割合の単純比較は、危険  高齢者の孤独死

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、高齢者が家を借りるのが困難になっているという話を取り上げていた。

 家主の多くが高齢者の孤独死を懸念するのが原因の一つだという。

 これに対して、番組では、以下のグラフを示して、孤独死は高齢者に限った問題ではないと述べていた。

孤独死-1

 だが、これで、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することができるのだろうか?

 次の図で考えてみよう。

孤独死-3


 冒頭の円グラフは、下の図の灰色で囲った部分だけを取り上げてグラフにしているのだが、孤独死をした単身者の数のみを取り上げても、全体は見えてこない。

 高齢の単身者のうち孤独死した者の割合と、高齢でない単身者のうち孤独死した者の割合とを比較して、それが同じだと言うのでなければ、高齢者の孤独死に対する懸念を払拭することは不可能である。

 実際は、65歳以上の単身者と65歳未満の単身者の数は、概ね、1:3である【厚労省 単身世帯の年齢別割合と年齢階級・性別にみた原因別単身世帯数】から、孤独死した者の数が同じなら、高齢者は、高齢でない者に比して、孤独死の可能性が約3倍あるということになる。

 そうすると、「高齢者の孤独死」に対する家主の懸念は、一応の事実の根拠に基づくものだということになる。
 
 高齢者の賃貸住宅への入居が困難であるという問題は、そういった事実を前提にした上で、解決の道を探るほかはない。 

 ここで指摘したのと同じ問題は、以前の記事【割合の単純比較は、危険 シートベルト不着用の危険性】でも、取り上げた。 
 



只野はヤクザに絡まれた紀子をさっそうと助ける一人の男を目撃する。

 テレビ番組の解説【特命係長 只野仁(2003) 第7話「会長の秘密」 AbemaTV】に、次のような一節があった。

そんなある日、只野はヤクザに絡まれた紀子をさっそうと助ける一人の男を目撃する。


「絡まれ」まで読めば、只野がヤクザに絡まれたのかと思う。だが、直後の「た紀子」まで読むと、そうではないことが分かる。

次に、「助ける」まで読めば、只野が紀子を助けるのかと思うが、直後の「一人の男」まで読むと、そうではないことが分かる。

そうして、最後に、只野は「目撃」したことが分かる。

そんなある日、只野はヤクザに絡まれた紀子をさっそうと助ける一人の男を目撃する


 二回も誤読しかけたのは、「只野は」に対応する可能性のある動詞が、このように、3つ出てくるからだ。

 これに対して、「只野は」を「目撃する」の直前に持ってくれば、絶対に誤読のしようがない。

そんなある日、ヤクザに絡まれた紀子をさっそうと助ける一人の男を只野は目撃する


 要するに、主語に対応する述語は必ず後ろに来るのだから、主語の後ろに述語となる動詞が一つしかなければ、その動詞にしか対応しようがないため、絶対に誤読しないのである。

 なお、主語と述語動詞の関係が曖昧なことによる分かりにくさについては、これまでも、何度も記事を書いている。

 【目を覚ましたメリーは・・・
 【本人が弁護士とともに・・・
 【東京地裁で一人の男性が自殺
 

100万平方キロメートルの巨大な実験都市

 トヨタとソフトバンクが車の自動運転で提携するとのニュースが流れたが【東洋経済 「トヨタ×ソフトバンク」誕生の大きな意味】、中国では自動運転の実用化に向けて、上海近郊に実験都市を作って、実験を繰り返しているという。

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)では、その実験都市「自動運転シティ」について次のようなボードで解説していた。

 
山手線内側


 よく、面積を表すのに、○○平方キローメートルと言われてもピンと来ないため、「東京ドーム○個分」などと説明されることがあるが、ここでも、そのような説明がなされていた。

約100万平方キロメートル
(山手線内側の1.5倍)


 山手線の内側が、何平方キロメートルか知らないが、100万平方キロメートルと言えば、日本の面積37万平方キロメートルの3倍弱である。明らかに誤りとしか考えられない。

 調べてみると、山手線の内側は、63平方キロメートルであり【Wikipedia 面積の比較】、自動運転シティの面積は「100万」ではなく、「100」平方キロメートルだということが分かった。

 日本の面積が37万平方キロメートルというのは、小学生レベルの知識であり、スタジオのアナウンサー、コメンテーターも知らないはずはない。

 けれども、誰一人、この「100万平方キロメートル」の異様さに気づかないのだ。
 
 仮に、日本の面積を知らなくても、「100万平方キロメートル」といえば、縦横1000キロメートル四方であり、本州がすっぽり収まるほどの広さであることは分かるはずである。

 こんなことは、東京 大阪間が約500キロメートルだという知識があれば、すぐに計算して分かるはずである。

 結局、彼らは、知識があっても、その知識に即して情報を自ら吟味することなく、そのまま受け入れているのだということを、鮮明に示している。

 先日の【1m×1m×2cmは、何リットル?】といい、【マグネシウムは、41ミリグラム】といい【何が起きても納得できる人】といい、マスコミの検証能力には眼を覆いたくなる。


「共同で授与することが決まりました」

 今年のノーベル医学生理学賞が本庶氏と米国の研究者に授与されることが発表された。

 今朝のテレビでは、こう画面に出ていた。

ノーベル医学生理学賞をジェームス・アリソン氏と本庶佑氏に共同で授与することが決まりました


ノーベル賞

 授与したのは、ノーベル財団だから、「共同で授与する」ではなく、「単独で授与する」ではないのか?

 おそらく、ノーベル財団の発表を、翻訳したのだろう。

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has today decided to award the 2018 Nobel Prize in Physiology or Medicine jointly to James P. Allison and Tasuku Honjo


 つまり、「jointly」は「to」を修飾しているのに、「award」を修飾するように訳してしまった「誤訳」ということだ。

「共同で授与」というと、授与の主体が複数だということになってしまう。授与の相手方が複数の場合に使うべき言葉ではない。ここは、「共同で」ではなく、「両者に」とすべきだろう。どうしても「共同で」にしたければ、「授与される」と受け身にすべきだろう。

 A、B → C  AとBが共同でCに授与する

 A → B、C  AがBとCの両者に授与する
 A → B、C  AによってBとCが共同で授与される

 と書いたものの、「共同で」というのは、主体的な行為について言われるのが普通であって、受動的な場合に使うのは不自然な感じがする。




グラデーションは、こうする 風雨の予想図

 今朝のテレビ【羽鳥慎一モーニングショー】の台風予報で、こんな図が出ていた。

雨風-1


 風雨の強さを、色のグラデーションで示しているのだが、どうも、しっくり来ない。

 風の方は、両極が水色と赤紫で、左から右までの色の変化が激しすぎ、落ち着かない。

 雨の方は、8mmを境に青と黄色で、色の違いが大き過ぎて、右の色になるほど、少しずつ、雨量が大きくなっているということが読み取りにくい。

 こんなときは、下記のようにすれば、よい。

雨風-2


 まず、色の三原色を全部使うのではなく、赤と青の二つだけにしたので、落ち着いた感じがする。

 次に、隣り合った色同士の色相の隔たりが大きくないので、少しずつ、風雨が強くなっていることが理解しやすくなっている。

 色のグラデーションについては、以前の記事にも書いたことがある。

 【色使いは、こうする
 【赤い州、青い州
 【グラデーションのフェイント

何が起きても納得できる人

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、一昨日に出版さればかりというのに既にミリオンセラーになった「FEAR」というトランプ政権内の暴露本のことを取り上げていた。

 著者は、44年前にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を暴いたウッドワードという著名なジャーナリストで、政権内の高官から直接に取材して書かれたという。

 例えば、「トランプは小学校5年生並みの知識しかない」とある高官が話していたとか、トランプが在韓米軍の家族を帰国させるということをツイッターで発信しそうになったので、そんなことをしたら北朝鮮は攻撃の合図と受け取り本当に戦争になりかねないと言うことで周囲の人間が必死になってやめさせたとか、興味深い話が紹介されていた。

 本の内容の紹介に続いて、番組の中では、「政治評論家」が、こんなことを言っていた。

アメリカではね、100年に1回くらい、トランプ的な人間が出てくるんですよ。規則的に。だって、アンドリュージャクソンという19世紀半ばの政治家、トランプ、大好きだけど。それも同じような人。そういった人と同じパターンだと考えれば、まあ、ありうるのかな。


 これを聞いた瞬間、私は、呆れてしまった。

 100年に1回というが、アメリカは、建国250年足らずだから、多くても、3回である。しかも、例に挙げたのは、たった1人だけである。それだけで、「規則的に」トランプ的な人物が出て来る、従って、トランプが本に書かれているような人物であったとしても不思議ではない、と言うのである。

 こういうのを、あまり品のいい呼び方ではないが、「よた話」というのであろう。

 こんな「論理」が罷り通るなら、どんな社会事象でも、「○○年に1回、規則的に、出てくる」と言って、○○年前の同種事例をひとつでも挙げれば、現時点で同様の事例が生じているのも当然だ、ということになってしまう。

 この評論家は、例えばの話、今日にでも横浜で外国人が日本刀で切りつけられる事件が起きたら、こういうのだろう。

横浜では、150年に1回、こういった事件が起きるんです。規則的に。だって、150年前、生麦事件というのがあったでしょ。今回の事件が起きたのも不思議ではない。


 こんな発言をする人が「評論家」としてテレビに登場していいのだろうか。

 テレビ番組は、政治問題、社会問題に対する考察を視聴者に深めてもらうことを目的にしているのではなく、「なんとなく分かった気」にさせ、また、「明日も、その番組を見ようという気」にさせることを目的としているのであるから、こんな評論家を登場させたのは的確な人選なのかもしれない。

 でも、なんだか空しくなりませんか?

 
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たえることのない・・・

 朝食をとりながらテレビのニュースを聞いていると、昨晩の関東地方の落雷の話をしていた。

 何度も落雷が発生しているということで、大変だなあ、今後は、こんな異常気象に耐えなければいけないのか・・・と、そんなことを覆っていたとき、耳に入ってきたのが、「たえることのない・・・」という言葉だった。

 瞬時に、脳内で「耐えることのない・・・」と漢字変換をしたのだが、「・・・」の部分が「落雷」と認識できた瞬間に、今度は、「絶えることのない」に再変換された。

 音声で何かを伝える場合、情報は平仮名で入ってくる。それを聞き手が、自らの関心や文脈に応じて漢字変換をすることによって、理解をする。「文脈」は、その単語の「前」だけでなく「後」も重要である。

 上記の例のように、最初は、「前」だけで漢字変換をしていても、「後」の「落雷」を聞いた瞬間、変換をし直さなければならないのである。

 この程度の「再変換」なら大したことはないと言えるが、積み重なると、ストレスとなる。

 再変換の必要のないように、聞いただけで、「この漢字しかない」といえるような言葉を選択する方が、聞き手には優しいと言える。

 上記の例では、「たえまなくつづく」であれば、「耐」ではなく「絶」であることが分かり、「絶え間なく続く」と最初から正確に意味を理解することが分かるのだ。

 このように、同音異義語があるばあいには、できるだけ長い言葉に言い換えるのがいいということは、これまでの記事にも書いたことがある。

罰金陛下
「つしんきんにいってきたんです」


ニューヨーク、イリノイ、パラグアイ、カリフォルニア

 夕方のテレビで、守谷慧氏の納采の儀が行われたというニュースが流れていた。

 納采の儀と言えば、先日は、納采の儀が延期になった小室圭君が国際弁護士の資格をとるためにニューヨークのフォーダム大学ロースクールに入学するためにアメリカに旅立ったというニュースもあった。

 「国際弁護士」という肩書きは、ときおり耳にするが、そのような資格はない。

 日本国内で活動する「国際弁護士」として考えられるのは、次の二種類である。

 【1】日本の弁護士資格を有する者
    ・外国の弁護士資格「も」取得し、
    ・その外国の法律に関わる法律事務「も」行う

 【2】日本の弁護士資格を有しない者
    ・外国の弁護士資格「を」取得し、
    ・一定の条件の下に法務大臣の承認を得て、
    ・「外国法事務弁護士」として登録し、
    ・その外国の法律に関わる法律事務「のみ」を行う

 専ら日本法しか扱わない(扱えない、扱うつもりもない)私には縁のない世界なのだが、「外国法事務弁護士」について興味半分でネット検索したところ、【GOH FOREIGN LAW OFFICE】というサイトを見つけた。

 そのサイトの中で日本で活動する外国法事務弁護士の数について、次のように記されていた。

日本国内に約390名の外国法事務弁護士がいます。もっとも登録が多い国は、アメリカ合衆国、イギリス、中国、オーストラリアです。そして、日本の外国法事務弁護士約390名のうち、約360名(約90%)が東京の弁護士会に所属しています。東京を離れると、その数は一気に減ります。東京に次いで外弁の数が多いのは大阪で、10名の弁護士が大阪弁護士会に外弁として登録しています。


 続いて、原資格国について、こう記されている。

外弁は、自身が弁護士資格を取得し法務経験を積んだ国を指定しなければなりません。日本国内の約390名の外弁のうち、アメリカ合衆国だけを見ると、最も多いのがニューヨーク州(約110名)で、次いで多いのがカリフォルニア州(約50名)です。


 次いで、大阪弁護士会に所属する外国法事務弁護士の内訳についても、説明がある。

大阪弁護士会会員の外弁10名の原資格国の内訳は次のとおりです(中国4名、米国ニューヨーク州3名、米国イリノイ州1名、パラグアイ1名、米国カリフォルニア州1名)。

 
 問題は、国、州の順番だ。米国イリノイ州の次にパラグアイがくれば、米国は、それで終わりだと思う。ところが、次が、米国カリフォルニア州となっており、予測が覆される。

 人数の多い順に書くのなら、それは、それで一応の合理性があるのだが、パラグアイもカリフォルニア州も1名である。パラグアイを先にする理由はない。

 以前の記事【いりこ、ドンコ、鰹節、昆布】【慣習には逆らわない】にも書いたが、事物を列挙する場合には、必然的な順番というものがある。その順番を崩すと、読者はストレスを感じるし、時には誤解することもある。

 ところで、米国の州の名前が続いているのに、パラグアイをカリフォルニア州より先に書くのは極自然な流れである。ことさら、順番を崩したのは、何らかの考えがあってのことではないか。

 そう思いながら、このサイトの管理人のプロフィールが、【GOH FOREIGN LAW OFFICE スタッフ紹介】に書かれていた。
 

米国カリフォルニア州弁護士会登録


 自らの原資格国がカリフォルニア州だからこそ、一番最後にしたのだろう。

 なんという謙虚さか! と思ったのだが、そういえば、英語で自分を含む複数人を列挙する場合は、"○○,○○,○○ and I "と言うと習ったのを思い出した。

 最後に、冒頭のニュースに関して、念のため、ネット上の記事にリンクをしておく。

朝日新聞 2018.8.12 絢子さまと守谷慧さんが「納采の儀」 婚約が正式に成立
朝日 2018.8.7 小室圭さん米国留学へ出発 「いってらっしゃい」に無言


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Author:「時間泥棒」仕置人 (改称予定)
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 玉石混淆の情報が溢れる社会の中で、効率よく、的確に、情報を取得し、提供するには、どうすればいいのか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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