「前会議録」は、「以前の会議録」とは違う?

 リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏のことは、国会の委員会でも取り上げられている。

 衆参両院の委員会や本会議の議事録は【国会議事録検索システム】で検索することができる。

 「吉野彰」で検索してみると、10件ほどが該当し、次のように表示される。

吉野彰検索

 11月8日の議事録のところで、「前会議録」をクリックすると、11月12日の議事録が出てきた。

 「前」というのは、「以前の」という意味ではなく、「以後の」ということのようだ。

 過去から将来に向かって時間が流れていることからすると、「時間の進んだ先」ということで「前」ということになるのかも知れないが、「前の会議」といえば「以前の会議」を指すのが普通である。

 

戦後の恩赦

 【図録 恩赦の対象人数推移】に次のような表が載っている。

 
恩赦-1

 大変よく整理されているのだが、これを見ると、戦後だいぶ経ってから急に恩赦の対象人数が増えたように見える。

 だが、この表では時間的な間隔は分かりにくい。

恩赦-2

 これを見ると、戦後間もない時期は恩赦が手中していたが、最近では、あまり行われていないことが分かる。

 皇室がらみの恩赦を右寄せにしたことにより、どんな理由で恩赦が行われたのかという概要も、一目で捉えることができる。

 恩赦と聞くと思うのだが、昼夜を分かたず捜査をして逮捕した犯人が無罪放免されると聞いた警察官は、どんな思いだろうと思う。


ノーベル賞の発表時刻  比較の対象を間違えない 

 昨年に続いて今年も日本人のーベル賞が期待されるが、生理学医学賞の発表まで、あと十数時間と迫っている(10/6・日・23:50 現在)。

 念のため、【ノーベル財団のウェブサイト】を見たところ、発表までの時間が秒単位まで表示されており、その数字が、文字通り刻一刻と減って行く。

ノーベル賞発表-1
右下の時計は、パソコンのデスクトップに貼り付けた時計

 表示のとおり、あと11時間強ということは、7日の午前中の発表ということになるが、例年は、午後6時過ぎだったように思う。

 そこで、画面をスクロールすると、こんな表示があった。

ノーベル賞発表-2

 ストックホルムの現地時間で午前11時30分というのだから、時差が7時間ある日本では午後6時30分であり例年通りである【Time-j.net 世界時計 - 世界の時間と時差】。

 ということは、あと18時間あまり後ということになり、冒頭の「11:37:38」というのは、大きな誤りということになる。

 では、いったい、どうして、こんな間違いが生じたのか。数字を眺めているうちに、原因が分かった。

ノーベル賞発表-4

 上の図のとおり、ストックホルム時間の発表時刻から日本時間の現在時刻を引き算して、「11:37:38」と表示しているのだ。

 発表時刻から現在時刻を引き算すること自体は正しいのだが、引き算をする以上は、現地時間同士、あるいは、日本時間同士の引き算でなければ何の意味もない。

 本来、比較すべきでないものを比較して引き算をしたために、こんな間違いが生じたのだ。

 翻って考えると、ノーベル財団のウェブサイトの担当者は、発表時刻から、使用しているパソコンに設定された現在時刻を引き算したのであり、これなら、ともにストックホルム時間同士の引き算であり、正しい時間が計算される。

 けれども、世界中のパソコンがストックホルム時間に設定されているわけはなく、それぞれ各地の時間が設定されている訳であり、その時間を現在時刻として、ストックホルム時間の発表時刻から引き算をしたために、上記の間違いが生じたという訳である。

 ウェブサイト担当者が、パソコンの現在時刻ではなく、ストックホルム時間の現在時刻を差し引くようにしていれば、こんな問題は生じなかったのである。

 今回の間違いも、情報の受け手の様々な属性に対する配慮が欠けていたために生じた間違いである。

 ★管理人へのメールは、ここをクリック★

----- 追記 2019.10.7 -------------------------------------------------------------------

 ノーベル財団のウェブサイトの間違いについては、その後、毎日新聞が報道している【毎日新聞 2019.10.7 13:49 ノーベル賞カウントダウン 7時間早く「Live!」 財団サイト】。



  

ノーベル化学賞分野別一覧  時間感覚の可視化

 ノーベル賞の発表が10月7日(月)と迫ってきて、ネット上では、様々な団体、個人が受賞者の予想を行っている。

 そんな中、化学の専門家が予想するサイトに、化学の分野別の受賞実績を整理した「周期表」が載っている【Chem-Station 投票!2019年ノーベル化学賞は誰の手に!?】。

 「周期表」といえば、メンデレーエフの「元素周期表」だが、以下に掲載した周期表は、「一目で分かる」とは言いがたい。

 
ノーベル化学賞分野別-1

 やはり、時間の間隔を可視化しなければ、「分かりやすさ」は半減する。

ノーベル化学賞分野別-2

 記事の中では「周期表」に基づき色々と分析をして、たとえば、「 有機化学は4〜5年に一度のペースで受賞している」と書かれているのだが、このことを冒頭の「周期表」ら読み取るには数秒はかかるが、下の表だと、一瞬にして読み取れる。

 【時間に関する記事

----- 追記 -------------------------------------------------------------------

 分野別に色分けした方が分かりやすい。

ノーベル化学賞分野別-4

 色が多すぎて多少、疲れるが、こちらの方が、より直感的に分野別の受賞間隔を把握できる。

結婚、離婚を図解する

 数人の男女が結婚離婚を繰り返しているとしよう。

 時系列で整理すると、普通は、こんなふうになる。

結婚-1
Wikipedia 中山美穂 辻仁成 南果歩 渡辺謙

 必要な情報は網羅されているのだが、より直感に訴えるには、こんな図にするのがいい。

結婚-2


 ・ 最大の利点は、結婚期間の長さが視覚的に理解できる点だ。

 ・ 主要な事件を書き混むことによって、いつ頃のことかを、実感することができる。


----- 追記 2019.9.29 -------------------------------------------------------------------

 もう一つ、作ってみた。

 
結婚-3
Wikipedia 渡瀬恒彦 大原麗子 森進一 森昌子

「ありえない発言だね」「それは違うだろう」  「それ」は何か? チャットの誤解

 ラインやスカイプのチャット機能を利用することが多くなったが、例えば、AとBが、やりとりをして、Aの画面には、次のような記録が残っているとしょう。

① B宛ての送信 「某議員が北方領土を取り戻すには戦争しかないと言ってる」
② B宛ての送信 「ありえない発言だね
③ Bからの着信 「それは違うだろう


 これを見たAは、自分の②の発言が③によって、否定されたように思う。

 他方、Bの画面には、こんな記録が残っているとしよう。

① Aからの着信 「某議員が北方領土を取り戻すには戦争しかないと言ってる」
③ A宛ての送信 「それは違うだろう
② Aからの着信 「ありえない発言だね


 Bは、Aも自分と同じ意見だと納得する。

 「それは違うだろう」というBの発言は、Aの画面では、③番目になっているが、Bの画面では、②番目になっているのだ。

 その結果、「それ」というのは、Aの画面では、その直前の②「ありえない発言だね」を指していることになるのに対して、Bの画面では、「直前のものを指す」と言う点では同じであるが、中身は別物である、①の「戦争しかない」を指すことになるのだ。

 こういった行き違いが起きたのは、チャットでは、送信と着信との間にタイムラグがあるからだ。

チャットの誤解



診療時間

 先日見かけた医院の看板だ。

診療時間-1

 土曜日の午前中は診療をしていることを理解するまでに、数秒かかる。

 こうすれば、一瞬で分かる。

診療時間-2+


 この問題は、以前の【医院の診療時間は、こう書く】でも取り上げた。
 
「 分かりやすさ」のポイントは、以下のとおり、「たった、これだけ」である。

 ・ 横に曜日・縦に時間帯 の二次元の表にする。
 ・ 平日は黒、土曜は青、日/祝は赤にする。
 ・ 診療の有無は、文字だけでなく、背景色も変える。
 ・ 診療の有無は、「○×」でなく、「○休」で示す。

 「たった、これだけ」の努力で、劇的に分かりやすくなるのに、未だに冒頭のような案内があるのは、「分かりやすさ」について全く無頓着な人がいかに多いか、ということであり、まだまだ「布教活動」が必要だ、との思いを新たにした次第である。




司法試験合格者の年齢別構成  法務省のグラフを添削する

 法務省の【平成13年度司法試験第二次試験結果について】に、司法試験合格者の年齢別構成のグラフがある。
年齢別-1

 一目見て、うんざりした。

 改善案は、こうだ。

年齢別-6

 以下、元のグラフの問題点を列挙する。

● 無意味な装飾

 まず、表題だ。

....年齢別-3

 背景の薄紫、黒い影は無意味である。

 また、平面的な帯グラフで十分なのに、ことさら立体的にするのも無意味だ。

 【実務に理解の深い教員の養成は急務なのだが・・・  過剰演出は不要

● 直感に反する時系列

 一番上が「平成13年度」、一番下が「平成元年度」となっている。

 時間の流れは、左→右上→下、で表現するのが普通であり、直感に馴染む。

 ところが、特別な必要性もないのに、下→上、と逆転している。

 時系列の間隔

 時間の間隔と見た目が対応していることが望ましい。
 
 全部等間隔で並んでいると、現実の時間も等間隔のように錯覚してしてしまう。

 改善案は、平成元年と平成8年の間を広く開けているが、単純に6年分の間隔をとるのは現実的ではなく、「・・・・・・」で代用した。なお、6年分が抜けているということで「・」の数は6個にしている。

● 文字の幅、間隔

....年齢別-4

 よく見ればわかることだが、12年と11年ではフォントの横幅が異なっている。

 その上、10年などは、「35.7%」なのに、数字が密着しているため「36.7%」と勘違いしそうである。

● 同じ単語の繰り返し

 [平成」「年度」「%」といった記載が何度もでているが、分かりきったことであり、省略した方が、すっきりする。

● イメージに合わない色

 各年齢区分の色だが、法務省のは、「緑、赤紫、黄色」となっているが、改善案は「緑、黄色、薄茶」となっている。

 秋になって木の葉の色が変わるのと人の年齢のイメージを重ねるのが直感に馴染む。車の高齢運転者マークも同じだ【様々な色のイメージ】。

 26歳で高齢者扱いかと言われそうだが、あくまでも相対的には高年齢には違いない。

 学生時代の勉強会などで、24、5歳の上級生が「長老」と呼ばれていたのを思い出す。「長老」でも司法試験に合格すれば、数年後には「若手」弁護士である。

● 和暦のみの表示

 官公庁の文書は和暦が標準となっているようだが、西暦と併記しないと、何年前かということが即座に分からない。この弊害は、元号が令和に替わって、より顕著になった。
 「分かりやすさ」という観点からは、西暦表示は必須であり、スペースの余裕があるときには和暦も併記する、というのがいいだろう。

● 分かりにくい凡例

 「24歳以下30.7%」のように、凡例の文字がパーセントの数字に接着して同じ大きさで記載されているので、目立たない。

 改善案では、時間間隔を表すために設けた空白部分に、大きな文字で記載したので、一目で分かるようになった。

 また、「以下」「以上」といった漢字を使わず、「~24歳」「26歳~」と記号「~」を使ったので、より直感的に分かりやすくなったはずだ。


 最後に、二つのグラフを比較しやすいよう、左右に並べてみた。

年齢別-1 年齢別-2







お休みのお知らせ  カレンダーを利用しないのは、もったいない

 とある飲食店の、お休みのお知らせだ。 

お休み-1


 必要な情報は誤解の余地なく記されており、ちゃんと読めば分かるのが、なかなか「分かった」という気にはなれない。

 では、こんなふうに、カレンダーを利用して、休みの日の背景色を灰色にしたら、どうだろうか。

お休み-5

 一瞬のうちに理解でき、記憶にも定着するだろう。

 もしも、暦の世界に、月や曜日というものがなかったら、どうなるだろう。 
 

  2019年135日 = 2019年5月15日(水)


 休みは、128日、129日、134日、141日、142日、148日、と言われても、実感を伴わず、到底、記憶することなど不可能である。

 月や曜日という人為的な区切りを設けることによって、無色透明な毎日の連続にメリハリが生まれて、いつのことか、ということが理解されるのである。

 そして、それをカレンダーによって「可視化」することにより、一層、全体の見通しがよくなり、理解もしやすく、記憶にも定着するのだ。

 せっかく、無味乾燥な日々の連続を、カレンダーという形で構造化できるのだから、カレンダーを使わないのは、宝の持ち腐れというべきだろう。

 本稿に関連した記事としては、以下のものがある。

 【拘束時間の可視化
 
 【医院の診療時間は、こう書く

 【営業時間の表示は、こうする



土曜は平日か?

 ある施設の駐車場の利用案内だ。

利用時間-1


 利用時間の欄には、土曜日の記載はない。と言うことは、土曜は休みなのか?平日というのは、一般的には土曜を含まないようだが、含んで使われる場合もあるし、この場合は、どうなんだろう?

 そう思いながら、料金のところを見ると、「日祝土」という記載があり、土曜日も営業していることは明らかだ。

 営業していることは分かったものの、土曜の利用時間は、平日と同じなのか、日曜・祝日と同じなのか?

 日曜・祝日に土曜を含まないのは明白だが、平日は土曜を含んで使われる場合もある。そう考えると、ここでは、土曜は平日に含むと考えるのが妥当なようだ。

 この解釈を前提にした改善案を作ってみた。

利用時間-2

 土曜を明記したほか、以下のような変更を加えた。

 ● 火曜日 → 火曜  無駄な「日」は記載しない

     意味が通じる限り、無駄な記載は極力、省くべきである。

 ● 曜日ごとの利用時間・料金を1行に

     元の表では、情報が分散して見にくいが、1行に書かれていれば、一目瞭然である。






 

ゴミ処理場の受付時間 無駄な色分けはしない

 年の瀬も押し詰まり、大掃除のゴミ処理に頭を悩ませている人もいることだろう。京都市では、市民がゴミを処理場に持ち込む際の受付時間がネットで公開されている【持込ごみ(有料)の受付について】。

ゴミ年末-1

 ○×の記号と、背景色の肌色とを併用している。背景色が肌色のところは、すべて、「×」印があり、受け付けないということらしい。では、逆に、背景色が白色なら受け付けるのかというと、必ずしもそうではなく、昼休みだけは受け付けない日があり、その箇所には、「×」が付けられている。

 結局、受付の可否は、背景色だけでは判断できず、○×を確認する必要があるのだ。

 他にも色々と問題があるので、作り直したのが、以下の表だ。

ゴミ年末-05

● 背景色白は「○」、背景色灰色は「×」とした。 色と文字の対応

 同じ背景色で○も×もあるというのは、誤解の元であり、改めた。

● 肌色を灰色にした。  イメージに合致した色

 その上で、受付をしない場合の背景色は、灰色にした。肌色よりも、灰色の方が「窓口が閉まっている」というイメージに合致するからだ。
 「イメージに合った色を使う」というのは、とても大事なことだ。仮に受付をしない時間帯を緑にしたら、受付をしてもらえると誤解する人が多発することだろう。

● 項目は複数日をまとめず、すべて、1日ずつとした。  無駄にまとめない

 元の表のようにまとめてしまうと、何日間か連続して、休み、あるいは、受付可能なのかが、直感的に分かりにくい。項目の日付けを1日単位にしておけば、そのようなことはない。

● 午後の受付の終了時刻を、赤の太字で表示した。  誤解のないよう注意を喚起

 「午後」というだけで、17時まで受付と誤解する可能性があるので、16時半で終了という点を強調したのである。

● 日曜は赤、土曜は青、年末年始休暇は背景を薄い赤にした。

 元の表では、一般に休みとされる土日と年末年始は全部が赤になっていて、メリハリがなかったが、こうすることによって、それぞれが際だって、理解、記憶に役立つと思われる。

 今回と同じテーマについては、以前の記事【医院の診療時間は、こう書く】【営業時間の表示は、こうする】【医院の診療時間は、こう書く】を参照されたい。

 ところで、元の表では、なぜ、あのような表現をしたのだろうか。

 理由は、処理場の職員の立場に立って考えれば理解できる。

 肌色の背景色を付けた日は、一切、受付をしない、完全に休みの日である。

 白の背景色の日は、出勤日である。

 そして、出勤日であっても、昼休みに受付をする日もあれば、しない日もあり、それは、○×で区別したのである。

 これに対して、利用者の立場では、受付ができるのは、いつか、と言う情報だけでいい。昼休みの時間帯に受付ができないというのであれば、その日が職員の出勤日か否かなど、余分な情報である。

 結局、情報発信者の側が、情報受信者にとって何が意味のある情報であるかを考えずに、発信者側で意味のある情報を、そのまま提供したことが「分かりにくさ」の原因である。以前の記事【内部の論理は、内部に留める】に書いたのと同様のことである。




近江鉄道バスで佐川美術館前下車約30分 時の流れに逆らわない

 滋賀県守山市にある「佐川美術館」の交通アクセスの説明文に、こう書かれていた。

近江鉄道バスで佐川美術館前下車約30分


 交通の便の悪いところとは聞いていたが、「バスを降りて、この殺人的な猛暑の中を、30分も歩くのか?」という疑問が湧いて来て、美術館に行く気力が萎えてしまいそうになった。

 けれども、バス停の名前は、「佐川美術館前」となっている。「○○前」と名付ける以上、そこから30分もかかるというのも常識外れである。地図【佐川美術館 交通アクセス】を眺めているうちに、「そうだ、30分というのはバスに乗っている時間のことか」と、ようやく気づいた。

佐川


 こんな場合、普通は、こんな順番で表現する。
 

【1】 近江鉄道バスで
【2】 約30分
【3】 佐川美術館前下車


 バスに乗り込み、30分経過し、下車する、時間の流れのとおりであり、ごく自然に頭に入る。

 ところが、冒頭の表現は、こうである。
 

【1】 近江鉄道バスで
【2】 佐川美術館前下車
【3】 約30分


 「下車」のあとに「30分」と書かれており、時間の流れが逆なのである。これが誤解の原因だ。

 つい2日前のブログ【気を緩めると誤解を招く】でも、「できごとを、時間の流れと逆に書くから、誤解を招きかねないのである。」と書いたばかりである。

 私自身も、ときおり、前に書いた文を補足しようとして思って、時間的には、前のことを付け足してしまっていることに気づくことがある。

 もちろん、時間の流れとは逆に書いていても、
  ・文脈から明らかに時間の前後が分かる場合
  ・時間的な前後を明示した場合
は、誤解されないのであるが、

一般的には、時間の流れに沿ったほうが頭に自然に入るのであるから、時間に逆行するのは極力、避けるべきである。


医院の診療時間は、こう書く

 街で見かける医院の前には、診療時間を表す次のようなプレートがある。

模範

 一目瞭然で、これ以上、分かりやすくは、しようがない。

 ところが、中には、一目見ただけでは分からない、次のようなものもある。

医院


 休診日の欄に「水曜・土曜午後、日曜・祝日」とあるのだが、果たして、水曜は終日休診なのか、あるいは、午後だけ休診なのか、すぐには、分からない。

 曜日の区切りに、「・」と「、」の二種類を使っていることから、仮に水曜が終日休診だとすると、「水曜、土曜午後、日曜・祝日」と書くのが自然なように思われ、そうすると、「水曜・土曜午後」となっているのは、水曜は土曜と同じく午後休診だ、ということのようにも考えられる。

 一応、こんなふうに考えられるものの、絶対そうだ、とは言い切れないだろう。

 次は、同じビルにある薬局なのだが、これも分かりにくい。 

薬局

 終了時刻について、12:30の右に18:30を配置しているのは、終了時刻が水・土は早く月・火・木・金は遅いことが直感的に理解できるので、この工夫は結構である。

 ところが、開始時刻は、どの日も、9:30であるにも関わらず、水・土は、少し右に配置している。その結果、直感的には、水・土は、開始時刻が遅いように思えてしまうのだが、数字を読めば、開始時刻は同じことが分かる。
 
 なぜ、こんなふうに、ことさら誤解を招きそうな表現をするのか、私には理解できない。


------------------------------------------------------------------
 昨日、冒頭で、「一目瞭然で、これ以上、分かりやすくは、しようがない。」と書いたのだが、もう一工夫する余地があった。

模範-2

 背景色を変えることによって、休みがいつか、ということが、瞬間的に脳裏に焼きつけられる【2018.3.15 追記】。



担当裁判官一覧表

 裁判所のホームページには、各部の裁判官の氏名、開廷日などの一覧表があり、大変、便利である。

 どの裁判所も同じ書式だが、次に掲げるのは、京都地裁の一覧表の一部【京都地裁・担当裁判官一覧 】である。

 
裁判官-1


 特段、「分かりにくい」というわけではない。では、次の表は、どうだろう

裁判官-2


 違いは、情報として無意味なものを、すべてカットした点だ。

 「○○係」「●曜日」など、違うのは、○○、●の部分だけであり、それさえ伝われば十分だ。「係」「曜日」といった文字はいらない。

 「毎週」については、殆どが毎週なのだから、省略して、「毎週」でないところにだけ、「月2」といった記載をすれば足りる。

 また、「京都地方裁判所」というのも、3箇所に出てくるが、これも、1箇所で十分である。

 無駄な情報は、有用な情報を探す際の障害になるのだから、「無害無益」なのではなく、「有害無益」なのである。

 更に、開廷曜日の欄だが、次のようにすれば、一目瞭然になる。

裁判官-3

 この類の表は、医院の診療日などを示すのによく使われている。むしろ、医院の場合、表を使っていないのが珍しいくらいである。それだけ、表の有用性が認識されているということである。

 他方、飲食店の場合は、表になっている方が少数派だが、これも、表にした方が、はるかに分かりやすい。以前のブログ【営業時間の表示は、こうする】も、参照されたい。


営業時間の表示は、こうする

 最近みつけて気に入ったカレー屋さんがあるのだが、近々また行こうと思い、営業時間の確認のため、食べログを見た。

 食べログを見る目的は人それぞれだろうが、電話番号、場所、定休日、営業時間の情報は必須であり、次に必要な情報はメニュー、座席数などで、最後に、実際に利用した人の評判、という順番だろう。

 ところが、食べログを開いても、営業時間の記載が見当たらない。店の特徴の説明の画面から、スクロールして行くと、延々と投稿写真や利用者のコメントが出てきて、ようやく、「店舗基本情報」というのに辿り着いた。「基本情報」こそ、多くの閲覧者にとっては重要な情報のはずなのだから、記事の冒頭に配置すべきである。

 こうして見つけた営業時間の欄には、こう書かれていた。

 
営業-0


 特定の日時に営業しているかどうかを確認するだけなら、これでもいいだろう。けれども、ここ2、3日の間に行こうという漠然とした予定で、前もって営業時間を確認しておこうという場合、こんな書き方だと、いつ行けばいいのか、頭の中に入って来ない。

 これが文字情報の限界である。こんな場合こそ、表形式で情報提供すべきである。たとえば、こんな具合だ。

営業-1

 この表を見れば、昼の営業は、一律に11時半からだということは一瞬にして分かる。けれども、食べログの記載だと、そうはいかない。

 単純に表にするだけでも十分に分かりやすくなったのだが、まだ、工夫の余地がある。

 上の表では、時刻の記載が左側にしかないので、週末の営業時間は分かりにくい。そこで、右側にも時刻を記載したのが、次の表だ。

営業-2


 確かに分かりやすくなった。だが、週の前半は、昼間しか営業していないのだから、左側の時刻のうち、遅い時間帯の時刻は不要だ。むしろ、目障りである。そこで、不要な記載を消したのが、次の表だ。

営業-4

 もう一つ付け加えると、食べログの情報では、水曜日は、「500円カレー」となっている点も、分かりにくい。

 これでは、通常メニューに加えて、「500円カレー」をやっているのか、あるいは、通常メニューはなくて、「500円カレー」しかやっていないのか、判然としない。

 先ほど、この店でカツカレーを食べたときに確認すると、水曜日は、通常700円の一番シンプルなカレーを500円にして、その「500円カレー」だけを提供しているとのことだった。そこで、表には、「500円カレーのみ」と書いたのだ。

 さらに、水曜日は、背景色も、薄いグレーにして、通常メニューの提供はしていないことが直感できるようにした。かりに、通常メニューに加えて、「500円カレー」をやっているのだったら、グレーではなく、薄い緑などで彩色して、「プラスアルファ」のメニューであることを直感できるようにするところだ。

 最後に、もう一つ、食べログの記載の問題点を指摘しておく。

 月曜、火曜は、営業時間が同じなので、「月・火」とまとめて記載しており、木曜、金曜も、同様に、「木・金」とまとめて記載している。他方、土曜は、単独で記載され、その次は、「日・祝」となっており、土曜日と日曜日では営業時間が違うのかと思って、よく見ると、結局は同じだった。だったら、「土・日・祝」とまとめて書くべきである。

 このように、中途半端にまとめて記載すると、見る側を混乱させてしまう。

 表にするにあたて、同じ営業時間・メニューの日はまとめて、「月・火」「水」「木・金」「土・日・祝」の4分類で記載しようかと思ったのだが、あえて、まとめることは止めにした。一日毎に記載したほうが、時間的な広がりが直感できるからである。たとえば、週の前半3日間は昼間のみの営業だということが、直感的に理解でき、記憶に残りやすいからである。

------------------------------------------------------------------------

 ところで、食べログの情報では、営業時間の下に、ラストオーダーは、閉店時間の30分前という記載があったので、この情報も、表に反映してみた。

営業-6

【2016.8.12 追記】




拘束時間の可視化

 法廷ではおなじみ光景であるが、裁判官が次回期日の候補日時を言うと、双方の代理人の弁護士から、「結構です」「差し支えです」といった返事が返ってくる。双方の弁護士が揃って「結構です」と言わない限り、裁判所は、次の候補日時を提示する。

 これも、もっと効率的な方法はないかと思わないではないのだが、その点は、また、後日ということにしよう。

 困るのは、端的に「差し支えです」と言えば足りるところを、「その日は、朝から大阪地裁へ行って、昼から奈良で調停がありまして・・・」と自分の予定を延々と説明する人である。誰も、その日、その弁護士が、他のどこで仕事をしていようが、そんなことに関心はない。裁判所と相手方弁護士の関心は、裁判官が候補とした日時を期日として請けることができるか否か、ということのみである。

 自分が忙しい弁護士だということを誇示したいのか、あるいは、何でも理由を付けなければ気がすまない性格なのか、いずれにせよ、余分な情報を付け加えて時間を無駄にするだけであり、迷惑な話である。

 ときに、こんなのもある。「ええと、午後から神戸で弁論が入っていますので、戻ってくるのに、1時間、いや、1時間半はかかるかと思いますので・・・」と、自らの思考の過程を開示してくれるのだ。聞いている方は、神戸から間に合うか間に合わないか、さっさと自分で判断してほしいのだが、ときには、裁判官が助け船を出して、「それでは、30分ずらして・・・」ということもある。

 こんなのも、自分の責任で、何時なら京都地裁の期日に出席できるか判断して、例えば、「3時以降なら大丈夫です」とか言ってくれれば話が早いのである。

 ただ、スケジュール帳に、期日の日時しか書いていないと、遠方の裁判所の予定の前後は、何時なら期日が入れられるかは、即答できない。私は、そんなことにならないよう、遠方の裁判所の予定を書くときは、往復の時間も分かるように記載している。たとえば、こんな具合だ。

スケジュール


こうしておけば、何時の期日なら請けることができるのか、即答できる。

 こういうことが即答できるということは、裁判所に対しても、相手方代理人に対しても、無駄な待ち時間を使わせないという点で、結構なことである。もちろん、本人にとっても無駄なことに頭を使わなくてすむのだから、こんないい方法はない。

 このように移動時間も含めてスケジュール帳に記載しておけば、裁判所の期日だけでなく、事務所での面談その他の予定を入れるときにも、非常に便利である。移動時間を考慮せずに複数箇所で予定を入れてしまって、当日になって、「どこでもドア」がほしくなると言った事態を避けることができるのである。

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プロフィール

「時間泥棒」仕置人 (改称予定)

Author:「時間泥棒」仕置人 (改称予定)
.

 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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