割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、高齢者が家を借りるのが困難になっているという話を取り上げていた。

 家主の多くが高齢者の孤独死を懸念するのが原因の一つだという。

 これに対して、番組では、以下のグラフを示して、孤独死は高齢者に限った問題ではないと述べていた。

孤独死-1

 だが、これで、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することができるのだろうか?

 次の図で考えてみよう。

孤独死-3


 冒頭の円グラフは、下の図の灰色で囲った部分だけを取り上げてグラフにしているのだが、孤独死をした単身者の数のみを取り上げても、全体は見えてこない。

 高齢の単身者のうち孤独死した者の割合と、高齢でない単身者のうち孤独死した者の割合とを比較して、それが同じだと言うのでなければ、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することは不可能である。

 実際は、65歳以上の単身者と65歳未満の単身者の数は、概ね、1:3である【厚労省 単身世帯の年齢別割合と年齢階級・性別にみた原因別単身世帯数】から、孤独死した者の数が同じなら、高齢者は、高齢でない者に比して、孤独死の可能性が約3倍あるということになる。

 そうすると、「高齢者の孤独死」に対する家主の懸念は、一応の事実の根拠に基づくものだということになる。
 
 高齢者の賃貸住宅への入居が困難であるという問題は、そういった事実を前提にした上で、解決の道を探るほかはない。 

 ここで指摘したのと同じ問題は、以前の記事【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性】でも、取り上げた。 
 



夏休みのある学校の先生は、いいな

 小学校に入って最初の夏休みの頃のことだが、こんなふうに考えていた。
 

学校の先生は生徒と一緒に夏休みをとれて、いい仕事だな、会社勤めのお父さんは夏休みなんてないのに、先生はいいな


 学校の先生の仕事のうち、ふだん子どもの目に見えるのは、授業だけであり、たまに職員室に行っても、のんびり休憩しているようにしか見えなかった。

 けれども、成長するに連れて、学校の先生の仕事が楽なものでないことが分かってくる。

 授業の準備、テストの採点、遠足、修学旅行などの行事の準備、研修、教育委員会への報告、保護者からの要望・苦情への対応・・・、決して普通のサラリーマンより楽だなどとは言えないだろう。


 話は変わって、遺産分割の争いでは、自分は、あれだけ親の面倒を見てきたのに、他の兄弟姉妹は、親のことは放ったらかしだったのにも関わらず、同じだけの取り分を主張するのは許せない、といった話をよく聞く。

 けれども、誰でも、自分が親にしてきたことは、当然のことながら、100パーセント知っているが、他の兄弟姉妹が親にしてきたことなど、断片的にしか知りようがないはずである。自分の知らないことは存在しないものと決めつけて議論を進めるのは、大きな誤りである。


 さて、ここからが本題だが、先日、テレビで議員年金の話題を取り上げていたのだが、そのときに、こんな画面が出てきた(羽鳥慎一モーニングショーで『地方議員』が話題に!)。

 
地方議員

 議会の日数が年に42.7日、つまり、週に1日もないのに、報酬は月額21万円というのを目にすれば、何といい仕事なのだろうと思ってしまう。
 
 けれども、議員の仕事は、議会に出席するだけではないはずだ。

 本気で仕事をしようとすれば、議会での質問、議案の提出のための調査、研究に、いくら時間があっても足りないだろう。フルタイムで仕事をすることを考えれば、月額21万円というのは、とても割の合わない仕事だろう。

 番組としては、議員は仕事の割に高額な報酬もらっており、その上、議員年金なんてけしからん、という方向に持って行こうとしたのだろうが、こんな浅薄な議論をしているようでは、そのうち、夏休みのある学校の先生には年金はいらないと言い出すかも知れない。

 要するに、とりあえず自分の目につくものが全てだと思うのは、とんでもない間違いだということである。

 マスコミの悲惨な現状については、これまでも何度も記事にしてきた。
 
 【マグネシウムは、41ミリグラム
 【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性
 【「売れた物の半数以上が24時間以内に」
 【何が起きても納得できる人
 【1m×1m×2cmは、何リットル?
 【100万平方キロメートルの巨大な実験都市
 【司法試験予備試験問題の6割をAIが的中  本当に凄いことなのか

 とはいえ、マスコミの現状が酷いからといって、新聞やテレビを「マスゴミ」と呼んで馬鹿にして出所不明なネット情報に振り回されていたら、もっと酷いことになってしまう。マスコミの情報を批判的に受け入れながら、問題点を指摘し、叱咤激励するほかはない。

 たまたま、記事で取り上げたのは、NHKの番組が多いが、相対的には、NHKが一番、有益な情報を提供してくれており、私にとって視聴時間が一番長いテレビ局がNHKであり、色々考えさせられることが多いが故に、問題点が目についたからであり、よりよい放送局になってほしいからである。

 今日の「サザエさん」で、ワカメが学校の友達にカツオがサザエさんや両親に叱られてばかりいるという話をしたところ、友達から、それだけ皆に愛されているということだと言われる場面があったが、NHKの番組が素材として頻繁に登場するのも、同じようなものである。

 だから、私の記事を読んで、「NHKをぶっ壊せ」などというのは、大きな間違いである。

 最後に、また、学校の先生の話に戻るが、中学教師の授業時間の平均は週に18時間だが、勤務時間は56時間だそうである【日本の教員の勤務時間は世界一! 授業より事務仕事や課外活動で忙しいのは本末転倒では?】。

グラデーションは、こうする その2 米中間選挙の開票結果の判明時間

 今朝の羽鳥慎一モーニングショーで、アメリカの中間選挙の開票の話題が取り上げられていたが、その中で、各州の開票結果の判明する時間が地図で示されていた。

結果判明-1


 東から西へと順に判明していく過程を色のグラデーションで表現しているのだが、何とも分かりにくい。

 そこで、青から赤へのグラデーションで作り直したのが、次の地図だ。

結果判明-3


 グラデーションで表現する場合には、以下の点に気を付けないといけない。

  ● 凡例を見ずに地図を見ただけで順番がわかるように、色相の差を小さくする。
  ● 目に負担がかからないように、二色の間のグラデーションにする。

 グラデーションについては、以前の記事にも書いたとおりである。

 【グラデーションは、こうする 風雨の予想図
 【赤い州、青い州
 【グラデーションのフェイント


100万平方キロメートルの巨大な実験都市

 トヨタとソフトバンクが車の自動運転で提携するとのニュースが流れたが【東洋経済 「トヨタ×ソフトバンク」誕生の大きな意味】、中国では自動運転の実用化に向けて、上海近郊に実験都市を作って、実験を繰り返しているという。

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)では、その実験都市「自動運転シティ」について次のようなボードで解説していた。

 
山手線内側


 よく、面積を表すのに、○○平方キローメートルと言われてもピンと来ないため、「東京ドーム○個分」などと説明されることがあるが、ここでも、そのような説明がなされていた。

約100万平方キロメートル
(山手線内側の1.5倍)


 山手線の内側が、何平方キロメートルか知らないが、100万平方キロメートルと言えば、日本の面積37万平方キロメートルの3倍弱である。明らかに誤りとしか考えられない。

 調べてみると、山手線の内側は、63平方キロメートルであり【Wikipedia 面積の比較】、自動運転シティの面積は「100万」ではなく、「100」平方キロメートルだということが分かった。

 日本の面積が37万平方キロメートルというのは、小学生レベルの知識であり、スタジオのアナウンサー、コメンテーターも知らないはずはない。

 けれども、誰一人、この「100万平方キロメートル」の異様さに気づかないのだ。
 
 仮に、日本の面積を知らなくても、「100万平方キロメートル」といえば、縦横1000キロメートル四方であり、本州がすっぽり収まるほどの広さであることは分かるはずである。

 こんなことは、東京 大阪間が約500キロメートルだという知識があれば、すぐに計算して分かるはずである。

 結局、彼らは、知識があっても、その知識に即して情報を自ら吟味することなく、そのまま受け入れているのだということを、鮮明に示している。

 先日の【1m×1m×2cmは、何リットル?】といい、【マグネシウムは、41ミリグラム】といい【何が起きても納得できる人】といい、マスコミの検証能力には眼を覆いたくなる。


グラデーションは、こうする 風雨の予想図

 今朝のテレビ【羽鳥慎一モーニングショー】の台風予報で、こんな図が出ていた。

雨風-1


 風雨の強さを、色のグラデーションで示しているのだが、どうも、しっくり来ない。

 風の方は、両極が水色と赤紫で、左から右までの色の変化が激しすぎ、落ち着かない。

 雨の方は、8mmを境に青と黄色で、色の違いが大き過ぎて、右の色になるほど、少しずつ、雨量が大きくなっているということが読み取りにくい。

 こんなときは、下記のようにすれば、よい。

雨風-2


 まず、色の三原色を全部使うのではなく、赤と青の二つだけにしたので、落ち着いた感じがする。

 次に、隣り合った色同士の色相の隔たりが大きくないので、少しずつ、風雨が強くなっていることが理解しやすくなっている。

 色のグラデーションについては、以前の記事にも書いたことがある。

 【色使いは、こうする
 【赤い州、青い州
 【グラデーションのフェイント

何が起きても納得できる人

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、一昨日に出版さればかりというのに既にミリオンセラーになった「FEAR」というトランプ政権内の暴露本のことを取り上げていた。

 著者は、44年前にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を暴いたウッドワードという著名なジャーナリストで、政権内の高官から直接に取材して書かれたという。

 例えば、「トランプは小学校5年生並みの知識しかない」とある高官が話していたとか、トランプが在韓米軍の家族を帰国させるということをツイッターで発信しそうになったので、そんなことをしたら北朝鮮は攻撃の合図と受け取り本当に戦争になりかねないと言うことで周囲の人間が必死になってやめさせたとか、興味深い話が紹介されていた。

 本の内容の紹介に続いて、番組の中では、「政治評論家」が、こんなことを言っていた。

アメリカではね、100年に1回くらい、トランプ的な人間が出てくるんですよ。規則的に。だって、アンドリュージャクソンという19世紀半ばの政治家、トランプ、大好きだけど。それも同じような人。そういった人と同じパターンだと考えれば、まあ、ありうるのかな。


 これを聞いた瞬間、私は、呆れてしまった。

 100年に1回というが、アメリカは、建国250年足らずだから、多くても、3回である。しかも、例に挙げたのは、たった1人だけである。それだけで、「規則的に」トランプ的な人物が出て来る、従って、トランプが本に書かれているような人物であったとしても不思議ではない、と言うのである。

 こういうのを、あまり品のいい呼び方ではないが、「よた話」というのであろう。

 こんな「論理」が罷り通るなら、どんな社会事象でも、「○○年に1回、規則的に、出てくる」と言って、○○年前の同種事例をひとつでも挙げれば、現時点で同様の事例が生じているのも当然だ、ということになってしまう。

 この評論家は、例えばの話、今日にでも横浜で外国人が日本刀で切りつけられる事件が起きたら、こういうのだろう。

横浜では、150年に1回、こういった事件が起きるんです。規則的に。だって、150年前、生麦事件というのがあったでしょ。今回の事件が起きたのも不思議ではない。


 こんな発言をする人が「評論家」としてテレビに登場していいのだろうか。

 テレビ番組は、政治問題、社会問題に対する考察を視聴者に深めてもらうことを目的にしているのではなく、「なんとなく分かった気」にさせ、また、「明日も、その番組を見ようという気」にさせることを目的としているのであるから、こんな評論家を登場させたのは的確な人選なのかもしれない。

 でも、なんだか空しくなりませんか?

 
★管理人へのメールは、ここをクリック★
検索フォーム
カレンダー
06 | 2020/07 | 08
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
素材、分野別の表示
★ 下記の言葉をクリックすると、関連記事が表示されます。

修飾関係 大学 将棋 司法試験 配置の一致 色彩 IT 外来語 官公庁 論理の飛躍 マスコミ 時間 英語 グラフ 政界 法曹界 地図・案内図 スポーツ 原発 学校 錯覚 NHK 主語述語 京大 言葉の意味 エクセル インターネット 一般企業 東大 指示語 読点 テレビ テレビ朝日 地方自治体 法律 家電製品 図書館 裁判所 

プロフィール

「時間泥棒」仕置人 (改称予定)

Author:「時間泥棒」仕置人 (改称予定)
.

 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

最新記事
全記事表示リンク

全ての記事を表示する

最新コメント
月別アーカイブ
メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

FC2カウンター
リンク