「IT導入補助金2020

 新型コロナウイルス対策の一環として、様々な施策が行われているが、【「IT導入補助金2020」に関する説明】の冒頭には、次のように書かれている。

 (非常に分かりにくい文章なので、とりあえずは、背景に色付けした部分にだけ注目して、ざっと目をとおしていただきたい)
特別枠


 最初の段落では、特別枠で推進しようとする具体的な対策として、3つ、「サプライチェーンの毀損への対応」、「非対面型ビジネスモルへの転換」、「テレワーク環境の整備」が挙げられている。

 ところが、第3段落の「遡及申請可能期間中の契約の実施」の特例を設けた理由の説明においては、「サプライチェーンの毀損への対応」はなく、「非対面型ビジネスモルへの転換」と「テレワーク環境の整備」の順番が逆転している。

 ということは、「サプライチェーンの毀損への対応」については、「遡及申請可能期間中の契約の実施」に関する特例は認められないように思える。

 ところが、ずっと後ろ(11頁)を見ると、「遡及申請可能期間に導入済みのITツールの登録について」という項目があり、そこでは、「サプライチェーンの毀損への対応」も対象として書かれている。

 そういうことであれば、冒頭の第3段落においても、「サプライチェーンの毀損への対応」を記載すべきだったということになる。

 また、「非対面型ビジネスモルへの転換」と「テレワーク環境の整備」の順番の逆転についても、何の意味があるのか分からない。

 意味がないのであれば、冒頭の第1段落と同じ順番で一貫すべきである。

 このような無頓着な削除、順番の入れ替えは、文書作成者の内心では何らかの意味があったのかも知れないが、実際の補助金の要件に関する限り、3つの具体策については区別されていないのであるから、内心での意味づけを、表現に持ち込むのは、読み手を混乱させるだけである。

 こういう書き手こそ、「時間泥棒」の名にふさわしい。





 
 



正しい矢印

 昨日の【ゴミの分別は何種類?】で、中京区のゴミ収集日の地図を載せた。
 
収集日マップ-2

 これを眺めているうちに、少し、おかしなことに気づいた。地図の右下部分、烏丸通の御池通と四条通に挟まれた部分で、拡大すると、こうなっている。

 
収集日マップ-3 収集日マップ-4

 烏丸通の、この部分は、両側とも、月・木の収集地域のはずなのだが、赤い○で囲った矢印は、左向き になっている。

 右の解説部分を読むと、「境界は、矢印の方向の日に収集します」となっているのであり、これでは、逆向きである。この矢印の、すぐ上とすぐ下にある二つの矢印は、正しく、右向き になっている。

 なお、これと同じ間違いは、最初の地図の左上、二条城の左のところにも、見受けられる。


「前会議録」は、「以前の会議録」とは違う?

 リチウムイオン電池の開発でノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏のことは、国会の委員会でも取り上げられている。

 衆参両院の委員会や本会議の議事録は【国会議事録検索システム】で検索することができる。

 「吉野彰」で検索してみると、10件ほどが該当し、次のように表示される。

吉野彰検索

 11月8日の議事録のところで、「前会議録」をクリックすると、11月12日の議事録が出てきた。

 「前」というのは、「以前の」という意味ではなく、「以後の」ということのようだ。

 過去から将来に向かって時間が流れていることからすると、「時間の進んだ先」ということで「前」ということになるのかも知れないが、「前の会議」といえば「以前の会議」を指すのが普通である。

 

覚せい剤,麻薬

【1】 覚せい剤,麻薬

 田代まさしの覚醒剤容疑での逮捕【田代まさし容疑者を逮捕 覚醒剤所持容疑、宮城県警 2019.11.6 日経】に続いて、こんどは、沢尻エリカがMDMAで逮捕されたという【沢尻エリカ容疑者を逮捕 麻薬所持の容疑認める 2019.11.16 日経】。

 ところで、上記の「覚醒剤」だが、法律上は、「覚せい剤」と表記されている【厚労省のサイト】。

 このように、一つの単語の中で漢字と平仮名が混在していると、それを一つの単語として認識するのは、非常に困難になる。そのため平仮名部分の「せい」の上に「・」を付けたりしているのを見かけるが、それはそれで見苦しい。

 実際、上記の厚労省のサイトでは、次のようになっている。

覚醒剤

 こんな馬鹿げたことをするくらいなら、自然に「覚醒剤」と全て漢字で書けばよいものなのだが、「醒」という漢字が内閣告示による【常用漢字表】(法律制定時は、「当用漢字表」)にないという理由で、「覚せい剤」となっているのである。

 
【2】 覚せい剤麻薬

 日本語の文章で使われる区切り文字として、句点「。」、読点「、」があるが、【公用文改善の趣旨徹底について(依命通知)】には、こう書かれている。

  2. 句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。


 これも本来の日本語の句読点の一部である読点のみを変更している点で、違和感を覚える。

 ただ、この句点の「,」については、見直しの動きがあるようだ【公文書のコンマ「,」なぜ? 半世紀以上、見直し検討 2019.11.17 共同通信】。

 公文書の読点に使われている「,」(コンマ)について、文化庁が見直しの検討を始めた。民間では広く「、」(テン)で記載されているが、中央省庁では1952年の通知に従い、コンマで書くようルール化されている。ただ、半世紀以上を経て、省庁でもテンを使う文書が増加。公文書だけ一般常識から離れているのではないか―。お役所文化の象徴とも言えるコンマを巡り、専門家会議で議論が進んでいる。



 大歓迎である。ついでに、「覚せい剤」のほうも見直してもらいたいものである。

----- 追記 2019.11.18 -------------------------------------------------------------------

 ところで、昨日の引用の中に、少しだけだが、おかしな部分があったのに気づかれただろうか。

  2. 句読点は,横書きでは「,」および「。」を用いる。


 「句点」も「読点」も単独で用いられることが少なく、「句読点」とセットで用いられるのが通常だ。

 そのため、どっちが「句点」で、どっちが「読点」なのか、分からない人も多いだろうし、私も、いつも迷ってしまい、間違えることもある。

 実際は、「。」が「句点」なのだが、上記の引用では、読点の「,」が先に出てきている。ここは、「句読点」の「句点・読点」の順番どおり、次のようにすべきである。

  2. 句読点は,横書きでは「。」および「,」を用いる。



 句読点の覚え方については、【これでようやく覚えた。句読点は「とうっ!」と点を打つ「、」が読点で、残りの「。」が句点。】というサイトがある。

 馬鹿馬鹿しいと思われる方もいるだろうが、私も、これで覚えることができた。おそらく、一生、忘れないだろう。





 

民間検定試験の導入は、2020年4月にスタート

 2020年度入試から英語の民間検定試験を大学入学共通テストに導入するという話は、ひとまず、お預けになった【大学入試、延期された英語民間検定試験をめぐる動き 2019.11.1 日刊スポーツ】。

 そこで、文部科学省の【大学入試英語ポータルサイト】を覗いてみた。

 
大学入試英語-2

 なんと、延期されたはずの民間検定試験について、「2020年4月から、英語資格・検定試験を活用して、大学入試で英語の4技能を評価することを支援する「大学入試英語成績提供システム」の運営がスタートします。」となっている。

 「延期された」というのは誤報かと思い、下の方を見ると、「最新情報」として、「英語民間試験についての大臣メッセージを掲載しました。」と書かれてあったので、そこをクリックすると、大臣メッセージが出てきて、そこには、確かに、導入見送りの話が出ており、「誤報」ではなかった。

 文武科学省のサイトも、この「大臣メッセージ」まで読めば、導入が見送られたことが分かるのだが、前述のように、「大学入試英語ポータルサイト」の冒頭には、「2020年4月から、・・・スタートします。」となっているのであり、誤った情報を提供しているのである。

 次のようにすれば、延期されたことが一目で分かる。

 
大学入試英語-4

 このように、従前の記載を書き換えるのではなく、赤の二重線=を上書きすることによって、文字を読むまでもなく、一瞬で、変更になったことを理解させることができる。

 また、大臣のメッセージについても、「何についての」メッセージなのかを、より具体的に明示すべきである。この点は、【メールの件名は「一読了解」が不可欠】で述べたとおりである。

----- 追記 2019.11.8 -------------------------------------------------------------------

 本件は、ブログを書いてすぐの11月5日の夕方に、文科省の【文部科学省に関する御意見・お問合せ窓口案内】から【御意見・お問合せ 入力フォーム 大学入試に関すること】を開いて、お知らせを送っておいた。

 その後、何度か文科省の【大学入試英語ポータルサイト】を確認したところ、今朝の時点では従前のままだったのだが、ついさきほど見ると、次のように改訂されていた。
 
 
大学入試英語-6


 改めて気づいたのだが、改訂の前後で、冒頭部分の表記が次のように異なっている。

  ・ (前)  2020年4月・・・
  ・ (後)  令和2年度・・・

 こういった元号と西暦の混在については、以前の記事【元号と西暦の混在】にも書いたとおりである。


コネクテッド・インダストリーズ

 2017年通商白書では、「コネクテッド・インダストリーズ」という言葉が使われているが、馴染みのない言葉であることは、経産省も自覚しているようで、経産省のサイトに【コネクテッドインダストリーズって何?】という頁を設けて解説している。

 「日本の新しい『産業革命』の戦略を分かりやすく解説」と謳っているのだが、内容の分かりやすさを論じる以前の問題がある。

 まず、実際の画面を見ていただこう。

コネクテッド・インダストリー-1

 文字が薄い灰色で、この上なく読みにくい。

 比較のため、私のブログの記事の一部を切り取ったものを掲げる。

コネクテッド・インダストリー-2

 真っ白の背景に真っ黒の文字だと、コントラストが強すぎるので、多くのサイトでは、文字は多少、灰色がかった色になっている。

 けれども、経産省の上記の説明の頁のように薄い灰色にしてしまうと、目をこらさなければ読むことが出ず、その結果、内容に集中できなくなり、本末転倒である。

 国民にはあまり知らせたくない情報を、情報隠しとか説明不足とか非難された場合に言い訳できるように、とりあえずホームページに掲載した、ということなのか、あるいは、内容に集中して読まれると中身の空疎さが赤裸々になってしまうからなのか、理由は分からない。

 少なくとも、こんな霧や霞のかかったようなサイトを作っている人達に、本当に国民に情報提供しようという気持ちがないことだけが確かなようだ。こんな人達の生息場所が「霞が関」というのも、ブラックジョークとしては秀逸である。

 ともかく、このままでは、経産省のサイトを読む気にはなれない。しかたなく、全文をコピーして一太郎に貼り付けて読んでみた。ちなみに、ワープロソフトであれば、背景色、文字色ともに自分好みの色にできるので、最も読みやすい状態で読むことができるのだ。

 せっかく「読める」ようになったのだが、読み進めるに従って、ストレスが増して行く。

 「コネクテッドインダストリーズって何?」という表題なのだから、冒頭で、「コネクテッド・インダストリーズとは、○○○○○○・・・のことです。」という簡潔な説明を掲げるべきである。

 ところが、どこまで行っても、そんな説明はなく、「『第4次産業革命』と呼ばれる変革を踏まえ、日本が打ち出した戦略がコネクテッドインダストリーズだ。」とか「政府はドイツで開かれた国際情報通信技術見本市『CeBIT(セビット)2017』で、コネクテッド・インダストリーズを発表した」といった話が延々と続いている。

 しかたなく、最後まで読んでいくと、朧気ながら「コネクテッド・インダストリーズ」の意味が分かってきた。

 日本の企業には様々な情報が蓄積されているのだが、それが社内的にも、産業界全体としても特定の部署、特定の企業の中に止まっていて十分に活用されていない、AIの進展により膨大な情報を処理して新たな技術革新が行われる基盤が整備されつつあるのだから、それに併せて、企業内、企業間で蓄積された情報を共有、結合することが求められる、ということのようだ。

 そういうことなら、そもそも、「コネクテッド・インダストリーズ」といった馴染みのない言葉を用いるのではなく、「産業情報の共有化」「産業情報の集積利用」とか、日本語で、ある程度、中身を推測できるような言葉を用いるべきである。

 ちなみに、白書には外来語が満載であり、ざっと目次の項目から拾っただけでも、次のようなものがある【2017 通商白書】。
 
  ・ 我が国の経常収支の動向とインプリケーション
  ・ インクルーシブな成長に関する国際的な論調
  ・ 新輸出大国コンソーシアム
  ・ インバウンド対応
  ・ サイバーに関する国際協調

 外来語辞典の編纂者なら、白書から外来語を拾っていけば、見出し語は、おおよそ網羅できることだろう。

 それにしても、外来語使用についての、この凄まじいまでの張り切りようからは、内容の陳腐さ、空疎さを、目新しい言葉で覆い隠そうとする、自信のなさが透けて見えてくる。

 なお、本稿と共通の話題については、【外来語に関する記事】を参照されたい。

----- 追記 2019.9.30 -------------------------------------------------------------------
 
 白書には、次のような表記のゆらぎがある。

  コネクテッド・インダストリーズ
  コネクテッドインダストリーズ
  Connected Industries

 このブログ内では、引用部分は除いて、「コネクテッド・インダストリーズ」に統一している。





「職員の制裁」   可哀想な職員、あるいは、粗暴な職員

 少し古くなるが、【職員の制裁について】という、日本年金機構からの発表がある。

制裁

 コンビニなどで店員の対応が悪いとして客が店員に罵声を浴びせて土下座させたりといった事件が話題になっていたこともあり、私は、てっきり、年金の受給の件で年金事務所を訪れた高齢者が職員の対応に憤激して、手を出すとかしたのかと思った。

 けれども、「職員の制裁」とあるだけで、「職員に対する制裁」とは書いていない。

 ひょっとすると、「職員による制裁」かもしれない。

 つまり、職員の対応を非難する高齢者に職員が逆ギレして高齢者を突き飛ばすなどしたのかも知れないと考えたのだ。

 こんなふうに助詞の「の」は、「主体」を表す場合もあれば「客体」を表す場合もあるので、要注意だ。

 そんなことを考えつつ、実際の発表内容を見て、肩すかしをくらったような感じがした。

 年金事務所の所長が勤務時間の内外にツイッターで不適切な投稿を繰り返したので、処分したというのである。

 そういうことなら、「制裁」ではなく、「懲戒」という、より適切な言葉を使うべきだ。

 「懲戒」も「制裁」には違いないのだが、「懲戒」は組織が所属員に対して正規の手続に基づいて行う、という、より限定した意味を持っている。

 他方、「制裁」は、組織に限らず個人によって加えられる場合もあり、また、「私的制裁」という言葉もあるように、手続に則ったものであるか否かも問わない言葉である。

 従って、「制裁」と言われると、本来の「制裁」のうち「懲戒」に当たらないものを指して言っているように思うのだ。

 例えば、「動物」が畑を荒らして困る、と言う場合、その「動物」は、普通は、「人以外の動物」という趣旨で使われているのだ。

 もしも、実際に人が畑を荒らしているのなら、「動物」という広い概念を使わず、端的に「人」と言えばよいのだ。

制裁-1

 話は戻って、「職員の制裁」というのが公的機関で広く使われているのか調べてみた。

 すると、「職員の制裁」というのは、年金事務所や社会福祉事務所関係に限られ、官公庁、自治体など公的機関は、「職員の懲戒」という言葉を使用していた。

 とすると、「職員の制裁」というのは、旧厚生省の年金、社会福祉関係の部署で過去に使われていたのが、組織形態が変わっても、世間一般の用語法に流されることなく、連綿として受け継がれてきた「伝統文化」というべきかも知れない。

  本日の要点  

   助詞「の」は使わず、「に対する」「による」と表現する。 

   限定された意味を有する的確な言葉がある場合は、その言葉を使う。

司法試験予備試験実施結果 改訂版

 【司法試験予備試験実施結果】にコメントをいただいたので、これを踏まえて、改訂版を作成した。

司法試験予備試験結果・改訂版


 どのように改訂したのか、コメントを引用しつつ、解説する。

● 受験者数、合格者数については数値の記載があるが、何故か合格率については記載がない

 指摘に従って、合格率も記載した。
 
 合格率まで記載すると、ごちゃごちゃすると考え、記載しなかったのだが、実際、記載してみると、そうでもない。


● 折れ線が破線ではなく、点線になっているため、マーカーと混在してしまい見辛い

 確かに見づらい。

 指摘に従い点線をやめて破線にしてみたのだが、それでも見づらい。
 そこで、折れ線の太さを変えたり、いろいろ試みたのだが、どうもうまく行かない。
 そこで、発想を変えて、マーカーの形を変え、以上の形になったのだ。

 最初から、マーカーを変えるという発想があれば、折れ線に拘り無用な試行錯誤をすることもなかったのだ。
 
 あたりまえのことだが、AとBという二つの要素が混在して見にくいときは、Aを変えることだけでなく、Bを変えることも検討すべきだ、ということである。

 こんなふうに、些細な「失敗」でも、その「失敗」を、より抽象的な命題にして頭に刻みつけておくことが大事だと思う。抽象度が高いほど、同じ「失敗」を繰り返さなくなるはずだ。といっても、あまりにも抽象度が高いと、役に立たなくなる。なにごとも、「ほどほど」ということだ。


● 単位は括弧書きにする。例:(人)、(%)

 指摘に従って括弧書きにした。

 私の趣味ではないのだが、政府の白書などのグラフでは括弧書きが多いようなので、それに従ったのだ。

 「分かりやすさ」の追究は、ともすれば独善的になりかねず、ときに大勢に従うことも必要だ。

 かといって、無批判に大勢に従うだけでは、何の進歩もない。

 ここでも、バランスが必要ということだ。

 漱石の言葉を思い出した【草枕 (青空文庫)】。

山路を登りながら、こう考えた。
 智に働けば角が立つ。
 情に棹させば流される。
 意地を通せば窮屈だ。
とかくに人の世は住みにくい。




● 令和元年度の最終合格者数・率が何故記載されてないのか理由を注記する

 指摘に従い、注記した。

 令和元年度の最終合格発表がまだ行われていないことは、関係者にとっては当然に知っていることなので記載するまでもないと考えたのだが、読者の誰もが知っているとは限らないのであるから、注記する方が親切というものだろう。


● グラフを作成するときは必ず出典を明記する。例:(出典)法務省ウェブサイト

 指摘に従い、出典を明示した。

 ただ、私が直接に法務省の資料を参照したのではないので、出典の明示としては変則的な形になった。

 国の資料は、情報量は膨大で多岐にわたるのだが、関連する情報が散在していて一覧性に欠ける場合が多い。Schulze BLOG のように、そういった情報を整理して公開してくれていると、それを元にグラフを作成するのは容易になる。 


● タイトルの再考。例:「〜の推移」

 変更していない。

 例として、「〜の推移」とすることが提案されたが、折れ線グラフを見れば「推移」であることは明白であり、ことさら「推移」と書くのは、くどすぎると考えたからだ。


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単身世帯の年齢別割合  厚労省のグラフを添削する

 昨日の記事【割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死】で、「65歳以上の単身者と65歳未満の単身者の数は、概ね、1:3である」と書いたが、それは、【厚労省 単身世帯の年齢別割合と年齢階級・性別にみた原因別単身世帯数】という資料の中の以下のグラフに基づくものだ。

単身世帯-1


 このグラフは、各年齢区分を色分けするだけでなく、斜線などを用いて、色の識別能力の低い人でも分かるように配慮されているのだが、まだまだ工夫の余地がある。

単身世帯-2


・ 色分けを年齢のイメージ沿ったものにした。
  この点については、【司法試験合格者の年齢別構成  法務省のグラフを添削する】に詳しく書いた。
  元のグラフは、どのように考えて色の選択をしたのかが、全く見えてこない。

  色遣いは好みの問題もあるので、私の選択が絶対とは言わないが、様々な色を選択する以上、無頓着ではだめで、できる限り対象のイメージに合った色を選択すべきである。

・ 凡例をグラフ内に記載した。
  こうすれば、凡例と帯グラフとの間を視線を行ったり来たりさせなくても理解できる。

・ モノクロ印刷でも分かるように、各区分を色分けするだけでなく、斜線、縦線、横線を用いた。
  モノクロだと、こうなる。

単身世帯-3


「文部科学白書 教育の情報化」の添削を試みる

平成29年度文部科学白書】の「第11章 ICTの活用の推進」の「第1節 教育の情報化」の冒頭に、以下のような記述がある。

 社会の情報化が急速に進展する中で,子供たちが情報や情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な資質としての情報活用能力を身に付け,情報社会に主体的に対応していく力を備えることがますます重要となっています。
 また,子供たちの「確かな学力」を育成するためには,分かりやすい授業を実現することが必要であり,その指導方法の一つとして,教員がICTを効果的に活用した授業を展開することが重要となっています。
 さらに,校務事務の多忙化により,教員が子供たちと向き合う時間が不足していることが指摘されている中で,ICTを活用した校務の効率化に対する期待も高まっています。
 一方,近年,コミュニティサイト等に起因する事犯や,いわゆるリベンジポルノなどのインターネットによる犯罪被害,生活リズムの乱れなどが大きな問題となっています。このため情報社会の便利な側面のみならず,影の部分やその対処法などについて,子供たち自身や保護者などが正しく認識し,適切に行動していくことがますます重要となっています。
 このような状況を踏まえ,文部科学省は,情報活用能力の育成,教員のICT活用指導力向上に向けた取組,ICTの活用による障害のある子供たちの支援,学習者用コンピュータ等の学校ICT環境整備の推進,青少年を有害情報から守る取組の推進等に取り組んでいます。


 こういったメリハリのない記述は、官公庁のサイトでは、よく見かけるが、何とかならないものだろうか。

 少しでも読みやすくするため、最小限、手を入れてみた。

 社会の情報化が急速に進展する中で,子供たちが情報や情報手段を主体的に選択し活用していくための基礎的な資質としての情報活用能力を身に付け,情報社会に主体的に対応していく力を備えることがますます重要となっています。

 また,子供たちの「確かな学力」を育成するためには,分かりやすい授業を実現することが必要であり,その指導方法の一つとして,教員がICTを効果的に活用した授業を展開することが重要となっています。

 さらに,校務事務の多忙化により,教員が子供たちと向き合う時間が不足していることが指摘されている中で,ICTを活用した校務の効率化に対する期待も高まっています。

 一方,近年,コミュニティサイト等に起因する事犯や,いわゆるリベンジポルノなどのインターネットによる犯罪被害,生活リズムの乱れなどが大きな問題となっています。このため情報社会の便利な側面のみならず,影の部分その対処法などについて,子供たち自身や保護者などが正しく認識し,適切に行動していくことがますます重要となっています。

 このような状況を踏まえ,文部科学省は,情報活用能力の育成,教員のICT活用指導力向上に向けた取組,ICTの活用による障害のある子供たちの支援,学習者用コンピュータ等の学校ICT環境整備の推進,青少年を有害情報から守る取組の推進等に取り組んでいます。


 やったことは、下記の二点だけである。

  ● 段落ごとに空白行を入れる
  ● ポイントとなる用語を赤の太字にする

 たった、これだけのことで、ずっと読みやすくなるし、読み終わった後に何が書いてあったか再確認することも容易になる。せめて、この程度の努力はしてもらいたいものである。


 

司法試験合格者の年齢別構成  法務省のグラフを添削する

 法務省の【平成13年度司法試験第二次試験結果について】に、司法試験合格者の年齢別構成のグラフがある。
年齢別-1

 一目見て、うんざりした。

 改善案は、こうだ。

年齢別-6

 以下、元のグラフの問題点を列挙する。

● 無意味な装飾

 まず、表題だ。

....年齢別-3

 背景の薄紫、黒い影は無意味である。

 また、平面的な帯グラフで十分なのに、ことさら立体的にするのも無意味だ。

 【実務に理解の深い教員の養成は急務なのだが・・・  過剰演出は不要

● 直感に反する時系列

 一番上が「平成13年度」、一番下が「平成元年度」となっている。

 時間の流れは、左→右上→下、で表現するのが普通であり、直感に馴染む。

 ところが、特別な必要性もないのに、下→上、と逆転している。

 時系列の間隔

 時間の間隔と見た目が対応していることが望ましい。
 
 全部等間隔で並んでいると、現実の時間も等間隔のように錯覚してしてしまう。

 改善案は、平成元年と平成8年の間を広く開けているが、単純に6年分の間隔をとるのは現実的ではなく、「・・・・・・」で代用した。なお、6年分が抜けているということで「・」の数は6個にしている。

● 文字の幅、間隔

....年齢別-4

 よく見ればわかることだが、12年と11年ではフォントの横幅が異なっている。

 その上、10年などは、「35.7%」なのに、数字が密着しているため「36.7%」と勘違いしそうである。

● 同じ単語の繰り返し

 [平成」「年度」「%」といった記載が何度もでているが、分かりきったことであり、省略した方が、すっきりする。

● イメージに合わない色

 各年齢区分の色だが、法務省のは、「緑、赤紫、黄色」となっているが、改善案は「緑、黄色、薄茶」となっている。

 秋になって木の葉の色が変わるのと人の年齢のイメージを重ねるのが直感に馴染む。車の高齢運転者マークも同じだ【様々な色のイメージ】。

 26歳で高齢者扱いかと言われそうだが、あくまでも相対的には高年齢には違いない。

 学生時代の勉強会などで、24、5歳の上級生が「長老」と呼ばれていたのを思い出す。「長老」でも司法試験に合格すれば、数年後には「若手」弁護士である。

● 和暦のみの表示

 官公庁の文書は和暦が標準となっているようだが、西暦と併記しないと、何年前かということが即座に分からない。この弊害は、元号が令和に替わって、より顕著になった。
 「分かりやすさ」という観点からは、西暦表示は必須であり、スペースの余裕があるときには和暦も併記する、というのがいいだろう。

● 分かりにくい凡例

 「24歳以下30.7%」のように、凡例の文字がパーセントの数字に接着して同じ大きさで記載されているので、目立たない。

 改善案では、時間間隔を表すために設けた空白部分に、大きな文字で記載したので、一目で分かるようになった。

 また、「以下」「以上」といった漢字を使わず、「~24歳」「26歳~」と記号「~」を使ったので、より直感的に分かりやすくなったはずだ。


 最後に、二つのグラフを比較しやすいよう、左右に並べてみた。

年齢別-1 年齢別-2







文部科学省の資料

 文部科学省のサイトに【法科大学院改革の取組状況について】という資料があり、その資料の12頁の冒頭に、このブログの素材としては一級品と言ってもいい、次のような記載がある。

ICT-1

 見た瞬間に嫌でも目に飛び込んでくるのが太めの赤字である。

 何のために太めの赤字にするのか分かっていれば、一つの文の80%も赤字にすることはないはずだ。

 私なら、こうする。

ICT-3

 これなら、「地方在住者」「社会人」「オンライン授業」といったキーワードが一瞬にして目に入るが、元の記載だと、とてもそうは行かない。全て黒字の方が、落ち着いて読めるだけ、ましである。

 【上告理由書の工夫  演出はほどほどに】の「アリババと40人の盗賊」にも書いたとおりである。

 元の記載には他にも問題がいくつもある。二つを並べるので、まずは、どこがどう違うのか、その理由を考えてほしい。

ICT-1

ICT-3



 ・ 表題の末尾に「ついて」とあるが、無意味な記載である。

 ・ 表題の背景をグラデーションで両端を薄くしているが、これも無意味な装飾である。

 ・ 表題の「ICT」というのも、非常に分かりにくい。
ICT-4

  「I」が単なる縦線のように見え、「ICT」という単語の一部に見えない。
  前後にスペースを入れるか、かぎ括弧をつけて、一つの単語であることを明示するのがいい。

 ・ 本文の2行を囲っている長方形の線が太くて、目障りである。

 ・ 読点「、」の付け方も不適切だ。
    「地方在住者や、」の「、」は不要であり、代わりに「社会人が、」とすべきである。
    読点の機能は、概ね以下の3つだが、「地方在住者や、」とすることに意味はない。

     ・ 同種の文字が連続する場合に、切れ目を明示する

       【漢字】
        検察官出席の上審理し → 検察官出席の上、審理し
        【検察官A出席の上審理し・・・

       【ひらがな】
        夏にはもでもオゴってもらおう → 夏に、はもでもオゴってもらおう
        【名詞は漢字に限る

     ・ 修飾関係の誤解を避ける
        ① 目を覚ましたメリーは、恐怖のあまり地下室に潜んでいた男を、殺してしまう。
        ② 目を覚ましたメリーは、恐怖のあまり、地下室に潜んでいた男を殺してしまう。
        【目を覚ましたメリーは・・・

     ・ 長すぎる文を息継ぎのために区切る

 あと、ここからは、「趣味の問題」と言われるかも知れないが、いくつかの変更点がある。

     ・ 表題の文字が大きすぎるので、少し小さめのフォントにした

     ・ 本文の先頭の「○」と次の文字の間にスペースを入れた


 

元号と西暦の混在

 文部科学省のウェブサイトに国語審議会の頁がある【国語審議会

国語審議会

 見た瞬間、「これは何だ!」と思わず声を上げそうになった。

 元号表記と西暦表記とが混在しており、前後関係が、すぐには分からない。

 こういった不統一は、読み手にとって、はなはだ迷惑なことである。

 ----- 追記 2018.10.29 -------------------------------------------------------------------

「不統一」にも、いろいろあり、その弊害も様々だ。思いつくまま、整理してみた。

 ● 表記(表記の揺れ)

  コンピュータ、コンピューター
  プログラマ、プログラマー

  → 混在すると読みにくいし、いい加減な印象を与えるが、弊害の程度は知れている。

 ● 類義語

  書面、文書
  表示画面、画面
  ログイン、ログオン

  → 使っている本人は同じ意味で使っていても、相手は、別のものを指しているのではないかと悩むこともある。

 ● 単位

  1リットル、1000cc
  平成30年、2018年

  → 換算をすれば分かるのだが、読者に余分な負担をかけることになる。



 

部分は全体を表すとは限らない

 一昨日、夫婦同姓強制の廃止について記事【夫婦同姓の強制を続けますか】を書いたが、先ほど、夫婦別姓に関する法務省の世論調査【選択的夫婦別氏制度に関する世論調査結果】を見た。

世論-1


グラフのどの部分が何を示すかという、「凡例」が、グラフの右手に載っている。

世論-2


 一番上のは、すぐに分かるのだが、その下の3つは、すぐは理解できない。
 
 上から2番目は、□に縦の線が一本はいっていることから、辛うじて、帯グラフの縦縞の部分に該当するということは分かる。けれども、下の二つは、どちらも、内部が空白の□であり、まったく、一緒である。

 グラフ作成に使用したソフト(おそらく、エクセル)の仕様で、凡例は、グラフの一部を、そのまま切り取ったものを表示するようになっているのが原因だろう。

 けれども、帯グラフの絵柄が、白地に小さな点が間隔を空けて散らばっているような場合、一部を切り取っても、その点は反映されず、ただの空白になってしまうのである。

 それを防ぐには、例えば、グラフ1センチ四方を、5ミリ四方に縮小して凡例にする、といった工夫をすればいいのだが、グラフ作成ソフトの開発者は、そこまでは気が回らなかったのだろう。

 「木を見て森を見ず」という言葉があるが、部分だけ見ていたのでは、全体が分からないことがある。
森
元の写真は【フリー写真素材ぱくたそ】様から提供していただいた素材です。

 ①が森であることは明らかだし、①の一部を切り取った②も森であることは分かる。けれども、さらに②の一部を切り取った③となると、「森」とは言いがたい。③と同じ大きさでも、①の全体を縮小した④なら、森であることは分かる。

 他にも、このグラフには問題がある。

 まず、グラフが単純な帯グラフでなく、「立体化」されていることである。ここで「立体化」する意味は全くなく、情報として全く無意味な雑音という外はない。

 次に、「立体化」の必然的な結果なのだが、パーセントを表す数字と、実際の帯グラフとが、ずれているのである。例えば、30%の数字の真上は、グラフ上では、23%のあたりになっているのである。

 さらに、帯グラフの各区分の装飾である。一つだけ、色付けして、他は、線や点で修飾しており、ちぐはぐな感じがする。

 最後に、非常に細かいことだが、縦縞の装飾の部分である。グラフを立体化しているのだから、直方体の上面の部分も縦縞で修飾するとしたら、左下から右上にかけての斜めの縞になるはずなのだが、実際のグラフでは、垂直の縦縞のままである。このような不自然な装飾は、見る者を混乱させ、よけいなストレスを与えることになる。

 実を言えば、最後に指摘した部分は、私も当初は気がつかなかった。グラフの縦縞の部分を見ているときに、なんとなく違和感を感じ、その違和感の原因は何かと考えていくうちに、グラフの上面の縞が斜めになっていないことに気がついたのである。



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