは、無駄な情報を省いて、「4A」にした方が、より分かりやすい。

 ただ、弁護士のように日常的に裁判所に出入りしている人は別として、裁判所に馴染みの無い一般の人は、「4A」といった記載だと、多少、戸惑うかも知れない。

 そこで、その両者の要請に答えるためには、こう記すのがベストだろう。
  

民事部A



  本日の要点  

   検索キーの順に並べる 【例】 係から部屋を探す → 係の順に並べる

   情報として重要なものを際立たせる 【例】 第民事部A

----- 追記 2018.12.13 -------------------------------------------------------------------

 英和辞典の例を挙げたが、もっと極端な例を挙げれば、電話帳である。
 電話帳が、人名の五十音順ではなく、電話番号順に並んでいたら、そんな電話帳を使う人などいないだろう。
 
 裁判所の表で部屋番号順に並べているのは、原理的には、これと同じことをしているのだ。






担当裁判官一覧表

 裁判所のホームページには、各部の裁判官の氏名、開廷日などの一覧表があり、大変、便利である。

 どの裁判所も同じ書式だが、次に掲げるのは、京都地裁の一覧表の一部【京都地裁・担当裁判官一覧 】である。

 
裁判官-1


 特段、「分かりにくい」というわけではない。では、次の表は、どうだろう

裁判官-2


 違いは、情報として無意味なものを、すべてカットした点だ。

 「○○係」「●曜日」など、違うのは、○○、●の部分だけであり、それさえ伝われば十分だ。「係」「曜日」といった文字はいらない。

 「毎週」については、殆どが毎週なのだから、省略して、「毎週」でないところにだけ、「月2」といった記載をすれば足りる。

 また、「京都地方裁判所」というのも、3箇所に出てくるが、これも、1箇所で十分である。

 無駄な情報は、有用な情報を探す際の障害になるのだから、「無害無益」なのではなく、「有害無益」なのである。

 更に、開廷曜日の欄だが、次のようにすれば、一目瞭然になる。

裁判官-3

 この類の表は、医院の診療日などを示すのによく使われている。むしろ、医院の場合、表を使っていないのが珍しいくらいである。それだけ、表の有用性が認識されているということである。

 他方、飲食店の場合は、表になっている方が少数派だが、これも、表にした方が、はるかに分かりやすい。以前のブログ【営業時間の表示は、こうする】も、参照されたい。


慣習には逆らわない

 裁判所から期日調整のファックスが来たので、返事をファックスで送信したところ、回線がファックスではなく電話機に繋がってしまった。番号を間違えたのかと思い、改めて、裁判所からのファックスを見たところ、次のように書かれていた。

ファックス番号

 私がファックス番号だと思ったのが、実は電話番号だったという次第である。

 私の不注意と言えば不注意なのだが、上の行に電話番号、下の行にファックス番号、というのが、暗黙の了解事項であり、ほとんどの書面は、そうなっている。そのため、「FAX」という文字を確かめることもなく、下の行の番号に送信したのだ。一般と違う書き方をしていたために、このような誤解が誘発されたのである。

 また、通常の場合と逆になっていることに気づいた場合でも、番号を押し終わるまで、「上の行がファックス番号だ」ということを常に意識しなければならず、余分な神経を使わざるをえない。

 「余分な神経」といっても、微々たるものには違いないのだが、たとえ僅かでも読み手に負担をかけるような表現はやめるべきである。

 たとえば、アンケートの男女のチェック欄でも、「女」「男」の順になっていると、一瞬ではあるが戸惑ってしまうのだから、慣習に従って、「男」「女」の順にすべきだろう。あえて「女」「男」にしたいという人も入るだろうし、その意図するところも分からないではないのだが、やはり、「分かりやすさ」を優先すべきだろう。

 早稲田慶応、同志社立命館、東大京大、東京 大阪、など、関係者にとっては、なぜ、その順番なのかと、釈然としないものもあるだろうが、長年の慣習として定着しているのと違う順番にすると、混乱を招くし、誤解のもとである。

証人は原告の事務所で被告に会ったのですか

 証人尋問の際の弁護士の質問である。

証人は原告の事務所で被告に会ったのですか


 言葉の上では明確で、誤解の余地はない。

 では、次の質問はどうか。

あなたは渡辺さんの事務所で猪瀬さんに会ったのですか


 証人、原告、被告、と言った言葉は、法曹界の人間からすれば、日常的に接している用語であるが、世間一般では、テレビなどで耳にする機会はあっても、日常とは懸け離れた世界である。

 いきなり、「原告の事務所」と言われても、「渡辺さんの事務所」と理解するまで、少なくとも何分の一秒かは必要だろう。これが、滅多にないことだが、控訴審での尋問で、「控訴人の事務所」などと言われたら、具体的に理解するまで、一層、時間がかかるだろう。

 冒頭の例では、時間的には一瞬のことでも、「原告→渡辺」という翻訳作業を証人に強いることになる。そうだとすると、翻訳作業がいらないような質問を心がけるべきである。
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

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