都道府県の比較は、こうする

弁護士ドットコム37号(2018.10.1)27頁に掲載された都道府県別の法律事務所のホームページ所持率を表した図表だ。
ホームページ-1


 とにかく、分かりにくい。問題点を列挙する。

● 色分けした細長い二等辺三角形の楔形の長さで所持率を表現してるが、

  ・ どの楔が、どの県に対応しているのかを識別しにくい。
  ・ 楔の根元の高さが様々なので、楔の長短を比較しにくい。
  ・ 楔の色分けに統一感がなく、所持率の高低と色の対応関係が直感的に分かりにくい。
  ・ 黄色の楔は背景に溶け込み、見つけにくい(特に、栃木)。

● 特定の県(50%以上の全県、40%台の東京、10%台の山梨)は、地図に所持率を記載し、他の県は、表に記載しているが、

  ・どの県が地図上にあるのか表にあるのか、すぐには分からない。
  ・地図上の県名がローマ字になっており、ぱっと見には分からない。

 そこで、この図表を大幅に手直ししてみた。

ホームページ-4

 変更点は、下記のとおりである。

● 楔の使用をやめて、都道府県の色分けにより、所持率の違いを表現した。

● 色分けに使う色は、所持率の高い県を濃い青とし、一番低い白まで、同系色の5段階とした。

● 凡例の並びについて、所持率の高いものを上にした。

● 各県の所持率は、全ての県について、左上の一つの表にまとめた。

● 都道府県名については、末尾の文字の都、府、県を省略した(道は省略していない)。

● 都道府県名の順番は、一般に使用されているJISコードの順にした。

● 所持率が50%以上の県については、県名の前に青色の印 を付けた。
  東京、山梨も、元の図表では、50%以上の県と同じく地図に記されていたが、特に印は付けていない。


施設の説明は、こうする

 名古屋市科学館の施設の説明の一部だ【名古屋市科学館 施設概要】。

名古屋科学館-1

 これを見ても、施設の概要は、なかなかイメージできない。

 そこで、改善案を作ってみた。

名古屋科学館-2


 ● 上層階を上に、地階を下に
     説明図上での配置と現実世界での配置を一致すべきことは、以前にも書いた。
        【前列右から・・・
        【市ヶ谷キャンパス・・・

 ● データバーの使用
     数値の大小を図形(データバー)の大小として表現すれば直感的に理解できる。
        【「データバー」の活用

米南部や中部にまたがる米国でも信仰心があつい住民の多い地域 バイブルベルト

 【(トランプの時代 2018中間選挙)「神の国」復興、トランプ氏に託す 支持する理由、福音派は 朝日 2018.10.14】という記事があり、トランプの支持者の多い「バイブルベルト」という地域の解説が載っていた。

バイブルベルト

 下の二行が少し見にくいが、書き出すと、こうなる。

  米南部や中部にまたがる米国でも信仰心があつい住民の多い地域。
    福音派などキリスト教保守派が社会や政治に強い影響力を持つ


 冒頭の「米南部」というのは、後ろに「米国」と出てくるのだから、単に「南部」でいいはずだ。

 また、「南部や中部にまたがる」というのは、直後の「米国」ではなく、もっと後ろの「地域」を修飾しているのだから、「米国」を修飾していると誤読されないよう、「、」を入れるべきである。このように、直後ではなく、離れた場所にある文節を修飾する場合に読点を用いるべきであることは、以前の記事【東京地裁で・・・】にも書いたとおりである。

 更に、なお、「信仰心があつい」というのは「信仰心が篤い」と書けは゛いいのにと思ったのだが、常用漢字表には「篤」について、「トク」の読みはあるが、「あつ(い)」の読みはなかった【文化庁 常用漢字表(平成22年内閣告示第2号)】。

 けれども、常用漢字表は「現代の国語を書き表す場合の漢字使⽤の⽬安」に過ぎない。

 実際、同じ記事の中には「トランプ氏自身は敬虔(けいけん)ではない」という表現があり、そこでは常用漢字表に載っていない「虔」を使用しており、常用漢字表を「逸脱」しているのである。

 他方、[篤」は、漢字自体は常用漢字表に載っており、「あつ(い)」という読みが載っていないに過ぎないのだから、「虔」を用いるより、「逸脱の程度」は低いと言える。

 なお、常用漢字については、以前の記事【検察官・・・】でも触れている。また、ある漢字が常用漢字か否かを調べるには、【常用漢字チェッカー】という便利なサイトがある。

 結局、こう書くべきことになる。

南部や中部にまたがる、米国でも信仰心が篤い住民の多い地域



--- 追記 ---------------------------------------------------------------------
 上の文章の中に「書けは゛いいのに」という記載があるが、何か間延びした感じがしないだろうか。

 書いたときは気づかなかったのだが、見返してみて、何か変な感じがした。よく見ると、「ば」が「は」+「゛」の2文字になっていたのだ。ローマ字入力をしているので、こういったことは起こりようがないと思うのだが、現実に起きた以上、何か原因があるはずである。
 

地図の描き方

 最高裁判所のウェブサイトに司法研修所の地図が載っている【最高裁判所 司法研修所について】。

研修所-1


 ぱっと見て、目的の司法研修所が地図の上のどこにあるのか、すぐには分からない。

 なぜ分かりにくいかというと、青緑、薄緑、黄色と目を引く色が、あちこちに使われているからだ。加えて、司法研修所の文字の背景は明度の低い臙脂色であり、文字の黒とのコントラストが弱いことも分かりにくい原因だ。

 また、施設を表す図形を立体化して影を付けている点も、目障りだ。しかも、駅を表す青緑の図形、研修所を表す臙脂色の図形、それ以外の灰色の図形、それぞれで影の付け方が不統一であり、ばらばらな感じがする。

 そこで、そういった点に配慮して作り直したのが、下の地図だ。

研修所-2


 違いを見比べることができるように、すこし小さくなるが、横に並べてみた。

研修所-1 研修所-2


--- 追記 2018.10.12 ---------------------------------------------------------------------

 上に書いた地図は、エクセルで描いたものだ。

 とりあえず描くだけで、約1時間、その後、何度も眺めて微修正を繰り返すのに、約2時間といったところだ。

 嫌いな作業なら苦痛だろうが、私にとっては、全く苦にならない。

 たとえば、ジグソーパズルなど、全く生産性はないのに、趣味でやる人は結構いる。私が地図を描くのも、そんなものかも知れない。どうすれば分かりやすい地図ができるか考える課程を楽しめるのだ。

 もし、読者の中で、自身のホームページなどに掲載する地図がうまく作れないという人がいれば、遠慮なく、依頼してほしい。私にとっては、新しいプラモデルセットをもらったようなものだ。よろこんで、依頼に応えることができる。もちろん、無償だ。

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100万平方キロメートルの巨大な実験都市

 トヨタとソフトバンクが車の自動運転で提携するとのニュースが流れたが【東洋経済 「トヨタ×ソフトバンク」誕生の大きな意味】、中国では自動運転の実用化に向けて、上海近郊に実験都市を作って、実験を繰り返しているという。

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)では、その実験都市「自動運転シティ」について次のようなボードで解説していた。

 
山手線内側


 よく、面積を表すのに、○○平方キローメートルと言われてもピンと来ないため、「東京ドーム○個分」などと説明されることがあるが、ここでも、そのような説明がなされていた。

約100万平方キロメートル
(山手線内側の1.5倍)


 山手線の内側が、何平方キロメートルか知らないが、100万平方キロメートルと言えば、日本の面積37万平方キロメートルの3倍弱である。明らかに誤りとしか考えられない。

 調べてみると、山手線の内側は、63平方キロメートルであり【Wikipedia 面積の比較】、自動運転シティの面積は「100万」ではなく、「100」平方キロメートルだということが分かった。

 日本の面積が37万平方キロメートルというのは、小学生レベルの知識であり、スタジオのアナウンサー、コメンテーターも知らないはずはない。

 けれども、誰一人、この「100万平方キロメートル」の異様さに気づかないのだ。
 
 仮に、日本の面積を知らなくても、「100万平方キロメートル」といえば、縦横1000キロメートル四方であり、本州がすっぽり収まるほどの広さであることは分かるはずである。

 こんなことは、東京大阪間が約500キロメートルだという知識があれば、すぐに計算して分かるはずである。

 結局、彼らは、知識があっても、その知識に即して情報を自ら吟味することなく、そのまま受け入れているのだということを、鮮明に示している。

 先日の【1m×1m×2cmは、何リットル?】といい、【マグネシウムは、41ミリグラム】といい【何が起きても納得できる人】といい、マスコミの検証能力には眼を覆いたくなる。


霧の中

 東京電力は福島第一原発の敷地に流れ込む地下水が事故を起こした原発に汚染されることなく海へと排出されるよう、地下水バイパスを設けているそうなのだが、その説明図の一部が、これである【東京電量ホールディングス 地下水パイパスの概要】。

東電-地下水


 見た瞬間、コンタクトレンズが曇っているのかと思った。いや、さっきまで、ちゃんと見えていたのだから、そんなはずはない。では、私の眼に何か異常が発生したのか。思わず、モニターから眼を離して周囲を見渡したが、部屋の中は鮮明に見えている。

 原因は、こちら側にはない。どうやら、福島原発周辺に濃い霧が立ち込めているらしい。

 「分かりにくさが第一」のためのテクニックについては、以前の記事【分かりにくさが第一】に書いた。


宿泊施設なのに”泊まり放題”?

 こんな見出しの記事を見た。

宿泊施設なのに”泊まり放題”


 「なのに」というのは、「逆接」の言葉である。

 たとえば、「飲食施設なのに泊まり邦題」とか「競技場なのに泊まり邦題」とか、本来、宿泊を予定していない施設であれば、「・・・なのに泊まり放題」という表現も納得できる。だが、宿泊施設に泊まれるのは当たり前ではないか。

 では、筆者は、なぜ、ここで「なのに」という「逆接」の言葉を用いたのだろうか。

 記事を読んでいくと、「日曜日から木曜日に泊まり放題」のパスを販売したとある。

 USJや、ディズニーランドといったテーマパークが、年間パスポートを発行していることは、よく知られているが、ホテルや旅館では、これまで、そのような仕組みはなかった。

 筆者は、宿泊施設で泊まり「放題」というのはなかったところに、泊まり「放題」という仕組みが導入されたということで、「逆接」の「なのに」を用いたのである。

 筆者にとっては、年間パスの発行はホテル業界では画期的であるが故に、「なのに」としたかったのである。

 けれども、一般の読者から見ると、「泊まり放題」と書かれても、「放題」に着目するよりも、「泊まり」に目が行く。そうすると、宿泊施設に泊まれるのは当然ではないかと思えるので、なぜ、「なのに」か、不思議に感じるのである。

 冒頭に引用したのは、【民泊大学】というサイトの記事である。



オーケストラは理系のサークル活動?

 ノーベル医学生理学賞を受賞した本庶佑氏が学生時代に京大オーケストラでフルートを演奏していたことが話題となっているが、これに関連して、指揮者の篠崎靖男氏が、こんな一文を書いている【Business Journal オーケストラは理系出身者が多い?】。

 今回、本庶氏のノーベル賞受賞の報に接して、3年前に同楽団の指揮をした際のプログラムを引っ張り出してきてメンバー表を見てみると、驚くことに気付きました。なんと、100名くらいいるメンバーの3分の2が、理系なんです。そのなかで医・薬学部は10名くらいいます。特になぜか管楽器パートは理系の占める割合が高く、楽器によってはほぼ理系で占められています。オーケストラは理系のサークル活動と言えることは確かです。 


 篠崎氏が自ら指揮をしたことのある京大オーケストラのメンバー表を根拠に、「オーケストラは理系のサークル活動」という結論を述べているのだが、何とも牽強付会な理論である。どこが変なのか、根拠としてあげられている個々の事実を順に見て行こう。

【1】 100名くらいいるメンバーの3分の2が、理系

 そもそも、京大の学部学生の中で理系の割合が、どれくらいなのかを示さなければ、意味がない。

 仮に、学生の9割が理系だったとしたら、1割の文系の学生が、オーケストラの3分の1を占めているのだから、むしろ、「オーケストラは文系のサークル活動」ということになるだろう。

 実際に京大のウェブサイト【データで見る京都大学 学部学生数】で調べてみると、こうなっていた。なお、「メンバーの3分の2が、理系」というのは、「3年前」のメンバー表が根拠となっているので、学生数は、2015年度の数字である。

理系-2

 真ん中あたりの「総合人間」学部は、文系と理系とに分かれるのだが、統計表には各区分の人数が載っていなかったので、理系には入れていない。

 このように少なめに見ても、理系が、65.9%、概ね3分の2である。

 学生数に占める理系の割合も、オーケストラメンバーに占める理系の割合も、ともに3分の2なのだから、オーケストラは、理系文系、いずれか一方に親和的なサークルとは言えない。

【2】 医・薬学部は10名くらい

 医・薬学部の学生は、以下のとおり、全体の12.9%である。 

医薬系


 これに対して、オーケストラ100人中10人くらいが医・薬学部と言うのである。学生全体に占める医・薬学部生の割合より、若干、少ないのであり、どちらかと言えば、オーケストラは、医・薬学部生には「非親和的」という、筆者の主張と反対の結論が導かれる。

【3】 管楽器パートは理系の占める割合が高い

 管楽器パートは理系の占める割合が高いというのなら、当然のことながら、その反面、打楽器、弦楽器など他のパートでの理系の占める割合が低くなっているはずである。管楽器パートの話だけで、オーケストラは理系サークルというのは、とんでもない飛躍である。

【4】 楽器によってはほぼ理系で占められている

 特定の楽器の担当が全員理系だとしても、オーケストラは理系サークルという結論が出るはずもない。

---- 追記 2018.10.8 --------------------------------------------------------------------

 そもそも、篠崎氏の主張の前提となったのは、京大オーケストラのメンバー表である。

 仮に、京大オーケストラについて「理系のサークル活動」という結論が導かれたとしても、全国の大学のオーケストラ一般が「理系のサークル活動」と言える訳ではない。

---- 追記 2018.10.9 --------------------------------------------------------------------

 仮に筆者が一橋大学(商、経済、法、社会の文系学部のみ)のオーケストラのメンバー表を見たら、全員が文系であり、「オーケストラは文系のサークル活動」ということになるのだろうか。

 

日本列島の色分けは、こうする!

 日弁連のサイトでは、全国の弁護士会の相談センターの案内があり、そのトップ頁に日本地図があり、そこから地域を選べるようになっている【全国の日本弁護士連合会 弁護士会の法律相談センター】。
 
日弁連-地図

 これを見て、少し嬉しくなった。

 というのも、寒冷な地域から温暖な地域へと、寒色から暖色へと順に並んでおり、以前に私が書いた記事【色使いは、こうする】の内容を、実践しているからである。

 しかも、私が前の記事で書いたのと比べると、色相の幅が狭く、ずっと落ち着いた感じになっている。色相の幅は各サイト全体の雰囲気に適合するか否かの問題もあるので、どの幅が最善とは言えないが、これは、これで丁度よい幅になっている。

 私の個人的な感覚としては、西日本は、黄色、橙色などを使った方が、よりしっくり来るのだが、このあたりに来ると、「趣味の問題」であり、こうすべきだと、と言えるものではない。

 ただ、色使いとは別に、少し気になることがある。

 北方四島が記載されているのに、多数の日本国民が居住し、裁判所の支部もある、伊豆諸島、淡路島、隠岐の島、壱岐、対馬、五島列島、薩南諸島が抜け落ちている点だ。

 作成者は、おそらく、両端の北方四島と沖縄を入れなければ、という意識が強く、そこにのみ気をとられていたため、上記の島々を落としてしまったのだろう。

 それにしても、淡路島が抜けているのは理解しがたい。というのも、他の島々は、紙幅の都合上、落としてしまった、ということも考えられないではないのだが、淡路島に関する限り、そんなことは考えられないからである。
 
 





関電高浜原発の油漏れ事故の真相?

 8月19日の関電高浜原発の油漏れ事故についての虚偽報道に関して、8月26日に、【1m×1m×2cmは、何リットル?】という記事を書いた。その続報である。

 未読の方は、まず、この【1m×1m×2cmは、何リットル?】を読まれた上で、以下を読んでほしい。

 その後、上記の記事が守田敏也氏のブログ【明日に向けて(1580)高浜4号機が8月故障の発表の間違いを放置したまま再稼働!杜撰な再稼働にジャーナリストはもっと真剣に目を光らせるべきだ!】で紹介されたのだが、その記事の中で、8月30日付の関電の発表【高浜発電所4号機の原子炉起動予定および調整運転の開始予定について 2018.8.30】の中にある【図-4 タービン動補助給水ポンプの運動場の制限の逸脱】が紹介されていた。

 その図の中の油漏れの状況に関する説明部分を示す。

高浜-発表

 私が書いた記事は、【関西電力からのお知らせ 2018.8.19】を前提としたものなのだが、8月30日の関電の発表は、19日の発表とは微妙に異なっている。油の量に関する記述を抜き出すと、こうなる。

8.19  約1m×約1m×約2cmの油(約2リットル)
8.30  約2リットル(約1m×約1m×約2cm(最深部))


 19日の発表と異なり、30日の発表では、「最深部」という限定が付されている。
 
 仮に、約2cmというのが、「最深部」に限定した数字だとしたら、総量で「約2リットル」というのも、虚偽とは断定できなくなる。

 たとえば、約1m×約1mに広がった油の大部分が厚さ1mmで、一部だけ2cmだったとすれば、総量で「約2リットル」ということもあるのだ。下記の図は、現場を模式的に平面図にしたものだが、この図を見て、じっくり考えてほしい。
高浜-検討

 こうしてみると、関電が意図的に虚偽の発表を行ったわけではないような気もする。

 真相は、次のいずれかだろう。

 【1】 実際の油漏れは、約2リットルだった場合
    19日の発表では、ミスで「最深部」の記載が漏れていた。
    30日の発表では、正しく「最深部」と記載された。

 【2】 実際の油漏れは、約20リットルだった場合
    19日の発表では、計算ミスが原因で、あるいは、意図的に、約2リットルと発表した。
    30日の発表では、辻褄合わせのため、「最深部」という虚偽の限定を加えた。   
 
 いずれにせよ、19日の発表に誤りがあったのは明らかであり、関電は、事実関係を説明すべきである。

 なお、NHKや福井新聞などの報道機関は、「約1m×約1m×約2cm」という計算式は記事には記載せず、「約2リットル」という結論だけを記載していた。そうすると、仮に【1】だとすると、報道機関は、30日の関電の発表の前に、「約2cm」が「最深部」という情報を掴んでいて、「約2リットル」でも誤りではない、と判断していたのかもしれない。

 そうだとすると、私の前回の記事の指摘「検証不足」は、適切な指摘ではなかった、ということになる。

 けれども、それなら、なぜ、報道機関は、関電の発表前に「最深部」という情報を掴んでいたのかが謎であるし、19日の関電の発表の段階で「最深部」という限定が抜けていることを関電に対して指摘しなかったのはなぜか、という疑問が生じることになる。

○○みたいに▲▲しない

 癌の免疫療法薬オプジーボの開発につながる研究で本庶佑氏がノーベル医学生理学賞を受賞することになったが、高須クリニックの高須克弥院長が、自身が“全身がん”であることを公表し、次のように発言したとのことだ【スポーツ報知 2018.10.2 “全身がん”公表の高須院長、ノーベル賞・本庶氏開発の新薬は「選択肢の一つ」も副作用を指摘】。

 「僕は樹木希林さんみたいに放射線治療は選択してないけど癌はタイプにより治療法を選択するのが賢いんだぜ」


 「樹木希林さんみたいに放射線治療は選択してない」の部分が、分かりにくい。

 樹木希林は、放射線治療は選択したのか、していないのか。

 「○○みたいに▲▲でない」 「○○のように▲▲でない」 といった表現は、○○が▲▲なのか否か、分からない。

 冒頭の例は、次のように書けば、どちらの意味か明確になる。

   樹木希林さんと違って放射線治療は選択してない

   樹木希林さんと同じで放射線治療は選択してない

「共同で授与することが決まりました」

 今年のノーベル医学生理学賞が本庶氏と米国の研究者に授与されることが発表された。

 今朝のテレビでは、こう画面に出ていた。

ノーベル医学生理学賞をジェームス・アリソン氏と本庶佑氏に共同で授与することが決まりました


ノーベル賞

 授与したのは、ノーベル財団だから、「共同で授与する」ではなく、「単独で授与する」ではないのか?

 おそらく、ノーベル財団の発表を、翻訳したのだろう。

The Nobel Assembly at Karolinska Institutet has today decided to award the 2018 Nobel Prize in Physiology or Medicine jointly to James P. Allison and Tasuku Honjo


 つまり、「jointly」は「to」を修飾しているのに、「award」を修飾するように訳してしまった「誤訳」ということだ。

「共同で授与」というと、授与の主体が複数だということになってしまう。授与の相手方が複数の場合に使うべき言葉ではない。ここは、「共同で」ではなく、「両者に」とすべきだろう。どうしても「共同で」にしたければ、「授与される」と受け身にすべきだろう。

 A、B → C  AとBが共同でCに授与する

 A → B、C  AがBとCの両者に授与する
 A → B、C  AによってBとCが共同で授与される

 と書いたものの、「共同で」というのは、主体的な行為について言われるのが普通であって、受動的な場合に使うのは不自然な感じがする。




グラデーションは、こうする

 今朝のテレビ【羽鳥慎一モーニングショー】の台風予報で、こんな図が出ていた。

雨風-1


 風雨の強さを、色のグラデーションで示しているのだが、どうも、しっくり来ない。

 風の方は、両極が水色と赤紫で、左から右までの色の変化が激しすぎ、落ち着かない。

 雨の方は、8mmを境に青と黄色で、色の違いが大き過ぎて、右の色になるほど、少しずつ、雨量が大きくなっているということが読み取りにくい。

 こんなときは、下記のようにすれば、よい。

雨風-2


 まず、色の三原色を全部使うのではなく、赤と青の二つだけにしたので、落ち着いた感じがする。

 次に、隣り合った色同士の色相の隔たりが大きくないので、少しずつ、風雨が強くなっていることが理解しやすくなっている。

 色のグラデーションについては、以前の記事にも書いたことがある。

 【色使いは、こうする
 【赤い州、青い州
 【グラデーションのフェイント

数字の効用

 裁判文書で項目に番号をつける場合、次のようにつけるのが正しいとされている【裁判文書(裁判所提出書類)の標準的な書式,表記法】。
 

 第1,第2,・・
  1,2,・・
    (1),(2),・・
     ア,イ,・・
      (ア),(イ),・・
       a,b,・・
        (a),(b),・・


 普段は、(1),(2),・・までで十分だが、たまに、下の階層も使いたくなることがある。

 その場合、私は、 (ア),(イ),・・を使わず、①②・・を使っている。

 上の3階層は数字なのに、途中でカタカナというのに違和感を感じるのと、カタカナだと、たとえば、キとかケを単独で目にした場合、どちらが先か一瞬、迷うからである。

 ときおり、文書によっては、い、ろ、は・・を使っている場合もあるが、「へ」と「ち」のどちらが先かというのは、頭から「いろはにほへと・・・」と思い出さないと駄目である。

 アルファベットでも、「K」と「H」の前後関係なども、「HIJK」と順に思い起こさないと分からないが、「ABC」から始める必要はないし、Fくらいまでだったら、順番は、すぐに分かる。

 他方、数字は、二桁までなら、その前後関係は一瞬にして理解できる。

 そういうわけで、裁判所に出す文書も、常に数字で通している。

個人、会社、2通必要です

 先日、委任状を作成して依頼者の方に送った。

 「送った」といっても、メールに添付したのだが、メールの本文に、次のように書いた。

添付の委任状に記名捺印の上、お届け下さい。

・個人、会社、2通必要です。


 個人としての依頼者の方と、その方が代表取締役を務める会社が、ともに裁判の当事者となるため、個人としての委任状と会社としての委任状の計2通の委任状が必要なのである。

 しばらくして、こんなメールが返ってきた。

 2通というのは、それぞれ、2通いるということですか?


 尋ねられてみれば、そんな疑問を抱かれても仕方ない。

 こう書けばよかったのだ。
 

添付の委任状に記名捺印の上、お届け下さい。

・個人、会社、各1通、必要です。


 要するに、単に「2通」と書いた場合、次のいずれとも解されるので、そのことを明示しなければ、受け取った側が迷う場合があるということである。
  ・ 各2通
  ・ 合計2通 


情報は至近距離で対応させる

 毎年10月初旬は、ノーベル賞の発表の時期である。ネットで、ノーベル財団が公表した各賞の発表日時が掲載されていたのだが、現地時間が記載されているだけで、日本時間で何時になるかは載っていない【日本の科学と技術】。

 記憶では、ヨーロッパ大陸は、ほとんどの国で、時差は8時間(ただし、夏時間のときは7時間)だったはずなのだが、念のため、ネットで調べてみることにした。

 【世界の時差表】というサイトに掲載されていたのが、下の左の【1】の図で、それに手を加えたのが、右の【2】の図だ。

【1】時差-1     【2】時差-2


 【1】では、ベルリン、パリといったヨーロッパの中心部がどの区分に入るのかは地図の下に並んでいる、日本との時差の数字と照らし合わさなければ分からない。ところが、時間帯を区分する線は陸地の上には引かれていないため、いったい、どの区分に入るのか判然としない。
 
 もちろん、ロンドンを含む時間帯の左側の線は、上から下まで貫通しているので、そこから数えていけば、ヨーロッパの中心部が「-8」(日本より、8時間遅い)であることは分からないではない。

 そもそも、南半球より北半球の国の時差を知りたいという需要の方が遙かに多いはずなのに、南半球側つまり下側にだけ時差の数字を記載するのが間違いなのである。 

 【2】のようにしておけば、ヨーロッパの時差は、すぐに分かるのだ。

 情報は、相互に結びつけられてこそ、意味がある。そして、その結びつきを表現する方法は色々あるが、情報と情報とが相互に近接した位置になければ、視線を行ったり来たりさせなければならず、不便であるし、間違いも起こりやすい。

 「情報は至近距離で対応させる」ということの重要性については、下の二つの記事にも書いたとおりである。

   【写真の解説は、こうする
   【営業時間の表示は、こうする

再び、スペースの効用

 【うまい肉 全部知ってたら相当"肉通"!部位別「牛ホルモン」全19種、美味しさと食感を比べてみた】というサイトに、牛ホルモンの各部位の説明が載っており、硬さについては記号で説明している。

(1)タン
言わずと知れた牛の舌。先端は油が少なくさっぱりしているが、根元は脂が多く柔らかい。
柔らかい○●○○○硬い

(2)カシラ
頬の部分の肉で脂肪が多いのが特徴。よく動かす部分のため硬いが旨味は強い。
柔らかい○○●○○硬い

(3)ショクドウ
食道部分だが、赤身肉に近い食感と味わいで脂の感じもほとんどない。
柔らかい●○○○○硬い


 硬さ、辛さ、甘さの程度を表現するのに、上記のような方法は、よく行われている。

 だが、上記の図は、記号の並びが前後の文字と一体化して分かりにくい。

 次のように、スペースを入れれば、ずっと分かりやすくなる。

(1)タン
言わずと知れた牛の舌。先端は油が少なくさっぱりしているが、根元は脂が多く柔らかい。
柔らかい  ○●○○○  硬い

(2)カシラ
頬の部分の肉で脂肪が多いのが特徴。よく動かす部分のため硬いが旨味は強い。
柔らかい  ○○●○○  硬い

(3)ショクドウ
食道部分だが、赤身肉に近い食感と味わいで脂の感じもほとんどない。
柔らかい  ●○○○○  硬い


 こうなっていれば、タンが5段階で2番目の柔らかさであることは一瞬に読み取れる。

 なお、スペースの効用については、以前にも書いた。

 【スペースの効用



名詞は漢字に限る

 最近、将棋関係の文章を素材にすることが多くなったが、今日も、そうだ。

 先崎学という羽生世代では珍しくタイトルをとっていないものの、文才に目覚めて週刊文春に連載をもっていたほどの人の「摩訶不思議な棋士の脳」というエッセイ集からの引用だ。

 昨年、羽生王座からタイトルを奪った中村太地が、その5年前に羽生棋聖に挑戦することになったときのことを書いているのだが、こんな一節がある。

将来の将棋界を担うべき大器が大舞台に初見参するわけで、個人的にも大いに注目している。勝ったら、夏にはもでもオゴってもらおうかと思っている。


 「夏には」とあるので、夏に何かをするのかとおもったら、「もでもオゴってもうおうか」とあり、意味が通じない。読み返すと、「はも(鱧)」であることが分かる。

 ここは、漢字か、カタカナで書くべきである。

 これまでも何度となく書いているのだが、日本語の可読性は、漢字仮名混じり文であることに支えられている。

 平仮名が、ベターッと続いていたら、単語の切れ目が分からなくなる。大まかに言えば、名詞と動詞を漢字、その他を平仮名とすることによって、単語の切れ目が明確になり、読みやすくなるのだ。

 ちなみに、ほとんど平仮名ばかりの小学校1年生の国語の教科書では、こうなっている【なかがわえりこ「くじらぐも」】。

鯨

 単語の切れ目にスペースを入れて可読性を高めているのである。

 可読性を高める手段としては、次のような方法がある。
  【1】 漢字と平仮名の使い分け
  【2】 スペース
  【3】 区切り文字(読点、括弧、など)



三条木屋町界隈の地図

 京都の三条木屋町界隈は、幕末の動乱の舞台であり、志士たちの寓居跡や著名事件の碑などが、あちこちにある。

 さきほど、ネットで【那覇高校第26期同期会掲示板 三条木屋町界隈2】という記事を見かけたのだが、それを読んで位置関係を把握するのは相当に疲れる。

 字面を追っていても全く理解できない。読みながら頭の中に地図を描いて行くという作業を行わなければ、到底、分かった気にならない。

 そんなとき、簡単な地図でも載せてくれていたら、どんなに理解しやすいことだろうと思う。

 そこで、自分でも内容を理解するために、記事を元に簡単な地図を描いてみた。

幕末-2


 文字情報だけだと、位置関係などを頭に入れるのは相当に苦労するが、地図で示されたら、一瞬にして理解できるし、記憶にも残る。

 裁判所に出す書面でも、同じことが言える。

 もう10年以上前のことだが、不動産関係の訴訟で事実関係が錯綜していたのを準備書面に図解して整理したことがある。

 結局、和解の話になったのだが、その協議の席上、裁判官は、私が作成した図を手元に広げたまま、ときおり図面に目を落としながら話をしていた。

 文字情報だけなら、どこに何が書いてあるのかを捜すだけでも時間が掛かるのだが、図にしていれば、嫌でも記憶に残るし、記憶が薄れても、図を見れば一瞬のうちに、理解することができるだ。

 また、国会の論戦でも、議員が図表が書かれたフリップを示しながら質問している光景は日常的なことになったが、30年、40年前には考えられなかったことである。

 図表の重要性が社会一般に認識されるようになったのは喜ばしいことではあるが、「分かりやすい」ということは、反面「騙しやすい」ということでもあるので、図表の作成の過程で真実が歪められていないか、注意が必要である。

 この点については、以前の記事【「分かりやすさ」と情報操作】を参照されたい。

  本日の要点  

   図表で表現できるものは、図表にする。物理的位置関係の説明には、必須。
 
   図表を見る際は、誇張、歪曲、印象操作に最新の注意を払う。

 

直線の傾きに関する認識の精度

 先日の【円グラフは、こう描く】で、制度に対する賛否のアンケートを円グラフにする場合は、時計の12時を起点に、賛成を時計回り、反対を反時計回りの扇形で評点するのが、賛否の大小関係を把握しやすいということを述べた。

 そして、なぜ、そうか、ということを考察して、図解した。

 結局、人間の目は、水平方向の直線については、僅かでも傾いて入れば、それを水平でないと認識できるのに対して、たとえば、斜め45度の直線については、プラスマイナス2、3度の傾きがあったとしても、それを認識できない、と言うことに起因するようだ。

 実際、カレンダーを壁に掛ける場合、ぱっと見て、傾いていると感じる場合でも、左右で上下に1ミリ程度の差しかなく、角度にすれば、小数点以下の角度の傾きでしかないのである。
 

訂正は、こうする

 よく、メールを受けってしばらくして、前のメールの文言を訂正する旨のメールを受け取ることがある。

 訂正の仕方は、人それぞれだが、ときに、こんな訂正のメールが来ることがある。

【1】 

分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。
→分かりやすさが第一であることは言うまでもないことです。


 ぱっと見、どこが訂正されたのか、分からない。

 訂正の前後の文字列が、上下に並んでいるので、上下の文字を対応させて、異なっているところがないかを捜すのだが、下の文字列が一文字分、右にずれているので、結構、面倒な作業だ。「分」「か」「り」「や」・・・と、順に一文字ずつ確認して、ようやく、1行目が「な」、2行目が「も」と異なっているのに気づき、「も」が抜けていたということが分かる。

 では、こんなふうに書かれていたら、どうだろう。

【2】 

 分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。
→ 分かりやすさが第一であることは言うまでもないことです。


 左右にずれずに、まっすぐ上下に並んでいるので、対応づけるのも一瞬のことだ。一瞬のうちに、「な」と「も」が上下に並んでいるのが分かり、そこが、訂正箇所だと分かるのだ。

 さらに分かりやすくしようと思ったら、つぎのようにすれば、完璧だ。

【3】 

 分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。
 分かりやすさが第一であることは言うまでいことです。
→ 分かりやすさが第一であることは言うまでもないことです。


【4】 

 分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。

→ 分かりやすさが第一であることは言うまでもないことです。


【5】 

 分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。

→ 分かりやすさが第一であることは言うまでないことです。



 さらに、面倒ではあるが、こんな方法もある。

【6】
 校正-3
 
【3】~【6】は、絶対これ! という程のものでもない。

 島朗著「」頁からの引用だ。

教えられたことはあるが

タイトル獲得ならず

 【毎日 2018.9.3 将棋 藤井七段、菅井王位に敗れる タイトル獲得ならず】という記事があった。

 将棋のタイトル戦というのは、概ね、次のような段階を踏んでいる。
  ・ 一次予選
  ・ 二次予選
  ・ 挑戦者決定戦
  ・ タイトル保持者と挑戦者との七番(五番)勝負

 「タイトル獲得ならず」というのは、理屈の上では、一次予選の緒戦で敗退した場合から、七番勝負で3勝4敗に終わり、タイトルが獲得できなかった場合までの全ての場合を含む。

 けれども、「タイトル獲得ならず」と言われると、普通は、タイトル保持者との番勝負に望んだが、敗退したのだと思ってしまう。実際は、藤井七段は挑戦者決定戦の二回戦で敗退したのだった。その点では、この見出しは、「ミスリード」というべきである。

 「100%完成したという訳ではない」と言われれば、90%くらいはできていると思うが、1%しかできていなくとも、形式的には、「嘘」ではない。

 「私は酒を全く飲まないわけではない」と言われれば、その人が酒豪だとは誰も思わないだろう。

 「最高裁には行ったことがありません」と言われれば、地裁には行ったことがあるのだろうと思ってしまう。

 一般化するために、ある事柄について、両極をゼロ、100とし、その間に、1から99まで、様々な状況があり得るとする。

 「100ではない」と言えば、98か99、どんなに下でも、90程度だろうと思い込む。ところが、現実は、10のこともあれば、ゼロのことだってあり得るのだ。

 けれども、本当は5や10なのに、「100ではない」という言ったり、書いたりする人がおり、それが意図したものであれ、無意識のものであれ、見聞きした側は、少なくとも、90以上だと思いがちなので、要注意である。





円グラフは、こう描く

 これまでも何度かブログの素材に取り上げた雑誌「弁護士ドットコム」に、司法取引に関する、弁護士へのアンケート結果が載っていた。

司法取引-1


 これを見て、もっと分かりやすくすればいいのにと思い、作り直してみた。 

司法取引-2


 これなら、見た瞬間に、以下のことが分かる。

  ・ 反対が賛成より若干多いこと
  ・ 積極的反対は積極的賛成の5倍ほどあること

 なぜ、そういうことが、すぐに分かるのかというと、次のようにしたからだ。

  【1】 賛否のどちらも、時計の12時の所を起点として、賛成は時計回り、反対は反時計回りとなっていること
  【2】 賛否それぞれの中では、賛否の強弱を同系色の色の濃淡で示したこと

 上記【1】なしに、【2】、すなわち色だけ変えても、不十分である。

司法取引-3


 赤と青、どちらが大きいか、判別するのは困難だ。一つ上のグラフだと、赤の方が大きいことは明らかである。なぜだろうか。次の図の書き込みをみてほしい。

司法取引-4

 結局、円グラフの中の扇形の大きさを判断するのに、中心角を直接に認識するのではなく、左の円グラフで言うと、扇形を構成する円弧の端の部分が、どこまで下に来ているかを見て、大きい小さいを判断しているのだ。つまり、円弧の端を通る水平の赤い線と青い線の上下関係で大きさを判断しているのだ。

 ところが、右の円グラフで同様のことをしようとしても、それぞれの円弧の端を通る赤の線と青の線を頭の中で描くことができず、比較ができないのである。赤や青の線は、単に円弧の端を通ればよい、というわけではなく、薄い青と薄い赤の境界線を左上方向に延長したものに垂直に描く必要があるのだが、それを頭の中だけでするのは困難なのだ。

 下手に頭の中で考えたら、青の線を上に書いてしまい、その結果、青の方が大きいと誤解しかねない。

 
司法取引-5

 今回の手法は、ある特定の事項に関する賛否のように、大まかに、二つのグループに分けられる場合のグラフに用いると効果的である。例えば、与野党の得票率を示すグラフは、このように書くのが分かりやすい。 

選挙・円グラフ

 これを、一番上のグラフのような書き方をしたのでは、訳が分からなくなる。




 

何が起きても納得できる人

 今朝のテレビ(羽鳥慎一モーニングショー)で、一昨日に出版さればかりというのに既にミリオンセラーになった「FEAR」というトランプ政権内の暴露本のことを取り上げていた。

 著者は、44年前にニクソン大統領を辞任に追い込んだウォーターゲート事件を暴いたウッドワードという著名なジャーナリストで、政権内の高官から直接に取材して書かれたという。

 例えば、「トランプは小学校5年生並みの知識しかない」とある高官が話していたとか、トランプが在韓米軍の家族を帰国させるということをツイッターで発信しそうになったので、そんなことをしたら北朝鮮は攻撃の合図と受け取り本当に戦争になりかねないと言うことで周囲の人間が必死になってやめさせたとか、興味深い話が紹介されていた。

 本の内容の紹介に続いて、番組の中では、「政治評論家」が、こんなことを言っていた。

アメリカではね、100年に1回くらい、トランプ的な人間が出てくるんですよ。規則的に。だって、アンドリュージャクソンという19世紀半ばの政治家、トランプ、大好きだけど。それも同じような人。そういった人と同じパターンだと考えれば、まあ、ありうるのかな。


 これを聞いた瞬間、私は、呆れてしまった。

 100年に1回というが、アメリカは、建国250年足らずだから、多くても、3回である。しかも、例に挙げたのは、たった1人だけである。それだけで、「規則的に」トランプ的な人物が出て来る、従って、トランプが本に書かれているような人物であったとしても不思議ではない、と言うのである。

 こういうのを、あまり品のいい呼び方ではないが、「よた話」というのであろう。

 こんな「論理」が罷り通るなら、どんな社会事象でも、「○○年に1回、規則的に、出てくる」と言って、○○年前の同種事例をひとつでも挙げれば、現時点で同様の事例が生じているのも当然だ、ということになってしまう。

 この評論家は、例えばの話、今日にでも横浜で外国人が日本刀で切りつけられる事件が起きたら、こういうのだろう。

横浜では、150年に1回、こういった事件が起きるんです。規則的に。だって、150年前、生麦事件というのがあったでしょ。今回の事件が起きたのも不思議ではない。


 こんな発言をする人が「評論家」としてテレビに登場していいのだろうか。

 テレビ番組は、政治問題、社会問題に対する考察を視聴者に深めてもらうことを目的にしているのではなく、「なんとなく分かった気」にさせ、また、「明日も、その番組を見ようという気」にさせることを目的としているのであるから、こんな評論家を登場させたのは的確な人選なのかもしれない。

 でも、なんだか空しくなりませんか?

 
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「最終勝残者」と「最多連勝者」  「雰囲気」で区別する

 次の図は、将棋の銀河戦の決勝トーナメント表の一部である【日本将棋連盟 第26期銀河戦 決勝トーナメント】。
 
 
トーナメント


 各棋士の名前の下に、予選の、どのブロックから、どういう資格で、決勝トーナメントに進出したかが書かれているのだが、資格を表現する「最終勝残者」と「最多連勝者」というのが、ぱっと見には、同じように見えてしまう。

 原因は、
    どちらも5文字の漢字であること、
    1文字目と5文字目は、それぞれ双方、同じ漢字であり、
    3文字目と4文字目という違いはあるが、「勝」という同じ漢字が使われているため、
全体として似たような印象を与えるからである。

 以前、【あざいお市マラソン】で、英文の文字列で、例えば、「understnad 」とか、「Uinervtisy」といった単語が、綴りが誤っているにも関わらず、正しい単語として認識されてしまうという例をあげたが、文を読む際、多くの人は「雰囲気」で読んでいるのである。

 だから、「最終勝残者」と「最多連勝者」のように「同じ雰囲気」の文字列は同じように見えて、すぐには識別できず、識別するには、一文字一文字を確認する作業が必要になるのである。

 読み手に、そのような負担をかけることなく識別してもらうには、「雰囲気」を変えるしかない。

 たとえば、「勝残者」と「最多連勝者」のようにすれば、3文字と5文字で「雰囲気」は、ガラッと変わり、容易に識別できることになる。

 
トーナメント       トーナメント-1


 しかも、意味としても、常識的に考えて、「勝残者」は[最終勝残者」と同じと考えられるのであるから、「分かりやすさ」のために、厳密さを犠牲にしている訳でもない。

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微妙な違いに気づけるか

 ネットで、あるブログ記事を読んでいたのだが、文字が読みにくい。

 ある部分は普通に読めるのだが、途中から数行が薄くなっており、また、その下は普通の濃さになっているのだ。

 私の目の方が少し異常なのかと不安になり、画面をスクロールさせたり、画面を切り取ってエクセルの画面に貼り付けて見比べてみたのだが、私の目に問題があるのではなく、そもそも、元の文字の色に濃淡があることが分かった。
 
 具体的には、こんな具合だ【野村修也のブログ寺子屋 スマート農業】。
 
文字濃淡

 明らかに、2行目の3文字目「時には」から色が薄くなっている。

 念のため、その記事のソースコード(画面に文字を表示するに際して、画面に表示される文字列そのものと、表示される文字の大きさ、色などの指定をする文字列とが一体となった文字列)を調べてみると、「時には」の前と後とで、色の指定が異なっていた。

 なぜ、そんなことが起きたのかは分からないが、筆者が意図的に文字の色を薄くしたとは考えがたい。

 このブログもそうだが、ブログ記事を書く場合、普通は、ブログ提供サービスの運営者が提供してくれるテンプレート(書式のようなもの)を利用している。

 そのテンプレートを使いながらも、自分で様々な微調整ができるのだが、テンプレートの利用に習熟しない間は、意図せぬ所で、文字の大きさや色が変わったりして戸惑うことになる。

 そうなったら、文字の大きさ、色などの余分な修飾を全部とってしまえば、元に戻るのだが、微妙な変化だと意図せぬ変化に本人が気づかず、そのままにブログ記事として公開してしまうことになる。

 おそらく、上記の記事の筆者は、文字の色の違いに気づかなかったのかも知れない。

 こういう点は、本人のもって生まれた能力の問題もあり、努力で克服できない部分もあるだろうが、能力の範囲内で、努力によって克服できる部分もあるはずである。常に読み手のことを考えていれば、少しずつでも、能力も磨かれてくるのではないだろうか。




「理論を頭の中ですべて構築」?

 一昨日に続いて「文系の壁」125頁からの引用だ。養老氏の対談相手の鈴木健氏【Wikipedia】の発言だ。

ノイマンはものすごく頭のいい人で、理論を頭の中ですべて構築しました。


 「頭の中ですべて構築」というのは、どういう意味か?

 一応、考えられるのは、次の四つだ。

 【1】 思考の過程を紙に書いたりなどしなかった
 【2】 同僚の学者らと議論をしたりしなかった
 【3】 考えるに際して、模型などを用いなかった
 【4】 実験などせずに、理論だけを突き詰めていった

 昨日の記事で引用した言葉を借りれば、「解像度の低い」表現であるが故に、いったい、何を指しているのか分からないため、こうして、読み手の側が、あれかこれか、と考えなければいけないのである。

 その後、ネットで調べてみると、ノーベル物理学賞を受賞した南部陽一郎が、上記の【1】【2】の特徴を備えており、かつ、湯川秀樹や朝永振一郎をも超える天才的物理学者と評価する人もいることが分かった【どこがスゴイか 南部陽一郎】。

 また、ノイマン自身も、6歳で7桁から8桁の掛け算を筆算で行ったと言う話【Wikipedia】や、原典ははっきりしないが、8桁の割り算を暗算でしたという話もある【天才の世界Ⅱ~歴史上の天才~】。
 
 そうすると、鈴木氏も、【1】【2】の意味で「頭の中ですべて構築」という言葉を使ったのかも知れないが、本人に直接、問い合わせない限り、分からない。

 対談相手の養老氏は、「頭の中ですべて構築」だけで理解できたため、対談を書籍に収録するに当たって、そのまま記載したのだろうが、一般読者のためには、もう少し、丁寧な説明をしてほしいところである。

 あれこれ書いてきたが、ノイマンの頭の程度がどれくらいだったのか自体は、本論とは関係ないことなので、こういうところで引っかかっていると、なかなか読み進めていくことができない。

 本を読むときには、書き手が完璧ということはないのだから、「分かりにくい表現」を理解しようとして時間をかけるのはもったいないことであり、さらっと流して読み進めていかなければならない。

 以前、ある俳優が、舞台を見ても、演出や演技の巧拙の細部が気になって、なかなか、舞台そのものを楽しむことができないと言っていた。

 私も、常に「分かりやすさ」を考えていると、つい、文章を読む際に、「分かりにくい表現」にばかり気が散ってしまい、中身について考えるゆとりがなくなってしまいそうである。

 とはいえ、一度、踏み入れたこの世界から足を洗うことができそうにない。こうなったら、開き直って、この道を、とことん突き詰めてみるのもいいか、と思った次第である。

文章表現の解像度

 このブログと同じく「分かりやすさ」について書いてあるブログをネットで検索することがあるのだが、なかなか、これはいい、と思えるブログに行き当たることは少なかった。

 ところが、昨日見つけた【エッフェソイヤ 話の分かりやすさの本質は、情報の解像度にある】というブログ記事は、非常に分かりやすく本質を捉えていたので、かなり長文になるが、ぜひ、読んで欲しい。

 ざっくり内容を説明すると、文章の精緻さを、画面の解像度になぞらえて、文章の解像度が読み手の読解力と比べて高すぎたり、低すぎたりすると、読み手に的確に情報が伝わらない、従って、常に読み手の読解力に留意すべきである、というものである。

 私が、このブログで書いてきたことを、ある意味では、より的確に表現してくれていて、正直、「参った!」という気持ちにもなったのだが、では、そのブログの筆者が書いた文章が、「分かりやすさ」の点で、何の問題もないかというと、必ずしも、そうではない。

 そのブログの記事の中に、筆者が文章を書く際に、①②・・・と、いくつかの段階を踏んでいることを説明した後に、次の一文があったのだ。

例えば、今書いている記事の、①〜②の段階はこのような感じです。


 私は、「今書いている記事」というのは、まさに私が引用している記事そのものだと受け取って、その続きを読んだのだか、続きを読んでいくと、いきなりゲームの話が出てきたので、それまでの文章との繋がりが分からなくなり、戸惑った。

 一呼吸置いて見直すと、「今書いている記事」というのは、「これから発表するために、今書いている記事」ということで、私が引用した記事とは別に執筆中の記事のことだと理解できた。

 また、文章の解像度について、次のような記載があった。

僕は、この解像度が、画像だけではなく、話や文章にもあると思っています。
例えば、同じ”青”について話す時も、

解像度高:シアン、コバルトブルー、マリンブルー、エメラルドブルー、藍色、群青色、空色
解像度中:青、水色
解像度低:青
解像度最低:色

など、情報の細かさや、詳しさに様々なレベルがあります。


 最初の3つは、すんなり理解できたのだが、最後の「色」で首を傾げてしまった。

 最初の3つの例は、色彩に関する表現の解像度の違いの具体例として適切なものだが、最後の例の「色」というのは、明らかに不適切だ。「色」というのは、「大きさ」「形」というのと同じく、属性そのもののカテゴリーを表現するものであり、「色」の中で、「コバルトブルーとか、ただの青とか、いろいろなレベルの解像度があるのだから、この「色」というのは不適切ではないか、そう考えた。

 だが、改めて考えると、解像度に様々あるという例として掲げられているのだから、ここの「色」というのは、カラーシャツという場合の「カラー」と同じく、真っ白ではない、という意味で使われているのだと気づいた。

 結論から言えば、私が十分に文脈を踏まえた読み方をしていなかったために生じた誤読だったのであるが、これまでも、何度も触れてきたように、文脈を十分に理解していない人にも、一義的に理解できるような表現を用いるのが「親切」というものである。

 では、ここでは、どう表現すればよかったかというと、単なる「色」ではなく、「色つき」あるいは「カラー」という表現がよかっただろう。「カラー」と言えば、「カラーシャツ」のように、「白以外の色」を指すものと通常、受け止められているからである。

 なお、文脈への依存は回避すべきだということは、 【目を覚ましたメリーは、・・・】にも、書いたことがある。

 さらに、こんな記述もあった。

"いや、もう少し分かりやすく話せるだろ…”

と思う場合で多いのは、
解像度の低い人の話、
というよりは、
それなりにしっかり勉強している人の解像度が高すぎる場合
が多いです。



 言いたいことは、よく分かるし、私も、多分そうなのだろうと思う。

 だが、見てのとおり、「多いのは、」に対応する述語が存在しない。

 文末の「が多いです。」を単に「です。」とすれば、主語と述語とが対応して、落ち着きのある文になる。

 おそらく、筆者は、常日頃、そういった例が非常に「多い」と感じていたために、思わず、「多い」という単語を二重に使ってしまったのだろう。

 こういった心理はよく分かるし、私も、先日の記事【可食してもよい】で、「明らかに」を一文の中に二度も使いそうになったことを取り上げたばかりである。

 それだけに、思い入れの強い文章を書くときほど、要注意ということである。

 ところで、このブログの皆さんに読むことを奨めておきながら、そのブログの記事の「分かりにくさ」を3つも指摘したのは、常日頃「分かりやすさ」に留意しているはずの人でさえ、ときに分かりにくい文章を書いてしまうという例を示すことによって、どれほど、「分かりやすさ」に気を付けても、それで満足ということにはならない、ということを言いたかったからである。

 私自身も、自分では、結構いい記事をかけたな、と思っていても、友人から、その私の記事が「分かりにくい」という指摘を受けることが度々あるのだ。


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欧米では・・・

  「欧米では・・・」というのは、私が子どもの頃から何度も聞いた、自己の見解を正当化するための常套句だ。

 「欧米」と言っても、おそらく、アメリカのことだったのだろうが、当時は、経済的にもアメリカに圧倒されていたわけで、「欧米では・・・」と言いたくなる大人達の気持ちも分からないではなかった。

 その後の高度成長を経て、80年代に入ると、アメリカの自動車産業の労働者が日本車を叩き潰すシーンなどをテレビで見かけたり、バブル期には、日本企業が、アメリカの富の象徴とも言うべきロックフェラーセンターを買収したという報道がなされるなどして、日本人も、自信を付けたようで、「欧米では・・・」という言葉を見聞きする機会も減っていった。

 ところが、今日、久々に、この「欧米では・・・」に遭遇した。養老孟司の「文系の壁」42頁の一節だ。
 

 欧米では、木でできた車のおもちゃを小さな子供がもらったら、周りの大人は「この車の色はお前が決めるんだ」と言います。小さい頃から、行為の主体が誰かをはっきりさせる訓練をしているのです。


 いったい、全部で50数カ国ある欧米の、何カ国で、そういう習慣があるというのだろうか。

 仮に、アメリカ一国に限ったとして、車の色の話は、いったい、何人のアメリカ人から具体的な話を聞いたのだろうか。
 
 例えば、死刑廃止論を論じるに当たって、「欧米では・・・」というのは、国ごとの制度を問題にしており、その内容自体の真偽は明らかであり、議論を正当化する論拠とするのもいいだろう。もちろん、欧米で多数だからと言って、直ちに日本も習うべきかというと、必ずしもそうではないが、話に持ち出すこと自体は、まあ、いいだろう。 
 
 これに対して、車のおもちゃの話は、実証的な裏付けのない話だろう。まさか、EUで、国民性の調査を行い、そこに、車のおもちゃに関する質問があって、多数が、上記のような回答をした、という訳ではあるまい。

 おそらく、養老氏は、様々な実例から、「小さい頃から、行為の主体が誰かをはっきりさせる訓練をしている」という結論を導いたのであるが、それを論じるに当たって、その実例の一つを持ち出したのか、適当に創作したのか、いずれかだろう。

 せっかく、この辺りまでは、概ね、「なるほど、なるほど・・・」と思いながら読み進めてきたのに、途端に、「この人の言うことを鵜呑みにするのは危ないな」と認識を改めた次第である。

 

100000パスカル ???

 昨日に引き続き、単位の話だ。
 
 こんな記述があった【面白くて眠れなくなる物理パズル】。

 すると、まわりからの圧力は大気圧の約100000パスカルになってしまい、体内の圧力がうまく調整されません。2100000パスカルだったとすると、体内外の圧力差が2000000パスカルも体内から外に向かうことになります。


 ゼロがずらっと並んでいるのを見ただけで、嫌になった。だからといって、先を読まずに済ますのも気持ちが悪い。「いち、じゅう、ひゃく、・・・」と端から数えて、ようやく、最初の数字が10万パスカルだということが分かる。次が210万パスカルで、最後が、200万パスカルだ。

 物理学を、「分かりやすく」説明することを目的として書かれた書籍なのに、この有様だ。

 圧力の単位「パスカル」は、台風のときの「ヘクトパスカル」という言葉で一般にも馴染みがある。1ヘクトパスカルは、100パスカルだから、最初の数字は、1000ヘクトパスカル、順に、21000ヘクトパスカル、20000ヘクトパスカルと表現できる。

 こちらの方が、遙かに分かりやすい。

 分かりやすさの理由は、次の2点である。
   ・ 数字のゼロが、最大4個であること
   ・ 天気予報でお馴染みの、「ヘクトパスカル」という言葉が使われていること

 改訂版は、上記のように直してもらうしかない。

 

タウリン1000ミリグラム

 以前、【マグネシウムは、41ミリグラム】という記事を書いたが、仮に、41ミリグラムでなく、「0.041グラム」だったら、あのとき「凄い!」と感嘆していたタレントも、それほどには感嘆しなかったのではなかろうか。

 リポビタンDのCMで、「タウリン1000ミリグラム配合」という言葉が耳に焼き付いている人は多いと思うが、これなども、1グラムと表現すれば足りるところを、ことさら、大きな数字を使って、たくさん含まれているのだという印象を与えるだけのものだと思っていた。

 実は、「タウリン1000ミリグラム配合」というのが栄養ドリンクのCMだというところまでは分かっていたのだが、具体的に何というのだったか思い出せなかったので、この記事を書くに当たって、ネットで調べて、リポビタンDだと分かったのだが、そのとき、思いがけない内容の記事に遭遇した。

 【「タウリン1000mg配合」は「1g」ではない!】という記事で、以下のように、1グラムではなく1000ミリグラムとしているのを擁護するような内容の記事である。

 

 1000mg配合と1g配合では同じ意味ではない。誤差範囲が異なるのだ。
 1g配合だと、有効数字が1ケタしか無く、誤差範囲は四捨五入で考えると0.5g以上1.5g未満となり、1gも幅がある。
 しかし、1000mg配合と表記すると、有効数字の精度は4ケタもあり、誤差範囲は999.5mg以上1000.5mg未満となる。
 リポビタンDはタウリンというありふれた成分ですら誤差範囲を1mg未満に抑えるほど精密に製造されているのだ!


 言われてみれば、その限りでは、なるほどと、納得できる。

 けれども、「誤差範囲を1mg未満に抑えるほど精密に製造されている」ということを表現したければ、他にも、「1.000グラム」という表現もあったのだ。

 CMに、「1.000グラム」ではなく、「1000ミリグラム」を採用したのは、やはり、大きな数字を使って、実態より多量に配合されているように見せかけようとする意図が働いていたとしか考えられない。

 ところで、「タウリン」だが、いったい、どのような効能があるのだろうか、私自身、年に1、2回は、リポビタンDを飲んでいるのだが、何となく「元気の素」ぐらいの認識しかない。

 しょせん、CMは、視聴者に「本当に理解してもらう」ことを目的としているのではなく、「なんか元気が出そうだし、飲んでみよう」という気にさせることが目的であるから、「タウリン」が何かを説明する必要などはないのである。

 このようにして、CMは、確実に人々の思考能力を奪い続けて行くのである。

 このブログは、そのような社会に対する細やかな抵抗である。

 最後に、天才CMディレクターと呼ばれた杉山登志氏の言葉(遺書)を掲げておく【Wikipedia 杉山登志】。

  リッチでないのに
  リッチな世界などわかりません。
  ハッピーでないのに
  ハッピーな世界などえがけません。
  「夢」がないのに
  「夢」をうることなどは……とても
  嘘をついてもばれるものです。
                     — 杉山登志




大分県四日市出身の・・・

 北海道の弁護士のウェブサイトに、その弁護士の学生時代の話が載っていたのだが、そこに、「大分県四日市出身の・・・」という記載があった【髙橋智のコラム集 北海道大学はコスモポリス】。

 四日市と言えば三重県である。どうして、こんな間違いをしたのだろう。ひょっとしたら、大分県にも四日市という地名があるのかも知れない。そう考えて、ネットで検索してみた。

 なんと、三重県だけでなく、島根県にも、大分県にも四日市は存在した【Wikipedia 四日市町】。自分の限られた知識だけで、他人が間違っていると速断してはいけないと、再認識した。

 そういえば、○日市という地名は、昔の市が立つ日が由来なのだから、全国に、同じ地名があっても、全然おかしくない。

 ところで、新聞記事でも、記者の限られた知識だけで他者の発言を批判していることがある。まず、この記事【産経 2018.6.8 生活・小沢一郎代表、師匠・田中角栄元首相のお膝元・長岡で痛恨のミス「新潟は北陸最大の県」】を見てほしい。

小沢氏は田中元首相の弟子を自任しながら、北陸地方ではない新潟県を「北陸で最大の県」と発言する基本的なミスを犯すありさまだった。


 北陸地方というのは、多義的であり、新潟県を含まない「北陸3県」を指す場合もあれば、新潟県を含む「北陸4県」を含む場合もある【Wikipedia 北陸地方】。

 この程度の知識は、新聞記者にとっては常識の部類に属することではないだろうか。

 もちろん、新聞記者といっても色々だし、私から見て常識だと思っていても、私の方が勝手に常識と思い込んでいることだってあるのだから、上記の北陸地方という言葉が多義的であり、新潟を含んだ使われ方をする、という知識がなかったからと言って、そのこと自体は、まあ、いいとしよう。

 だが、仮にも、新潟県の田中角栄を師匠とする小沢一郎の発言である。その小沢一郎が新潟県が北陸地方に入るか否かについて「基本的なミス」をしたと批判する前に、本当に、ミスなのか否か、自分で再確認する程度の作業は、当然、行うべきであろう。

 この記者は、何とか小沢一郎を批判する材料を見つけたくてしようがなかったのだろう。そこで、自分の限られた知識を前提に、小沢一郎が「基本的なミス」をしていることを発見して、小躍りしたのだろう。だから、自分の知識が足りないのではないかと疑うこともなく、堂々と、「基本的なミス」という批判を記事にしたのである。

 しかも、ウェブサイトで全10頁にわたる記事の見出しに、「痛恨のミス」とまで書いたのである。こんな記事を見ると、産経新聞でさえ、他に小沢氏にケチを付けるところがなかったのではないかと思ってしまう。

 ところで、最初の「大分県の四日市」に戻るが、確かに間違いではないものの、三重県の四日市が余りにも有名なため、私のような勘違いをする人多いことだろう。そして、その勘違いのままに終わってしまう人もいるだろう。

 そう考えると、「大分県宇佐市四日市町」というふうに、正式名称を記載しておいた方がよかったのではなないだろうか。



inborn か inbom か

 最近、ボランティアで、ある英文のソフトを日本語化する作業を始めたのだが、英文には英文特有の分かりにくさもあれば、日本文と同様のパターンの分かりにくさというものもある。

 今日取り上げるのは、英文特有の見た目の分かりにくさである。

次の二つの英単語(らしきもの)を見てほしい。

  inborn  inbom 


  と  が並んでいると、  に見えてしまう。

 なんとなく、r と m の方が、単語としてありそうな気がするのだが、拡大してみないと、どちらが正しい綴りなのかは分からない。

 紙の辞書で調べるのであれば、大変だが、今の時代、ネットの辞書で調べ場合は、とりあえずコピーして貼り付ければ意味はわかるのだが、そのままにしておくのは、気持ちが悪い。

 他にも、英文で、ぱっと見て、どちらか分からないものとして、こんなのもある。
 

  cl    







 

振り飛車のペースです。

 今日も将棋の話で、話題の藤井聡太七段と菅井王位の棋王戦決勝トーナメントの中継をネットテレビで【AbemaTV】でBGM代わりに聞いていたとき、解説者の声が流れてきた。 

 こうなると、振り飛車のペースですね。


 将棋を知らない方のために説明をしておくと、「振り飛車」というのは、将棋の戦形の一つで、序盤で飛車を横に動かす戦法のことで、逆に、序盤で飛車を横に動かさないない戦法を「居飛車」という。

 一方が振り飛車、他方が居飛車を採用した場合は、振り飛車、居飛車というだけで、対戦している、どちらの棋士かを特定することができる。

 そのため、将棋中継の解説などでは、対戦者の名前を呼ばずに「振り飛車」とか「居飛車」と呼ぶことが結構ある。

 けれども、視聴者にとっては、どちらが振り飛車なのか、居飛車なのかは、分からないことが多い。

 そんなときは、画面を見るのだが、対局が進んでいると、双方の飛車が横に動いていて、どちらが振り飛車なのかは、すぐには分からない。玉の囲いなどを見て、この囲いは、普通は振り飛車側が採用する囲いなので、こちらが、振り飛車だな、と判断することもできるが、いつでも分かるとは限らない。

 視聴者にすれば、藤井七段とか菅井王位と名前を呼んでくれれば、分かりやすいのだが、対局の冒頭から見ている解説者としては、どちらが振り飛車かなどということは分かりきったことなので、つい、「振り飛車」などと言ってしまうのだろう。

 これと似た話で、よく、証人尋問などで、証人に質問をするのに、こんな聞き方をする弁護士がいる。

原告に初めて会ったのは、何年前のことですか。


 弁護士にしてみれば、誰が原告かなどということは、ずっと最初から裁判をしているのだから、明らかなことである。

 けれども、証人にしてみれば、あくまでも、藤井さん、菅井さんであって、原告といわれると、改めて、「この裁判は藤井さんが訴えているのだから、藤井さんと会ったときのことを聞いているのだな」と考えた上で、質問に答えることになる。証人に、そんな負担をかけないよう、こう質問すべきだろう。

藤井さんに初めて会ったのは、何年前のことですか。


 けれども、この質問を聞いている裁判官は、戸惑うことになる。100件も200件も事件をかかえている裁判官にとっては、当事者の名前を言われるより、原告、被告という呼び方をしてくれたほうが、分かりやすいだろう。そうすると、関係者みんなに分かりやすくするためには、こう質問するのが妥当だろう。

原告の藤井さんに初めて会ったのは、何年前のことですか。






 

夕方の5時

 例えば、午後5時に待ち合わせをするとしよう。時刻を、どう表現するのがいいだろうか。

【1】 午後5時
【2】 17時
【3】 夕方の5時



 どれも、一義的に明確な表現ではある。

 けれども、直感的に理解しやすいのは、【3】の「夕方の5時」である。

 同様に、「朝の9時」「昼の2時」「晩の8時」というのが直感に馴染む。

 【2】の24時間表現は、一部の、その表現に慣れ親しんでいる人には適切なのかも知れないが、あまり馴染みのない人もいるのであり、誤解を招く元である。

 【1】の午前、午後、という表現は、一日を2区分して、その中での時刻を示すものであるが、早朝、朝、昼、夕方、晩、深夜といった6区分を前に付けるのと比べれると、やはり、直感的な分かりやすさの点では、劣っているように思う。


可能性と必然性

 今日も、素材は、将棋に関する【華やぐ美V1 藤井聡太七段への今後の予定は?将棋昇段の仕組みはこれ!】という記事だ。
 

 5組決勝に進出すれば、来期の4組が確定し、昇段する可能性があります。



 どこが問題か、分かりやすくするために、「すれば」「可能性があります」の部分を取り除いて、将来の、どういう事実について書かれているのかを、次のように分解する

 【1】 5組決勝への進出
 【2】 来期の4組の確定
 【3】 昇段

 冒頭の分は、【1】が成り立てば、【2】が成り立ち、【3】の可能性がある、と言っているのだ。

 けれども、【2】が成り立つときは、将棋連盟の規定から、常に【3】になるのであり、「可能性がある」という表現は、適切ではない。

 このような、次々生起する可能性のある3つの事実については、前の事実が実現した場合に後ろの事実が常に実現するのか、可能性に止まるのかにより、次の4パターンが考えられる。

A  【1】→常に【2】    【2】→常に【3】       【1】なら【2】となり、【3】となる。        
B  【1】→常に【2】    【2】→【3】の可能性    【1】なら【2】となり、【3】の可能性がある。
C  【1】→【2】の可能性 【2】→常に【3】       【1】なら【2】の可能性があり、その場合は、【3】となる。
D  【1】→【2】の可能性 【2】→【3】の可能性    【1】なら【2】の可能性があり、その場合は、【3】の可能性がある。

 冒頭の例は、Aなのに、あたかも、Bであるかのような表現をしたのである。


 

左下から右上へ

 以前の記事【群雄割拠の将棋界を俯瞰する】の図表の改訂版だ。
棋士一覧-2018-08-31

 前回の掲載基準には達しないが注目すべき棋士を追加したほか、関西本部所属の棋士を明示した。

 ぱっと見て気づかれたと思うが、永世七冠が左端だったのが右端になっている。

 棋士の実力を、順位戦とタイトル戦・一般棋戦という二つの指標を使って二次元の表にしたのだが、左下から右上にかけて、実力者と言えるように、元の表の左右を逆にしたのだ。この方が、直感に合っている。

 つまり、XY座標で右にいくほど、また、上にいくほど数値が大きくなるのと符合しているため、直感に馴染みやすいというわけだ。

言葉は要らない

 昨日の記事【色の持つ伝達力】で、治療院の混雑度を効率よく表示するには、どうすべきか、ということを考えた。

 元のサイトは、
    ・顔のイラスト
 改善案は、
    ・色(緑~黄~赤)のグラデーション
    ・正方形内を4つの正方形に区分し、混雑度に応じて、黒く塗り潰す正方形の数を変える
 というものだった。

 改めて見返してみたのだが、どの方法も、ごちゃごちゃした感じがした。もう少し、シンプルに表現できないか、そう考えて作成したのが、次の表だ。

 
混雑-7


 元の表では、いずれも、混み具合を五段階に分けて、それぞれに、イラストや色を割り当て、それぞれが何を意味するのかを言葉で説明していたのだが、果たして、言葉による説明が必要だったのだろうか。

 目的は、直感的に混み具合を理解し、ある程度、それを記憶にとどめてもらうことによって、来院者が混んでいる時間帯や曜日を避けて、空いているときに分散してもらうことだ。

 そうだとすると,混み具合の程度について、「空きやすい」とか「やや空きやすい」という言葉など、全く不要である。



色の持つ伝達力

 整骨院や鍼灸院のマーケティングを支援するウェブサイトが存在し、そこに、お客様に混雑状況を分かりやすく伝えることが大事だという話が載っており、その伝え方について、このように述べられていた【ミッシェル・グリーン 混雑状況!すいている穴場の時間帯を患者さんに教える!!空き時間を埋める1枚の画像】。

それでは、いかにすいている時間を知らせるのではなく、理解させることができるか。効率的に伝える方法がイラスト画像です。


 確かに、文字で伝えるより、イラスト画像の方が効率的だ。

 ウェブサイトには、その具体例として、次のような図が載っていた。
 
混雑状況-1


 確かに、文字の説明だけでなく、イラストを用いることによって、親しみが持てるし、混み具合が直感的に分かりやすいと言える。

 けれども、このイラストは、混み具合によって顔の表情を変えているのだが、表情が少し、おとなしめだ。特に「普通」と「混みやすい」は、目は同じで、口が直線か波線かの違いしかなく、スマホなどの小さな画面だと、その差を認識しにくい。

 こんなときこそ、「色」を使うべきだ。こんな感じだ。

混雑状況-2

 見た瞬間に、いつが空いているのか分かったのではないだろうか。

 こういった、色の有無による違いを見ると、つくづく、色の持つ伝達力の強さを再認識させられる。

 と、ここまで書いて、他にも分かりやすくする手段はないかと考えて作ったのが、次の図だ。

混雑-3


 イラスト画像よりかは遙かに直感的に分かりやすいのだが、それでも、色の方が、より直感的に理解できる。

 ただ、色の識別能力は人によって差があるので、どちらを選択すべきかと言われると微妙である。

---- 追記 --------------------------------------------------------------------

 なお、注意深い読者の方は気づいたかもしれないが、9時台のイラストと文字の説明は、右上の凡例とは矛盾している。
混雑-4

 私が作成した改善例は、9時台の混雑状況は、文字でなくイラストの方が正しいという前提で作成した。

---- 追記 --------------------------------------------------------------------

 さらに、冒頭のウェブサイトの引用のすぐ上に、次のように、黄色で何か書かれている。

混雑-5

 けれども、白っぽい灰色の背景なので、とても読み取ることができない。

 黄色の文字のときは、背景を、濃いめの灰色にすればよい。

混雑-6

 なお、黄色については、【黄色に注意】でも書いた。














たえることのない・・・

 朝食をとりながらテレビのニュースを聞いていると、昨晩の関東地方の落雷の話をしていた。

 何度も落雷が発生しているということで、大変だなあ、今後は、こんな異常気象に耐えなければいけないのか・・・と、そんなことを覆っていたとき、耳に入ってきたのが、「たえることのない・・・」という言葉だった。

 瞬時に、脳内で「耐えることのない・・・」と漢字変換をしたのだが、「・・・」の部分が「落雷」と認識できた瞬間に、今度は、「絶えることのない」に再変換された。

 音声で何かを伝える場合、情報は平仮名で入ってくる。それを聞き手が、自らの関心や文脈に応じて漢字変換をすることによって、理解をする。「文脈」は、その単語の「前」だけでなく「後」も重要である。

 上記の例のように、最初は、「前」だけで漢字変換をしていても、「後」の「落雷」を聞いた瞬間、変換をし直さなければならないのである。

 この程度の「再変換」なら大したことはないと言えるが、積み重なると、ストレスとなる。

 再変換の必要のないように、聞いただけで、「この漢字しかない」といえるような言葉を選択する方が、聞き手には優しいと言える。

 上記の例では、「たえまなくつづく」であれば、「耐」ではなく「絶」であることが分かり、「絶え間なく続く」と最初から正確に意味を理解することが分かるのだ。

 このように、同音異義語があるばあいには、できるだけ長い言葉に言い換えるのがいいということは、これまでの記事にも書いたことがある。

罰金陛下
「つしんきんにいってきたんです」


文字の細部にも注意が必要

 車の自動運転が現実的な問題となってきて、法規制の必要性が叫ばれて、各地の大学で、それに関連した研究が行われている。たまたま、この9月には、複数の大学で同一のドイツ人の研究者を迎えて特別講義や特別研究会が行われる予定だが、そのポスターが、これだ。

関大自動運転


明治自動運転


 最初の関大のポスターを見て疑問に思ったのは、表題の二行目の「-トロリ-問題を契機として-」の箇所である。
長音記号

 「トロリーバス」の「トロリー」のことのようなのだが、「ロ」の後ろの記号が、「ー」(長音記号)なのか、「-」(ダッシュ)なのか判然としない。むしろ、「ト」の前にも「-」があるので、「トロリ」という私の知らない単語を「-」で挟んで、強調しているのかと思ったくらいだ。

 他方、明大のポスターを見ると、長音記号とダッシュは、明確に使い分けられており、読んで悩むことはない。

 では、明大のポスターに何の問題もないかといえば、そうでもない。日本に招いたドイツ人の研究者の名前の原文の表記を見てほしい。
ウムラウト

「Engl ä nder」の「ä」の文字の前後に空白ができているのだ。

 関大のポスターで、同じところを見ると、無用な空白はない。

 漢字や仮名と違って、アルファベットは元々、横幅が、「i」や「l」のように狭いものもあれば、「m」や「w」のように広いものがある。そのため、フォントはプロポーショナルフォントが普通である。

 ところが、日本文の中にアルファベットが混じる場合、日本語の等幅フォントに合わせて、アルファベットまで等幅にしてしまうと、上記のように、無用な空白が入っているように見えるのである。

 明大のポスターも、そのことが原因かと思ったのだが、「ä」だけ、やたらと大きいのをみると、それだけが原因ではなさそうだ。普通の文字の上に点が二つ付くドイツ語特有のウムラウト文字が、アルファベットの表記に使ったフォントの中になかったので、「ä」だけ別のフォントのものを持ってきて、こんな間延びした表記になったのかもしれない。



1m×1m×2cmは、何リットル?

 先日、関西電力の高浜原発4号機で定期検査中に警報が発信されたという発表があり、その中に次のような記述があった【関西電力からのお知らせ 2018.8.19】。

直ちに現場の状況を確認したところ、床面に約1m×約1m×約2cmの油(約2リットル)が漏れていることを確認したことから、制御油ポンプを停止しました。


 「約1m×約1m×約2cm」の最後「2cm」の印象が強く、極薄くベターッと油が拡がったのだな、1m四方に広がったのを見れば結構な量に見えるかも知れないが、結局は、たいした量ではないのだな、と思った。

 だが、後ろに、「約2リットル」と書かれているのを見て、よくある大きめの飲料水のペットボトル1本分になるのだから、そんなに少ないとは言えないな、と思った。

 それで、念のため、「約1m×約1m×約2cm」というのが、実際に2リットルになるのか計算をしてみようと思い立った。

 すると、どうだろう。

 100cm × 100cm × 2cm = 20000 立方センチ つまり、 20リットルだ(1リットルは、1000立方センチ)。

 20リットルと言えば、普通の灯油缶一缶分の量であり、ペットボトルなら20本、結構な量である。

 関電は、油漏れを些細なものであると印象づけるために、意図的に、「2リットル」と記載したのか。

 ところで、この関電の発表の「2リットル」という数字を、マスコミも、そのまま報道している【NHK 高浜原発4号機で油漏れトラブル 2018.8.20 (Internet Archive)】、【福井新聞 高浜4号で潤滑油漏れ 給水ポンプ 定検中、床に2リットル】、【フクナワ 高浜原発4号機で潤滑油漏れ 定検中、床に2リットル 】。

 関電の発表を鵜呑みにするのでなく、ちゃんと自分で再計算するという程度の検証さえしていないのか。検証したけれど気づかなかったのか。そうすると、小学生レベルの計算間違いでさえ、分からないということになる。もっと複雑な問題になったら、関電の発表を右から左へと垂れ流すことしかできないのではないか。

 仮に、関電が、マスコミの能力は、その程度のものだと承知の上で、あえて過小な数字を発表したのであれば、マスコミも舐められたものである。

 もちろん、関電自体が計算ミスをして発表した、という可能性も否定できない。

 だが、この程度の簡単な計算さえできない人物が広報担当であったとしても、この発表は、技術系の社員も、相当数が見ているはずである。それでも気づかず、この誤りが放置されているとしたら、その程度の会社に、原発のような危険極まりない設備を扱う資格はないと言わざるを得ない。

★管理人へのメールは、ここをクリック★

---- 追記 2018.8.30 --------------------------------------------------------------------

 「小学生レベルの計算」と書いたが、Youtube で、【小5・算数 体積の求め方のくふう】という解説があった。


---- 追記 2018.10.4 ---------------------------------------------------------------------

 その後の関電の発表に基づき、本稿の続編【関電高浜原発の油漏れ事故の真相?】を書いたので、ご覧いただきたい。


原発稼働状況 表にするしかない! その3

 過去2回、原発の稼働状況を表にしたが、本日までのものに更新した。

原発稼働数

 
 元になった情報は、【東京電力福島第1原子力発電所事故報道】に掲載されたものだが、図表を使わずに文字だけで書かれたもので、一覧性に乏しく読み解くのが困難なため、表にしたものだ。

 なお、以前の表は、下記の記事に掲載されている。
  【表にするしかない!
  【表にするしかない! その2

  今回、稼働中の原発に玄海原発が新たに登場したが、表現上の変更点は、以下のとおりだ。

  ・ 期間の長さを視覚的に表現するのに、「行の高さ」の代わりに、水色のデータバーを用いた。
  ・ 当該期間中の原発稼働数を数字とピンク色のデータバーで示した。
  ・ 稼働中であることを示すために、塗りつぶしだけでなく、記号  ⛮  を併用した。








可食してもよい

 まだ少し早いが、これからフグの季節ということなのか、昨日のテレビでフグ調理の免許の話題を取り上げていた。

 これまでは日本海側に生息していた種類のフグが北上して津軽海峡を太平洋に抜けて別の種類のフグと交配し雑種が登場したのだが、まだ、その雑種の毒性が解明されておらず、誤って食する可能性が増えている、という話と、都道府県ごとに免許が異なり、かなり緩い基準で免許を取得できる県もあり、安全性の点で問題だ、という話だった。 

 そこで、気になって、ネットで各都道府県の状況を調べてみたのだが、【大阪府のサイト】に、こんな表題の解説があった。

ふぐの可食してもよい種類と部位について


 「可食」というのは、「食べてもよい」ということなのだから、「可食してもよい」というのは、「よい」という意味の単語を二重に用いていることになる。

 同様の例で、よく見かけるのは、「過半数以上」である。「過半数」は「半数を超える」ということなのだから、「以上」をつけると重複表現になる。

 古典的な「馬から落馬する」といった重複表現は、同じ漢字「馬」が二回登場するので、重複表現であることに気づきやすいのだが、上記の二つは、意味は同じでも見かけは異なることから、重複に気づきにくいので、要注意だ。

 もちろん、重複表現をしたからと言って、「分かりにくく」なるわけではないし、むしろ、念を押しているのだから、それでいいだろうという考えもあるかも知れない。

 けれども、やはり、重複表現をしているのを見ると、書き手の姿勢、注意力まで、その程度のものか、という目で、文章全体を見られるのであり、避けるに越したことはない。

 人様にこんなことを言っている私だが、実は、ときおり、同じ間違いを冒しそうになることがある。

 裁判所に提出する書面で、こんなふうに書いてしまうのだ。
 

・・・であるから、明らかに・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・であることは明らかである。


 振り返って見ると、必ずしも「明らか」とは言い切れないときに限って、こういった表現をしてしまっているようである。

 内容に十分な説得力があれば、「明らかに」などと書かなくても、当然、分かってもらえるはずである。

 一つの文の中に「明らかに」が二箇所も出てきたら、読み手としては、「書き手も、あまり自信がないのだな」と思ってしまうだろう。

---- 追記 2018.8.31 --------------------------------------------------------------------

 報道ステーションを聞いていたら、高校の日本代表チームと宮崎県選抜の練習試合で、吉田輝星選手が「デッドボールを当ててしまいました」というアナウンスが流れてきた。

 ボールを当てたからこそ、「デッドボール」になるのだから、ここは、「ボールを当てました」、「デッドボールになりました」と表現すべきところである。

富田林署から勾留されていた男が逃走?

 以下の二つを比べてほしい。

【1】 富田林署から勾留されていた男が逃走
【2】 富田林署に勾留されていた男が逃走



 私は断然、【2】がいいと考える。まずは、次の図を見てほしい。

 
「から」と「に」


 言葉で説明するのが不要なほど、「分かりやすい」図だと思うのだが、一応、説明しておく。

 【1】は、最初の「富田林署から」が、次の「勾留されていた」を飛び越えて、最後の「逃走」を修飾しているのだが、前の方から順番に読んだり、聞いたりした場合、どうしても、「勾留されていた」を修飾しているように思えるのだ。

 もちろん、最後まで、読んだり、聞いたりすれば、最後の「逃走」を修飾していることは分かるのだが、そこに至る「途中の段階」でも、このような誤読を生じさせないようにすることこそ、大切なのである。

 これに対して、【2】は、修飾関係が飛び越えることはないので、読み聞きするままに、素直に、間違いなく理解できるのである。

 なお、【1】の表現は、昨晩、テレビを付けたまま、部屋の片付けをしていたときに、耳に飛び込んできて、一瞬、「?」と思った表現である。

 テレビに集中して聞いていれば、そのような疑問も抱くことなく的確に理解できたかも知れないが、とりわけ、テレビは、「片手間」に見聞きしている人も多いはずだから、誤解のないような表現に意を尽くすべきだろう。

 なお、グーグル検索で調べたのだが、【1】の表現も結構、出回っているようである。

---- 追記 --------------------------------------------------------------------

 なお、「勾留」と書いたが、「拘留」と表現されているものが多い。法律用語としては、「勾留」が正しいのだが、マスコミ用語としては、結構、「拘留」が幅をきかしている。

 ついでに補足すると、憲法には、「拘留」という言葉があるが、刑事訴訟法では「勾留」という言葉が使われおり、裁判所の令状にも「勾留状」と記載されているので、「勾留」と表現すべきである。


 



もう1社じゃできない

先ほどの日経の見出しだ【日経 2018.8.22】。

原発もう1社じゃできない


 曖昧な表現である。

 【1】 原発、「もう1社」じゃできない 
 【2】 原発、もう、1社じゃできない「」 

 読んだ瞬間、原発事業に参加する企業を増やしたのだが、数が足りず、もう1社増えることになったのだが、それでも足りないので、このままでは事業ができない、ということかと思った。

 そう考えたのは、以前、日立によるイギリスへの原発輸出がリスクが大きすぎて難航しているという記事【テレ朝日news 日立が英への原発輸出で最終調整 撤退の可能性も(2018/05/01 17:16)】を読んだことがあったからだ。
 
 すこし、複雑で長くなるが、辛抱強く、読んでほしい。
 
 私は、日立の原発輸出の、その後の動きは知らなかったので、この記事を読んだ瞬間、私の知らないうちに、
   ・何社かが日立に協力をすることになった
   ・それでも足りず、日立が追加の協力を求めた
   ・そこで、1社が加わることになった
 というところまで、話が進んでいて、
 さらに、今回の報道
   ・日立は、それでも足りないので、事業を継続できないと言った
 ということになったのかと思ったのだ。

 だが、記事の中身を読むと、
 そもそも、日立の原発輸出の話ではなく、原発建設一般の話で、
  「もう1社」じゃできない  
    のではなく、
  もう、一社じゃできない
    という意味だった。

 日経の、見出しではなく、記事の中身での表現では、こういうことだ。
    「今となっては1社では事業を担えない」

 見出しは、「文脈」に頼れない。

 だから、見出しにおいては、文法的に色々と読める可能性を、徹底提起に排除しなければならない。このことは、以前の記事【消費者庁がインスタグラムで注意喚起】に書いた。

 なお、本日の記事の表現方法(改行の多さ)に違和感を持った方は、【意味の塊ごとに改行する -調書方式-】を参照されたい。







 
 

電話機の取扱説明書 同じものは、同じ名前で 

 電話機の時刻を合わせようとして、取扱説明書を見ると、こう書いてあった【Panasonic VE-GZ30 取扱説明書】。

電話説明


 最初に、「1 【機能】を押し」と書かれていたので、「機能」と書かれたボタンを押そうと、電話機に目をやったのだが、「機能」という漢字2文字だけが書かれたボタンは見つからなかった。

電話設定


 もう一度、見直すと、「機能」というボタンはないものの、中央に「機能/決定」と書かれたボタンがあった。

 他に「機能」という文字は見当たらなかったので、このボタンのことを言っているとしか考えられない。

 さらに、説明書には、「2 【決定】を押す」と書かれているが、これも、「機能/決定」と書かれたボタンを指すとしか考えられない。

 一つのボタンが、あるときは「機能」、あるときは「決定」と呼ばれるのである。

 確かに、最初は、機能を選択する、という意味で「機能」のボタンだし、次は、いくつかある機能のうち日付・日時の設定機能を使うことに決定する、という意味で「決定」のボタンである。

 それぞれ、単独の「機能」「決定」というボタンがあるのなら、取扱説明書の説明で何の問題もないのだが、ボタンが一つしかない以上、状況に応じて、「機能」と呼んだり「決定」と呼ぶのは、混乱の元である。

 単に、こう書けばいいのだ。
  1 【機能/決定】を押し、#001 を押す
  2 【機能/決定】を押す

 同じ対象を異なる名称で呼ぶことの弊害については、過去の記事にも書いている。

 【借りている資料=貸出状況 ?
 【テキストボックスの使い方





 

カリフォルニア州三分割 予測を裏切らない文章を書く 

 カリフォルニア州を3分割する提案の是非を問う住民投票が行われることになったそうだが、その記事の一節である。

同州で伝統的に強い地盤を有する民主党も、分割案には否定的な立場とみられる。州南部には共和党が強い地域があり、分割で政治的影響力が低下する恐れもあるためだ。仮に住民投票で賛成が多数となれば民主党が多数を占める州議会にかけられることになり、否決される可能性が高い。

産経 2018.7.18 米カリフォルニア、3州に分割? 住民投票実施へ


 読んでいて、一瞬、混乱しそうになった。問題なのは、最後の一文だ。

   【1】仮に住民投票で賛成が多数となれば
   【2】民主党が多数を占める州議会にかけられることになり
   【3】否決される可能性が高い。

 「・・・になり、」と来れば、順調に可決されることが予測される。

 ここは、「順調にはいかない」ということを示唆するために、「になり」ではなく「になるが」とすべきだろう。

   【1】仮に住民投票で賛成が多数となれば
   【2】民主党が多数を占める州議会にかけられることになるが
   【3】否決される可能性が高い。

 さらに、より適切には、こうすべきだろう。「民主党が多数を占める」という部分は、【2】ではなく【3】に記載すべきであろう。

   【1】仮に住民投票で賛成が多数となれば
   【2】民主党が多数を占める州議会にかけられることになるが
   【3】州議会は民主党が多数を占めるため否決される可能性が高い。

---- 追記 2018.8.22 --------------------------------------------------------------------

改めて考えたのだが、 (考慮中)
















赤い州、青い州

 アメリカの政党には、それぞれ、シンボルカラーがある【追記を参照】。

 共和党は青、民主党は赤。

 そのため、共和党の優勢な州は赤い州、民主党の優勢な州は青い州と呼ばれているそうだ。

 大統領選挙の後など、結果が地図で示されることがあるが、そのときも、このシンボルカラーを利用して、一目で分かるようになっている。以下の図は、Wikipedia に掲載されているものだ【Wikipedia red states blue states】。
 
赤い州・青い州


 ここで注目すべきは、単純な、赤、青の二色ではなく、それぞれの優勢の度合いに応じて、青みがかった赤、赤みがかった青というように、直感的に理解できるような工夫が施されている点だ。

 西部の内陸部と南部が共和党、東北部から五大湖周辺、西海岸が民主党と言う、色分けが、はっきりと理解できるだけでなく、共和党は、西部の内陸部の方が南部よりも、より強固な支持を獲得していることが分かる。

 グラデーションの表現力については、以前の記事にも書いた。

 【グラデーションのフェイント
 【色使いは、こうする

-- 【追記 2018.8.27】 ----------------------------------------------------------------------

 「アメリカの政党には、それぞれ、シンボルカラーがある。」と書いたが、共和党が青、民主党が赤を、それぞれシンボルカラーとして採用している訳ではなく、マスコミなどによって、そのような扱いがなされている、というだけである。
 

20世紀末までは必ずしも色割り当ては固定されておらず、民主党候補が勝利した州を赤、共和党候補が勝利した州を青で示すことも普通に行われていた。                              【Wikipedia 赤い州・青い州




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「時間泥棒」仕置人

Author:「時間泥棒」仕置人
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 弁護士として、どうすれば、効率よく、的確に、情報を取得・提供できるか、ということを常に考えています。

 ところが、そんなことには無頓着な人も多いようで、読者に対する配慮の一欠片もない文章を目にすることがあります。

 難解な文章で読者の貴重な時間を奪ってしまう人達のことを、「時間泥棒」と名付けました。

 このブログは、「時間泥棒」を立派に更生させることを目的として開設したものです。

 記事を読んで、自分も「時間泥棒」かな、と思ったら、早速、改めて下さい。また、あなたの廻りに「時間泥棒」がいたら、あなたの力で立派に更生させてあげて下さい。

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